【第111回薬剤師国家試験】問93 反応次数と半減期 解説

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第111回 問93
第111回 問93
理論問題|物理
反応次数と半減期
問題文
薬物Aが初期濃度 $A_0$、速度定数 $k$ で、0次反応、1次反応、2次反応のいずれかに従って分解するとする。これらの過程に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
1
0次反応では、半減期は $A_0$ によらず一定である。
2
1次反応では、Aの濃度は時間に比例して減少する。
3
1次反応では、半減期が $A_0$ に比例する。
4
2次反応では、半減期が $A_0$ に反比例する。
5
反応次数によらず、半減期は $k$ に反比例する。
正解です!
各反応次数の半減期の式をしっかり整理しましょう。
×
不正解です。正解は 4と5 です。
2次反応の半減期は $\frac{1}{kA_0}$($A_0$に反比例)、すべての次数で半減期は$k$に反比例します。
解説を見る

正解:4・5

各反応次数の半減期 $t_{1/2}$ の公式:
・0次反応:$t_{1/2} = \dfrac{A_0}{2k}$ → $A_0$ に比例、$k$ に反比例
・1次反応:$t_{1/2} = \dfrac{\ln 2}{k} = \dfrac{0.693}{k}$ → $A_0$ に無関係、$k$ に反比例
・2次反応:$t_{1/2} = \dfrac{1}{kA_0}$ → $A_0$ に反比例、$k$ に反比例
選択肢記述判定・理由
1 0次反応では半減期は $A_0$ によらず一定 × 0次反応の半減期は $t_{1/2} = \dfrac{A_0}{2k}$ であり、$A_0$ に比例する。$A_0$ が大きいほど半減期は長い
2 1次反応ではAの濃度は時間に比例して減少する × 1次反応の速度式は $-\dfrac{dA}{dt} = kA$。解くと $A = A_0 e^{-kt}$ となり、濃度は指数関数的に減少する。時間に比例(直線的)に減少するのは0次反応
3 1次反応では半減期が $A_0$ に比例する × 1次反応の半減期は $t_{1/2} = \dfrac{\ln 2}{k}$ であり、$A_0$ に無関係(一定)。比例するのは0次反応
4 ★ 2次反応では半減期が $A_0$ に反比例する ◯ 2次反応の半減期は $t_{1/2} = \dfrac{1}{kA_0}$。$A_0$ が大きいほど半減期は短くなる(反比例)
5 ★ 反応次数によらず半減期は $k$ に反比例する ◯ 0次:$\dfrac{A_0}{2k}$、1次:$\dfrac{\ln 2}{k}$、2次:$\dfrac{1}{kA_0}$、いずれも $k$ が分母にあり、$k$ に反比例する
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:「半減期が一定」なのは1次反応。0次反応は $A_0$ に比例して変わる
選択肢2:「濃度が時間に比例して減少(直線)」するのは0次反応。1次反応は指数関数的減少
選択肢3:「半減期が $A_0$ に比例」するのは0次反応。1次反応は $A_0$ に無関係
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

反応次数の概念は、医薬品の安定性評価で実際に使われています。製剤の有効期限を設定する際、薬物の分解がどの次数に従うかを実験で調べ、半減期を算出します。たとえば多くの加水分解反応は擬1次反応として扱われ、「半減期が初期濃度に依存しない」性質を利用して安定性予測が行われます。

また臨床薬物動態の文脈では、ミカエリス・メンテン型の消失(フェニトインやアルコールなど)が0次反応的な挙動を示す代表例です。0次では濃度が高いほど半減期が長くなるため、フェニトインの血中濃度が高くなるほど消失に時間がかかり、中毒域に入りやすくなります。「少し増量しただけで血中濃度が大きく上昇する」という現象の理論的背景がここにあり、TDM(治療薬物モニタリング)で用量調整を慎重に行う根拠となっています。

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