【臨床検査値】健康診断で尿酸値(UA)が高いと言われたら?基準値と痛風を防ぐ対策を薬剤師が解説

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【臨床検査値】健康診断で尿酸値(UA)が高いと言われたら?基準値と痛風を防ぐ対策を薬剤師が解説

あおい

尿酸(UA)ってどんな検査値なんだろう?

・臨床検査値のことを学びたい
・尿酸(UA)について知りたい

この記事はこういった悩みをもった方向けです。

あおい

こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!

この記事では、臨床検査値の尿酸(UA)についてまとめていきます!

目次

【臨床検査値】尿酸(UA)ってどんな検査値?

尿酸(UA)とは?

尿酸(UA)ってどんな検査値?

尿酸(UA)は、ヒトにおける「プリン体」の最終代謝産物です。体内のエネルギー代謝の過程で生じる、いわば「燃えカス」のような存在です。

プリン体が生成される内訳
食べ物から 3割
DNAやATPの分解から 7割

※食事制限だけでなく、体内の新陳代謝も尿酸値に大きく影響します。

UAの基準値
男性
3.7 〜 7.0 mg/dL
女性
2.6 〜 7.0 mg/dL

※男女ともに 7.0 mg/dL を超えると「高尿酸血症」とされます。

プリン体とは?

プリン体とは?食品ごとの含有量分類

プリン体は、穀物、肉、魚、野菜など食物全般に含まれる成分で、主に「旨みの成分」にあたります。細胞の核を構成する成分でもあるため、幅広い食品に含まれています。

食品中のプリン体含有量による分類
(100gあたりの含有量:『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』より)
含有量(目安) 分類
300mg 以上 極めて多い
200 〜 300mg 多い
50 〜 100mg 少ない
50mg 以下 極めて少ない

💡 Point:
「プリン体=悪」と思われがちですが、身体に必要な成分でもあります。大切なのは「極めて多い」に分類される食品を控え、バランスを整えることです。

あおい

次は、プリン体を多く含む食品を見ていきましょう!

プリン体を多く含む食品

食べ過ぎ注意!プリン体が多い代表的な食品

100gあたりのプリン体含有量が200mgを超える「多い」〜「極めて多い」に分類される代表的な食品です。これらは「旨みの塊」でもありますが、尿酸値が気になる方は控える必要があります。

🥩
レバー類(鶏・豚・牛)
210~320mg / 100g
🍶
白子
約300mg / 100g
🐟
一部の魚介類(カツオ・エビ等)
210~270mg / 100g

💡 Point:干物や出汁にも注意
水分を飛ばした「干物(アジの開き等)」や、旨みが凝縮された「出汁・ラーメンのスープ」もプリン体が非常に濃縮されています。「食べる量」だけでなく「エキス」の摂取にも気を配るのがポイントです。

プリン体の代謝経路

尿酸はどうやって作られる?プリン体の代謝経路

食事や体内から生じたプリン体は、肝臓などでいくつかのステップを経て分解されます。その最終段階で「キサンチンオキシダーゼ(XO)」という酵素が働き、尿酸へと姿を変えます。

プリン体の代謝経路:ヒポキサンチン、キサンチン、尿酸の流れ
分解のステップ
プリン体 ヒポキサンチン キサンチン 尿酸

この最後のバトンパス(キサンチン ➔ 尿酸)を担当するのがXO(キサンチンオキシダーゼ)です。多くの尿酸治療薬は、このXOの働きをブロックすることで尿酸の生成を抑えています。

あおい

プリン体については詳しくこちらで解説しています♪

高尿酸血症について

バランスが崩れた状態:「高尿酸血症」とは?

健康な人の体内では、1日に約600~800mgの尿酸が作られ(産生)、同じくらいの量が尿や便として体の外へ捨てられます(排泄)。この「作る量」と「捨てる量」のバランスが保たれているため、体内の尿酸の量は常に一定です。

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)

何らかの原因で「尿酸が作られすぎる」または「うまく排泄されない」状態になり、血液中の尿酸がダブついてしまった状態を指します。

血清尿酸値 > 7.0 mg/dL

💡 Point:なぜ「7.0」がボーダーライン?
尿酸は血液(水)に非常に溶けにくい物質です。その「血液に溶けきれる限界の量」がちょうど 7.0 mg/dL なのです。これを超えると、溶けきれなかった尿酸がトゲトゲの「結晶」となり、関節に溜まって痛風発作の火種になってしまいます。

高尿酸血症の治療指針

7.0を超えたら即治療?高尿酸血症の治療指針

「尿酸値が7.0を超えたら、すぐに薬を飲まないといけないの?」と不安になる方も多いですが、全員がすぐに薬物治療の対象になるわけではありません。生活習慣の改善を基本としつつ、以下の基準に沿って薬物治療が検討されます。

高尿酸血症の治療指針フローチャート

参照:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン

💊 薬物治療の対象となる3パターン
  • ① 血清尿酸値 7.0 mg/dL以上 で、すでに「痛風関節炎(痛風発作)」や「痛風結節(しこり)」を認める場合
  • ② 血清尿酸値 8.0 mg/dL以上 で、何らかの「合併症」がある場合
  • ③ 血清尿酸値 9.0 mg/dL以上 (無症状・合併症なしでも対象)

💡 Point:「合併症」って具体的に何?
②の「合併症」とは、主に腎障害、尿路結石、高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドロームなどを指します。痛風発作がなくても、これらの持病がある場合は尿酸が血管や腎臓にダメージを与えやすいため、早め(8.0以上)に薬で数値を下げる必要があります。

高尿酸血症の薬物治療

高尿酸血症と痛風に使われる薬まとめ

治療に使われる薬は、大きく分けて「尿酸値をコントロールする薬」「痛風発作の痛みを抑える薬」の2種類があります。この2つは全く役割が異なるため、正しく使い分けることが重要です。

1. 尿酸値を下げる薬(コントロール薬)
① 尿酸生成抑制薬(作らせない薬)

尿酸の生成に関わる「キサンチンオキシダーゼ(XO)」という酵素の働きを阻害し、尿酸が作られるのを元からストップさせます。

尿酸合成阻害薬の機序:キサンチンオキシダーゼの阻害
代表薬: ザイロリック®(アロプリノール)、フェブリク®(フェブキソスタット)、トピロリック®/ウリアデック®(トピロキソスタット)
② 尿酸排泄促進薬(外へ捨てる薬)

腎臓で尿酸が再吸収されるのを防ぎ、尿と一緒に体の外へ効率よく追い出します。

代表薬: ユリノーム®(ベンズブロマロン)、ベネシッド®(プロベネシド)、ユリス®(ドチヌラド)
2. 痛風発作を抑える薬(痛み止め)

※これらの薬に尿酸値を下げる効果はありません。

発作の「予感」がしたら:コルヒチン
関節がムズムズするような「発作の前兆」を感じた時に飲みます。白血球の暴走を抑え、激痛になるのを未然に防ぎます。
発作が「起きて」しまったら:NSAIDs
激しい痛みと炎症を速やかに抑えます。発作時は通常よりも多めの量(パルス療法)を使うことがあります。
代表薬:ナイキサン®、ロキソニン®など

💡 Point
痛風発作の激痛の最中に、慌てて尿酸値を下げる薬(フェブリク等)を飲み始めたり、量を増やしたりすると、かえって痛みが悪化することがあります。発作時はまず「痛み止め」で火消しをすることが最優先です。

尿酸値の増加要因

あなたはどのタイプ?高尿酸血症の3つの「病型」

なぜ尿酸値が高くなっているのか?その原因(増加要因)によって、高尿酸血症は大きく3つの病型に分けられます。病型が異なれば、治療に使うべき薬の選択も変わってきます。

病型 尿中尿酸排泄量
(mg/kg/hr)
尿酸クリアランス
(mL/min)
① 尿酸産生過剰型 > 0.51 および ≧ 7.3
② 尿酸排泄低下型 < 0.48 あるいは < 7.3
③ 混合型 > 0.51 および < 7.3
尿酸クリアランス
尿酸の「除去能力」を評価する指標です。1分当たりにどれだけの尿酸を処理(除去)できたかをmLで表します。
基準値:7.3 ~ 14.7 (mL/min)
尿中尿酸排泄量
尿酸が「どれだけ外へ捨てられているか」の指標です。体重1kg当たり、1時間の排泄量をmgで表します。
基準値:0.48 ~ 0.51 (mg/kg/hr)

📌 Point

「作られすぎている(産生過剰)」なら尿酸生成抑制薬を、「捨てられていない(排泄低下)」なら尿酸排泄促進薬を選ぶのが治療の基本です。ちなみに、日本人の高尿酸血症は約6割が「尿酸排泄低下型」だと言われています。

食事療法と運動療法

生活習慣の改善
☕ 尿酸値を下げる・上がりにくくする食事
⭕️ 積極的に摂りたいもの
  • 乳製品(低脂肪牛乳やヨーグルト): 含まれるカゼインなどのタンパク質が、腎臓での尿酸排泄を強く促すことが複数の研究で証明されています。
  • コーヒー: 習慣的なコーヒーの摂取は、痛風発作のリスクを下げることが疫学調査で報告されています。
  • 十分な水分: 尿酸を洗い流すため、1日2リットル以上の飲水(水やお茶)が推奨されます。
❌ 要注意な飲み物・食べ物
  • 果糖(フルクトース): 甘いジュースやスポーツ飲料に含まれる果糖は、体内で代謝される過程で尿酸を急増させます。
  • アルコール全般: ビール(プリン体)だけでなく、アルコールそのものが尿酸の排泄を邪魔します。
🏃‍♂️ 運動は「息が弾む程度」が正解

肥満の解消は尿酸値低下に直結しますが、運動の種類を間違えると逆効果になります。

⭕️ おすすめ:有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギングなど。脂肪を燃焼し、尿酸値を下げる効果が期待できます。
❌ NG:激しい無酸素運動
息を止めて行う筋トレや全力ダッシュは、細胞のエネルギー(ATP)を急激に消費し、尿酸を大量に生み出します。

📌 Point

「尿酸値が高い=ビールを我慢する」だけではありません。「低脂肪の乳製品を取り入れる」「甘いジュース(果糖)をお茶やブラックコーヒーに変える」「激しい筋トレではなくウォーキングにする」など、科学的根拠に基づいた正しい対策で数値をコントロールしましょう!

まとめ

この記事のおさらい
📌 まとめ Point
  • 尿酸(UA) は、ヒトにおけるプリン体の最終代謝産物である。
  • 尿酸生成量が排泄量を上回り、血清尿酸値が 7.0 mg/dL を超える状態を「高尿酸血症」という。
  • 増加要因によって病型が大きく3つに分かれ、病型によって治療に使われる薬剤選択が異なる。
痛風発作は「風が吹いても痛い」と言われるほど辛いものです。
健康診断で「7.0」を超えてしまった方は、まずは水分をしっかり摂り、食生活を見直すところから始めてみましょう!

関連問題

📝 実戦問題

尿酸および高尿酸血症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 尿酸は、ヒトにおいてプリン体の最終代謝産物である。
  2. 高尿酸血症は、血清尿酸値が 8.0 mg/dL を超える状態と定義されている。
  3. フェブキソスタットは、腎臓での尿酸再吸収を阻害し、尿酸排泄を促進する。
  4. 日本人の高尿酸血症の病型は、「尿酸排泄低下型」が最も多い。
  5. コルヒチンは、痛風発作の極期(激痛時)に、尿酸値を急激に下げる目的で使用される。
▼ タップして解答・解説を見る
正解: 1 と 4
1. 正しい ⭕

尿酸は、食事由来や体内での細胞分解(DNAやATP)によって生じたプリン体の最終代謝産物です。

2. 誤り ❌

高尿酸血症の診断基準は、血清尿酸値が 7.0 mg/dL を超える状態です。8.0 mg/dLは合併症がある場合の薬物治療開始の目安です。

3. 誤り ❌

フェブキソスタットは、キサンチンオキシダーゼ(XO)を阻害する「尿酸生成抑制薬」です。排泄促進薬ではありません。

4. 正しい ⭕

日本人の高尿酸血症の約6割は「尿酸排泄低下型」です。そのため、排泄能力(尿酸クリアランス)の評価が重要になります。

5. 誤り ❌

コルヒチンは痛風発作の「前兆期」に使用します。また、尿酸値を下げる作用はなく、発作中に尿酸値を変動させることは禁忌とされています。

最後に

今回は、臨床検査値の尿酸(UA)についてまとめていきました。

あおい

他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪

»臨床検査値を学ぶ

より詳しく検査値のことを学びたい方は下記の書籍がわかりやすくてオススメです♪

»薬剤師のための基礎からの検査値の読み方 臨床検査専門医×薬剤師の視点
【臨床検査値】健康診断で尿酸値(UA)が高いと言われたら?基準値と痛風を防ぐ対策を薬剤師が解説

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