【第111回薬剤師国家試験】問73 SMON(亜急性脊髄視神経症)の原因薬 解説

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第111回 問73
第111回 問73
必須問題|法規・制度・倫理
SMON(亜急性脊髄視神経症)の原因薬
問題文
亜急性脊髄視神経症(subacute myelo-optico-neuropathy)を生じて、薬害の原因となった医薬品はどれか。1つ選べ。
1
サリドマイド
2
クロロキン
3
キノホルム
4
ソリブジン
5
ペニシリン
正解です!
主要な薬害事件と原因薬のセットは必ず押さえましょう。
×
不正解です。正解は 3 キノホルム です。
SMONはキノホルム(整腸剤)による薬害です。
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正解:3 キノホルム

SMON(亜急性脊髄視神経症)は、整腸剤として広く使用されていたキノホルムが原因で起こった薬害事件。下肢の知覚障害・麻痺、視力障害(失明に至る例も)をきたし、約1万1千人の患者が出た。1970年にキノホルム製剤の販売が中止された。

SMONはSubacute Myelo-Optico-Neuropathyの略。「Myelo=脊髄」「Optico=視神経」「Neuro=神経」という病名のとおり、脊髄・視神経・末梢神経が障害される疾患です。長期・大量のキノホルム服用により神経毒性が生じることが明らかになりました。

選択肢医薬品関連する薬害・有害事象
1 サリドマイド 催奇形性(四肢形成不全・アザラシ肢症)。睡眠薬として1950年代に使用され、欧州・日本で被害
2 クロロキン クロロキン網膜症(視野障害・失明)。関節リウマチ・SLEの治療薬として使用されたが、長期投与で網膜色素変性
3 ★ キノホルム SMON(亜急性脊髄視神経症)。整腸剤として使用。下肢麻痺・視力障害。約1万1千人が被害
4 ソリブジン 5-FUとの相互作用による死亡事故(1993年)。ソリブジンの代謝物BVUがDPDを阻害し5-FUの血中濃度が上昇
5 ペニシリン 薬害の原因薬としては国試頻出ではない。アナフィラキシーの代表例として知られる

主要な薬害事件を整理すると以下のとおりです。

事件名原因薬主な被害背景・年代
SMON事件 キノホルム 脊髄・視神経障害、下肢麻痺・失明 1960〜70年代。整腸剤として使用
サリドマイド事件 サリドマイド 催奇形性(アザラシ肢症) 1950〜60年代。睡眠薬・妊娠悪阻
クロロキン事件 クロロキン 網膜色素変性・失明 1950〜70年代。リウマチ・SLE治療
薬害エイズ事件 非加熱血液製剤 HIV感染 1980年代。血友病患者に投与
薬害肝炎事件 フィブリノゲン製剤等 C型肝炎感染 1980〜90年代。手術時に投与
ソリブジン事件 ソリブジン 5-FU系薬との相互作用死亡 1993年。発売直後に死亡事故
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢2(クロロキン)も「視力障害」を起こすため、SMONのキノホルムと混同しやすい。クロロキンは網膜症(視野障害)、キノホルムは脊髄・視神経の両方に障害が出る点が異なる
選択肢4(ソリブジン)も重大な薬害事件の原因薬だが、症状は5-FUの過剰毒性(骨髄抑制・消化管障害)であり、SMONとは全く別
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

SMON事件は日本の薬事行政を大きく変えた出来事です。この事件をきっかけに1979年に薬事法が大改正され、承認審査の厳格化・副作用報告制度・市販後調査(PMS)義務化などが整備されました。現在の医薬品安全対策の礎はここにあります。

ソリブジン事件(1993年)も薬剤師として絶対に押さえておく相互作用です。帯状疱疹治療薬のソリブジンとフルオロウラシル系抗がん剤(UFT・5-FUなど)を併用すると、ソリブジンの代謝物BVUがジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を不可逆的に阻害し、5-FUの血中濃度が急激に上昇して骨髄抑制・死亡に至ります。発売後わずか数週間で死亡例が相次ぎ販売中止になった事件で、現在でも処方チェック時の相互作用確認の重要性を語る際に引き合いに出される事例です。

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