


トリグリセリド(中性脂肪)ってどんな検査値なんだろう?
・臨床検査値のことを学びたい
・トリグリセリド(中性脂肪)について知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。



こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、中性脂肪の検査値であるトリグリセリド(中性脂肪)についてまとめていきます!
【臨床検査値】トリグリセリド(中性脂肪)ってどんな検査値?
トリグリセリド(TG)について
トリグリセリド(TG)は、「グリセリン」に3つの「脂肪酸」がエステル結合した構造をしています。食事から摂るだけでなく、余った炭水化物から体内で合成することも可能です。




揚げ物などの脂っこい食事だけでなく、菓子類やジュース、白米などの「糖質」も、体内で中性脂肪に変換され、蓄積の原因となります。
小腸で吸収され、「カイロミクロン」として血液中を流れます。食事の影響を直接受けます。
肝臓で作られ、「VLDL」として運ばれます。空腹時の検査では主にこの値をチェックしています。
※150 mg/dL以上 ➔ 「脂質異常症(高中性脂肪血症)」に該当
外因性トリグリセリドについて
中性脂肪(TG)は疎水性(水に溶けにくい性質)のため、そのままでは血液中を流れることができません。そこで、たんぱく質などと結合して「リポ蛋白」というカプセルのような形になって存在しています。
食事から摂取された脂質は小腸で吸収され、小腸の上皮細胞で「カイロミクロン」というリポ蛋白へと合成されます。


この外因性TG(カイロミクロン)が血液中に多く出現するのは、主に「食後」です。
ただし、代謝がうまくいかない「カイロミクロンの代謝障害」がある場合も、血中に長く留まり数値が高くなる原因となります。
リポ蛋白について
リポ蛋白は、含まれる成分の割合(比重)によって5つに分類されます。比重が大きくなるほど、TG(中性脂肪)が減り、コレステロールやリン脂質の割合が増えて重くなります。
小腸で合成。主に食事由来のTG・Choを肝臓へ運びます。
肝臓で合成。肝臓由来(体内合成)のTG・Choを全身へ輸送します。
VLDLからLDLへ変化する途中の「代謝中間体」です。
末梢組織へChoを運びます。多すぎると動脈硬化の原因になります。
組織の余分なChoを回収し、肝臓へ戻す動脈硬化の予防因子です。
急性膵炎と高TG血症の関係
中性脂肪(TG)が極端に高い状態(高TG血症)は、命に関わる「急性膵炎」の原因になります。
特にアルコールの多量摂取などでは、TG値が1000 mg/dL(基準値:150未満)を突破することもあり、即座に治療が必要なレベルです。
TGが異常に増えると、本来なら食後にしか現れない巨大な粒子「カイロミクロン」が空腹時でも血液中に溢れ出します。
この巨大な粒子が膵臓の細い血管を塞いだり、周りの細胞を物理的に傷つけたりすることで、激しい炎症(急性膵炎)を引き起こすのです。
激しい腹痛
嘔気・嘔吐
ショック状態
正確な脂質の測定方法



正確な脂質測定をするには、検査前日にいくつか守るべきことがあります。
大阪府内科医会の調査によると、なんと「4人に1人」が正しい条件で採血できていないという報告があります。せっかくの検査で誤った判定を下されないよう、以下のルールを必ず守りましょう。
- ✅ 10~12時間以上の絶食を守る
- ✅ 前日の「高脂肪食・高カロリー」を避ける
- ✅ 前日のアルコール(禁酒)
12時間の絶食は守っていても、前日の夜に「焼き肉」や「揚げ物」を食べてしまうと、食事由来の外因性TGが血中に残ってしまうことがあります。
空腹時採血の目的は、体が作り出す「内因性TG」の純粋な値を測定することです。食事の影響が混ざると、本来のあなたの数値よりも高く出てしまい、適切な治療方針が立てられなくなる恐れがあります。
高TG血症の薬物治療
中性脂肪(TG)は生活習慣の影響が非常に大きく、食事・運動療法のみで劇的に改善するケースが多いのが特徴です。また、食事の影響による数値のバラツキや、他の薬との兼ね合いから薬物療法を慎重に判断する場面も多くあります。
以前は横紋筋融解症のリスクから「原則禁忌」とされていましたが、2018年の改訂で「慎重投与」へと緩和されました。
しかし、現在でも特に腎機能が低下している患者さんでは、併用によりリスクが高まるため、きめ細かなモニタリングが必要です。
中性脂肪(トリグリセリド)の下げ方
中性脂肪は生活習慣の見直しによって、薬に頼らずとも劇的に改善する可能性がある項目です。以下の3つの柱を意識しましょう。
- 「糖質」の摂りすぎに注意: 余った糖は肝臓で中性脂肪に変えられます。菓子パン、ジュース、白米のドカ食いを控えましょう。
- アルコールを控える: お酒は肝臓での中性脂肪合成を促進させます。
- EPA・DHAを摂る: 青魚に含まれる「オメガ3系脂肪酸」は、中性脂肪の合成を抑え、分解を促す効果があります。
- 食物繊維を増やす: 野菜や海藻に含まれる食物繊維は、脂質の吸収を穏やかにします。
中性脂肪は運動の「エネルギー源」として消費されます。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を1日30分以上、週に数回行うのが理想的です。
まずは「一駅分歩く」「エスカレーターではなく階段を使う」といった小さな積み重ねから始めましょう。
関連問題
脂質異常症およびその治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- カイロミクロンは、主に肝臓で合成されたトリグリセリド(TG)を末梢組織に運搬する。
- VLDLは、LDLに比べてタンパク質の含有率が高く、比重が大きい。
- フィブラート系薬剤は、リポ蛋白リパーゼ(LPL)を活性化することで血中TG値を低下させる。
- 高TG血症(1,000 mg/dL以上)は、急性膵炎の発症リスクとなる。
- スタチン系薬剤とフィブラート系薬剤の併用は、腎機能に関わらず安全に行うことができる。
▼ タップして解答・解説を見る
カイロミクロンは小腸で合成され、主に食事由来(外因性)の脂質を運搬します。肝臓で合成された脂質を運ぶのはVLDLです。
比重は、脂質が少なくタンパク質が多いほど大きく(重く)なります。LDLの方がVLDLよりもタンパク質含有率が高く、比重が大きいです。
フィブラート系薬剤の主要な作用機序です。LPLの活性化によりTGの加水分解を促進します。
記述の通りです。巨大なカイロミクロンが膵臓の微小循環を阻害し、急性膵炎を引き起こすリスクが高まります。
「慎重投与」に緩和されましたが、特に腎機能障害がある患者さんでは横紋筋融解症のリスクが高まるため、安全とは言い切れません。
最後に
今回は、中性脂肪の検査値であるトリグリセリド(中性脂肪)についてまとめていきました。



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