【コロナデルタ株】ブレイクスルー感染とは?ワクチンの有効性について

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薬学生

最近よくニュースで「ブレイクスルー感染」というワードがでてくるけど、よくわからないわ…

この記事はこんな疑問を持った方向けです。

あおい

こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!

今回は、ブレイクスルー感染の意味やワクチンの有効性について解説していきます。

この記事の内容
  • ブレイクスルー感染とは?
  • コロナデルタ株とは?
  • ワクチンの有効性について
  • ワクチン接種は無意味なのか?
目次

【コロナデルタ株】ブレイクスルー感染とは?ワクチンの有効性について解説

ブレイクスルー感染とは?

最近、ワクチンを接種した者が新型コロナに感染するという「ブレイクスルー感染」が相次いで報告されています。

ブレイクスルー感染とは、打ち抜き感染(ぶちぬきかんせん)ともいい、ワクチンを接種した患者が、そのワクチンが予防するはずのものと同じ感染症を引き起こしてしまうことを指します。

ブレイクスルー感染自体は、おたふく風邪やインフルエンザなど、様々な病気の予防接種を受けた患者に確認されています。

これまでは、新型コロナウイルスにおいて「ワクチンを接種した人は大部分においてに人に感染させることはほとんどないだろう」と考えられていましたが、デルタ株の出現によりこの前提は否定されました。

アメリカの疾病予防管理センターCDC)は5月13日に「ワクチン接種完了者のマスク着用は原則不要」という指針を出していましたが、これを受けて7月27日に、ワクチン接種が完了した人であっても屋内でのマスクの着用が勧告されるようになっています。

ブレイクスルー感染がデルタ株においてどれくらいの確率で起こるのか、どれくらいウイルスが体内に残るのかなどはっきりとしたデータはまだありません。

コロナデルタ株とは?

国立感染症研究所はワクチンの効果を弱めたり、従来のものより感染力が強かったりと感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される変異ウイルスの中で最も警戒度が高いものを「懸念される変異株(VOC)」とし、これより前段階の、危険要素の検証が未了な変異株は「注目すべき変異株(VOI)」または「調査中の変異株」に分類されています。

厚生労働省によると、2021年8月17日時点では、VOCに分類されているのは以下の4種類で、デルタ株はVOCのうちの一種類です。

懸念される変異株(VOC)
出典:厚生労働省資料より一部抜粋

最近ニュースで取り上げられている2020年8⽉ペルーで発見されたC.37系統の変異株である「ラムダ株」は、今のところ「懸念される変異株(VOC)」の前段階の「注目すべき変異株(VOI)」に指定されています。

ワクチンの有効性について

2021年7月に国際的な医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」にて掲載されたイギリスの研究結果によると、ファイザー製のワクチン(BNT162b2ワクチン)アストラゼネカ製のワクチン(ChAdOx1 nCoV-19ワクチン)の有効性について以下のデータが得られています。

アルファ変異株に対するワクチン有効性について

ファイザー
(BNT162b2ワクチン)
アストラゼネカ
(ChAdOx1 nCoV-19ワクチン)
1回接種後48.7%48.7%
2回接種後93.7%74.5%

デルタ変異株に対するワクチン有効性について

ファイザー
(BNT162b2ワクチン)
アストラゼネカ
(ChAdOx1 nCoV-19ワクチン)
1回接種後約36%約30%
2回接種後88.0%67.0%

また、正式な査読を受ける前の段階(プレプリント)として公表した7万7000人を対象にミネソタ州で行われたアメリカのメイヨークリニックなどのグループの研究結果では、2021年1月から7月までの期間にわたってファイザー製のワクチン(BNT162b2ワクチン)モデルナ製のワクチン(mRNA-1273ワクチン)を比較しています。

このデータは以下の通りです。

ファイザー
(BNT162b2ワクチン)
モデルナ
(mRNA-1273ワクチン)
感染を防ぐ効果42%76%
入院を防ぐ効果75%81%

ミネソタ州のデルタ株の有病率は5月の0.7%から7月には70%以上となり大きく広がっており、7月の入院に対するワクチンの有効性はファイザー製のワクチンで75%、モデルナ製のワクチンで81%といずれも高い水準を維持したと報告されています。

一方、感染を防ぐ効果はファイザー製のワクチンで42%、モデルナ製のワクチンで76%とこれまでより低下したとされました。

ワクチン接種は無意味なのか?

各国が出している研究結果によると、デルタ株に対してのワクチンの有効性は確認されており、入院に至るのを防ぐ(重症化を防ぐ)効果もあると報告されています。

以上のデータから、ワクチン接種自体は無意味なことではないと考えられます。

また、現在では3回目の接種の必要性も検討されています。

最後に

今回は、現在(2021年8月18日)においてわかっているコロナウイルスの情報についてエビデンスに基づいてまとめてみました。

何も根拠のない情報も世の中には出回っていますので1人1人が正しい情報の取捨選択を心がけていく必要があります。

ワクチンを打った時のリスクとベネフィットを天秤にかけて、1人1人が考え選択していく必要があります。

【コロナデルタ株】ブレイクスルー感染とは?ワクチンの有効性について

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