


こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
関節リウマチは、免疫機能に異常をきたし、無害な自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」のひとつです。
今回は関節リウマチの症状と使われる治療薬について解説していきます。
関節リウマチとは?
日本では70万人以上の患者さんがいると言われている身近な病気です。免疫の異常によって、全身のさまざまな関節に炎症が起き、腫れや痛みを引き起こします。
関節リウマチの症状
初期症状は「朝のこわばり」から始まり、手指などの小さな関節から左右対称・多発性に進行します。次第に肘や肩、膝などの大きな関節へと障害が広がっていくのが特徴です。


引用元:シシムジア.jp
関節を包む「滑膜(かつまく)」に炎症が起こると、軟骨や骨が徐々に破壊され、関節が変形してしまいます。これを関節破壊と呼びます。


引用元:シシムジア.jp
- ボタン穴変形: 第2関節が曲がり、第1関節が反る
- スワンネック変形: 第2関節が反り、第1関節が曲がる
- 尺側偏位(しゃくそくへんい): 指の付け根から小指側に曲がる
- Z型変形: 親指がZ字状に曲がる


引用元:羽村整形外科リウマチ科クリニック
はっきりとした原因は未解明ですが、HLAなどの遺伝的要因に、ウイルス感染や喫煙などの環境因子が加わることで免疫異常が引き起こされると考えられています。
関節リウマチは早期治療が大切
現在では医療の目覚ましい進歩により、早期に治療を開始するほど治療効果が高く、関節の破壊による障害も起こりにくくなることが分かっています。
関節リウマチは、発症後のごく初期(2年以内)に急速に進行するという特徴があります。診断を受けたら、1日でも早く適切な治療を開始することが「関節の機能」を守る鍵となります。


引用元:シシムジア.jp
💡 Point:Window of Opportunity(チャンスの窓)
リウマチ治療には「チャンスの窓」と呼ばれる時期があります。この窓が開いているうちに強力な治療を行うことで、将来的な関節の変形を最小限に抑え、健常な人と変わらない生活を送ることが可能になっています。
関節リウマチの治療目的
関節リウマチの治療は、単に「今をしのぐ」ことではありません。将来の健康を守るために、大きく分けて3つの目的を持って行われます。
日常生活を快適に送るための最優先課題です。
骨の変形を防ぎ、関節の機能を維持することを目指します。
家事や仕事、趣味などを以前と同じように続けられるようにします。
症状が落ち着いて病気の進行が止まっている状態を寛解といいます。
現代のリウマチ治療では、この寛解状態を維持し、「病気であることを忘れて過ごせる時間」を増やすことが現実的な目標となっています。
関節リウマチの薬物療法
リウマチの薬は、その役割によって大きく4つのグループに分かれます。これらを組み合わせて、痛みの緩和と関節破壊の抑制を同時に目指します。
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)
リウマチの疾患活動性に直接働きかけ、病気の進行を抑える薬の総称をDMARDs(ディーマーズ)と呼びます。
リウマトレックス®(一般名:メトトレキサート)
現在のリウマチ治療において、最も基本となる重要な薬です。
- アザルフィジン®(サラゾスルファピリジン)
- ケアラム®(イグラチモド)
- リマチル®(ブシラミン)
- アラバ®(レフルノミド)
- プログラフ®(タクロリムス)
- ブレディニン®(ミソリビン)
- メタルカプターゼ®(ペニシラミン)
- シオゾール®(金チオリンゴ酸ナトリウム)
- オーラノフィン
- オークル®・モーバー®(アクタリット)
- カルフェニール®(ロベンザリット)
※DMARDsは効果が現れるまでに数週間〜数ヶ月かかることがありますが、自己判断で中断せず継続することが大切です。
生物学的製剤
バイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、炎症の元となる物質をピンポイントで抑えます。DMARDsだけでは改善が不十分な場合に、非常に高い効果を発揮します。
- レミケード®(インフリキシマブ)
- エンブレル®(エタネルセプト)
- ヒュミラ®(アダリムマブ)
- シンポニー®(ゴリムマブ)
- シムジア®(セルトリズマブ ペゴル)
- アクテムラ®(トシリズマブ)
- オレンシア®(アバタセプト)
生物学的製剤は免疫を抑える力が強いため、感染症には十分な注意が必要です。風邪のような症状や発熱がある場合は、早めの対応が欠かせません。
※重い感染症にかかっている方や、活動性の結核がある方などには投与することができません。
副腎皮質ステロイド薬
ステロイドは、私たちの体内にある「副腎(ふくじん)」という臓器で作られているホルモンです。このホルモンが持つ強力な炎症抑制作用を薬として応用したものが「ステロイド薬」です。
- 抗炎症作用: 関節の激しい腫れや痛みを速やかに鎮めます。
- 免疫抑制作用: 暴走した免疫の働きを抑えます。
- 代表的な薬剤: プレドニゾロン(商品名:プレドニン®など)
💡 治療における役割
DMARDs(主役の薬)が効き始めるまでの「つなぎ」や、症状が急に悪化したときによく使われます。長期・大量に使用すると副作用の注意が必要ですが、リウマチ治療では「必要最小限の量」を慎重にコントロールして使用するのが基本です。
NSAIDs(痛み止め)
NSAIDsは「非ステロイド性抗炎症薬」の略称で、いわゆる痛み止めです。炎症や痛みの原因となる物質(プロスタグランジン)を作る「シクロオキシゲナーゼ(COX)」という酵素をブロックすることで、速やかに症状を鎮めます。
- ロキソニン®(ロキソプロフェン)
- ボルタレン®(ジクロフェナク)
- セレコックス®(セレコキシブ)
- モービック®(メロキシカム)
- ハイペン®・オステラック®(エトドラク)
- インダシン®(インドメタシン)
- ナイキサン®(ナプロキセン)
- 根本治療ではない: 痛みは抑えますが、病気の進行(関節の破壊)を止める力はありません。
- 胃腸・腎臓への配慮: 長期で使用する場合、胃粘膜を保護する薬を併用したり、定期的な腎機能のチェックが重要です。
関節リウマチの検査
リウマチの診断は「リウマチ因子(RF)」だけでは決まりません。早期発見や治療方針の決定には、より精度の高い以下の検査を組み合わせて判断します。
役割:早期診断と発症予測
関節リウマチに対して非常に高い的中率(特異度)を誇ります。発症前の段階で陽性になることもあり、「骨破壊の進みやすさ」を予測する上でも欠かせない検査です。
役割:関節破壊の勢いを見る
炎症によって増殖した組織(パンヌス)から分泌される酵素です。この数値が高いほど、軟骨や骨の破壊が進みやすい状態であることを示します。
役割:ごく早期の異常を発見
従来のレントゲンでは写らない「目に見えない腫れ(滑膜炎)」や「小さな骨の欠け(骨びらん)」を鮮明に映し出し、超早期の診断を可能にします。
これらはリウマチ専用ではありませんが、今どれくらい「火事(炎症)」が起きているかを客観的に把握するために使われます。
関連問題
関節リウマチ(RA)の病態および治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- リウマチ因子(RF)は関節リウマチに特異的であり、陽性であればRAと確定診断できる。
- 抗CCP抗体は、RAに対して高い特異性を示し、早期診断や予後の予測に有用である。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、滑膜の炎症を抑えることで関節破壊の進行を遅らせる。
- メトトレキサートは、RA治療においてアンカードラッグ(第一選択薬)として位置づけられている。
- 生物学的製剤を使用する際は、副作用として間質性肺炎や感染症(結核など)に注意する必要はない。
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RFは健康な高齢者や他の膠原病でも陽性になることがあり、RAへの特異性はそれほど高くありません。
抗CCP抗体はRAへの特異度が非常に高く、早期の段階から陽性になるため診断価値が高い指標です。
NSAIDsは痛みや腫れを和らげますが、関節破壊(骨の破壊)を止める効果はありません。
メトトレキサートは禁忌がない限り、RA治療の最初に検討される最も重要な薬(アンカードラッグ)です。
生物学的製剤は強力に免疫を抑えるため、感染症(結核の再燃など)には厳重な注意が必要です。
まとめ
関節リウマチは初期の段階で、症状が見た目では分からないため、他人から理解されずらい病気でもあります。
関節リウマチにの理解が深まることに役立っていただけますと幸いです。
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