第111回
問65
必須問題|病態・薬物治療
腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高い病態
問題文
腸管出血性大腸菌感染症の重篤化と関連性が高いのはどれか。1つ選べ。
1
トキシックショック症候群
—
2
溶血性尿毒症症候群
—
3
過敏性腸症候群
—
4
抗リン脂質抗体症候群
—
5
悪性症候群
—
正解です!
素晴らしい!下の解説も確認してみましょう。
不正解です。正解は 2(溶血性尿毒症症候群) です。
下の解説でしっかり確認しましょう!
解説を見る
▼
腸管出血性大腸菌(EHEC:O157など)は志賀毒素(ベロ毒素)を産生します。この毒素が腸管から吸収されて血管内皮細胞に作用し、血栓性微小血管症を引き起こします。その結果、溶血性尿毒症症候群(HUS)が続発します。HUSは「溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害」の三徴を特徴とし、小児に多く死亡率も高い重篤な合併症です。
🔑 EHEC感染→HUSの発症機序
O157などのEHEC が腸管で増殖
↓
志賀毒素(Stx1・Stx2)産生・吸収
↓
腎臓・脳などの血管内皮細胞に作用→血栓性微小血管症(TMA)
↓
HUS三徴:溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害
※ EHECに対して抗菌薬は投与しないのが原則(志賀毒素の大量放出を招くリスク)
O157などのEHEC が腸管で増殖
↓
志賀毒素(Stx1・Stx2)産生・吸収
↓
腎臓・脳などの血管内皮細胞に作用→血栓性微小血管症(TMA)
↓
HUS三徴:溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害
※ EHECに対して抗菌薬は投与しないのが原則(志賀毒素の大量放出を招くリスク)
| 選択肢 | 症候群名 | 主な原因・特徴 |
|---|---|---|
| 1 | トキシックショック症候群 | 黄色ブドウ球菌・A群溶連菌が産生する外毒素(TSST-1など)による。EHECとは無関係 |
| 2 ★ | 溶血性尿毒症症候群(HUS) | EHECの志賀毒素による血栓性微小血管症。溶血性貧血・血小板減少・急性腎障害の三徴 |
| 3 | 過敏性腸症候群(IBS) | 腹痛・便通異常を繰り返す機能性腸疾患。感染との関連はなく、ストレスなどが誘因 |
| 4 | 抗リン脂質抗体症候群 | 抗リン脂質抗体による血栓症・習慣流産。自己免疫疾患でEHECとは無関係 |
| 5 | 悪性症候群 | 抗精神病薬などの急な中止・過量投与による高体温・筋硬直・意識障害。薬剤性でEHECとは無関係 |
⚠️ 引っかけポイント:
・トキシックショック症候群(選択肢1)も「毒素による重篤な症候群」だが、原因は黄色ブドウ球菌・溶連菌の外毒素。EHECとは無関係
・過敏性腸症候群(選択肢3)は「腸の症候群」という言葉から連想しやすいが、感染症との直接的関連はない機能性疾患
・悪性症候群(選択肢5)は薬剤性の緊急症。「症候群」という共通点で紛らわしいが全く別物
・トキシックショック症候群(選択肢1)も「毒素による重篤な症候群」だが、原因は黄色ブドウ球菌・溶連菌の外毒素。EHECとは無関係
・過敏性腸症候群(選択肢3)は「腸の症候群」という言葉から連想しやすいが、感染症との直接的関連はない機能性疾患
・悪性症候群(選択肢5)は薬剤性の緊急症。「症候群」という共通点で紛らわしいが全く別物
臨床メモ
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薬剤師 あおい
EHECに対して抗菌薬を使うと、原則として抗菌薬は投与しません。これは薬剤師として必ず知っておくべき重要ポイントです。抗菌薬によって菌が一斉に死滅・溶菌する際に、菌体内に蓄積していた志賀毒素が大量に放出されます。その結果、血中の毒素濃度が急上昇してHUSを誘発・悪化させる可能性があるためです。「O157に感染したので抗菌薬をください」という相談があっても、安易に勧めてはいけません。
HUSは小児に多く、下痢開始から1週間前後で発症することが多いです。下痢が血性(血便)になった後に尿量が急に減ってきたら要注意のサインです。治療は輸液・透析などの支持療法が中心で、特異的な治療薬はありません。重症例には血漿交換が行われることもあります。












