アルカリホスファターゼ(ALP)ってどんな検査値だろう?
・臨床検査値のことを学びたい
・アルカリホスファターゼ(ALP)について知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。
こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、臨床検査値のアルカリホスファターゼ(ALP)についてまとめていきます!
【臨床検査値】アルカリホスファターゼ(ALP)ってどんな検査値?
アルカリホスファターゼ(ALP)とは?
アルカリホスファターゼ(ALP)とは?
ALP(アルカリホスファターゼ)は、アルカリ性環境でリン酸化合物を分解する酵素です。
✅分泌される場所:骨芽細胞(骨をつくる細胞)
✅存在する部位:肝臓や骨、小腸、胎盤などに多い
✅ALPは、特に胆汁うっ滞(胆汁の分泌が低下している状態)の診断に有用
【ALPの基準値】
106~322(U/L)
※U(ユニット)とは,酵素活性量の単位で、至適条件で酵素が1分間に1μmolの基質を変換することができる酵素の量が「1U」と定義されています。
ALPは、肝機能検査値の1つとして用いられることが多く、特に胆汁うっ滞(胆汁の分泌が低下している状態)の診断に有用です。
ALPが増加する要因
肝臓や骨、小腸、胎盤などALPが存在する組織が障害を受けると血液中にもれでて高値となる。
また、ALPを分泌する骨芽細胞が増加する骨折や骨肉腫、悪性腫瘍の骨転移などでも増加します。
肝臓に腫瘍ができるとALPが増加することがあり、早期発見の手がかりとなることもあります。
ALPが異常値を示す病態
ALPが異常値を示す病態として、肝臓・胆道系や骨折などの骨関連疾患などがあげられます。
肝臓・胆道系 | 骨 | その他 | |
---|---|---|---|
高値 | 急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,肝臓がん,薬物性肝障害,胆管炎,胆石症,閉塞性黄疸など | 骨折,骨軟化症,悪性腫瘍の骨転移,骨肉腫,成長期の小児など | 悪性腫瘍,妊娠後期, 甲状腺機能亢進症 |
低値 | ー | ー | 甲状腺機能低下症,亜鉛欠乏,マグネシウム欠乏 |
ALPは生理的要因でも増加する?
ALPは、生理的な要因でも増加することがあります!
疑われる生理的要因 | 増加する理由 |
---|---|
骨新生が盛んな小児 | 骨の成長で骨芽細胞が増加するため |
妊娠後期 | 胎盤にもALPが多く含まれているため |
高脂肪食の摂取 | 小腸にもALPが多く含まれているため |
ALPは生理的な要因でも上昇することがあるため、ALPだけで原因を特定するのは困難です。
ALPのアイソザイム
ALPには、兄弟関係にあるアイソザイムと呼ばれる型の異なる種類があります。
アイソザイムとは?
酵素としての活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としては別種である(アミノ酸配列が異なる)ような酵素のこと。
型 | 存在部位 | 高値を示す疾患 |
---|---|---|
ALP1 | 肝臓 | 閉塞性黄疸,肝細胞障害など |
ALP2 | 肝臓 | 胆道疾患,肝疾患など |
ALP3 | 骨 | 骨関連疾患,副甲状腺機能亢進症,成長期の小児など |
ALP4 | 胎盤 | 悪性腫瘍,妊娠後期など |
ALP5 | 小腸 | 肝硬変,慢性肝炎,小腸疾患,慢性腎不全など |
ALP6 | 免疫グロブリン結合型 | 潰瘍性大腸炎など |
Point
①ALPは生理的な要因でも上昇することがある
②ALPだけで原因を特定するのは困難
肝臓・胆道系かそれ以外の部位かなどを予測することが大切です。
※肝疾患であればAST,ALT,ビリルビンなども活用します。
▼ASTとALTについてはこちらでまとめています。
▼ビリルビンに関してはこちらでまとめています。
最後に
今回は、臨床検査値のアルカリホスファターゼ(ALP)についてまとめていきました。
他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪
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