第111回
問110
理論問題|化学
生薬末の光学顕微鏡観察による鑑別
問110 ある生薬末を光学顕微鏡で観察したところ、右写真のような管状の組織(矢印)が見られた。また、木部繊維の破片が多数含まれていた。なお、この生薬末は1種類の生薬を粉砕したものである。この生薬末として考えられるのはどれか。1つ選べ。
矢印:管状の組織 スケールバー:50 μm
1
シャクヤク末
—
2
ブクリョウ末
—
3
リュウコツ末
—
4
アロエ末
—
5
ケイヒ末
—
正解です!
シャクヤク(芍薬)は根が利用部位であり、木部の導管(管状組織)・木部繊維が顕微鏡で観察されます。
不正解です。正解は 1 です。
解説で各生薬の顕微鏡的特徴を確認しましょう。
解説を見る
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顕微鏡観察の読み解き方
観察された特徴:①管状の組織(導管)、②木部繊維の破片が多数 → 木部(導管+木部繊維)が豊富に存在する部位=根(根茎)を利用部位とする生薬が候補。さらに、明確な木部繊維を持つかどうかで絞り込む。
観察された特徴:①管状の組織(導管)、②木部繊維の破片が多数 → 木部(導管+木部繊維)が豊富に存在する部位=根(根茎)を利用部位とする生薬が候補。さらに、明確な木部繊維を持つかどうかで絞り込む。
【各選択肢の顕微鏡的特徴】
| 選択肢 | 生薬名 | 利用部位 | 顕微鏡的特徴 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 1 ★ | シャクヤク(芍薬) Paeonia lactiflora |
根 | 木部の階紋導管(管状組織)と木部繊維が豊富に観察される。澱粉粒も多く含む | ◯ |
| 2 | ブクリョウ(茯苓) Wolfiporia cocos |
菌核 | 菌糸が観察される。導管・木部繊維は存在しない(植物の木部組織がない) | × |
| 3 | リュウコツ(竜骨) | 大型哺乳類の化石骨 | 結晶構造(ハイドロキシアパタイト)が観察される。植物性の管状組織・木部繊維は存在しない | × |
| 4 | アロエ(芦薈) Aloe ferox など |
葉から得た液汁を乾燥したもの | 葉の維管束由来の組織が含まれることがあるが、木部繊維が多数見られるのは根の生薬の特徴であり一致しない | × |
| 5 | ケイヒ(桂皮) Cinnamomum cassia |
樹皮 | 石細胞・油細胞・繊維が観察される。樹皮由来のため木部繊維より石細胞・繊維(師部繊維)が特徴的。管状の木部導管は少ない | × |
⚠️ 引っかけポイント:
・選択肢2(ブクリョウ):根ではなく菌核(真菌)。植物の木部組織は存在しない
・選択肢3(リュウコツ):動物(化石骨)由来。植物組織は一切含まれない
・選択肢5(ケイヒ):同じ根ではなく樹皮。石細胞が特徴的で、木部繊維が多数というのは根の特徴
・選択肢2(ブクリョウ):根ではなく菌核(真菌)。植物の木部組織は存在しない
・選択肢3(リュウコツ):動物(化石骨)由来。植物組織は一切含まれない
・選択肢5(ケイヒ):同じ根ではなく樹皮。石細胞が特徴的で、木部繊維が多数というのは根の特徴
臨床メモ
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薬剤師 あおい
シャクヤク(芍薬)は桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・芍薬甘草湯などに配合される頻用生薬です。主成分はペオニフロリン(芍薬苷)で、鎮痛・鎮痙・抗炎症作用を持ちます。
生薬末の顕微鏡鑑別は日本薬局方に規定されており、導管の種類(階紋・網紋・孔紋・螺紋など)や石細胞・澱粉粒の有無・形状が鑑別の指標になります。利用部位(根・樹皮・葉・果実・菌核・動物由来)を覚えておくと、顕微鏡像から素早く絞り込めます。










