第110回
問132
理論問題|衛生
活性酸素による傷害を防ぐための生体防御因子
問132(理論)
活性酸素による傷害を防ぐための生体防御因子に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
カタラーゼは、過酸化水素を水と酸素に分解する。
—
2
スーパーオキシドジスムターゼは、活性中心にヘム鉄をもつ。
—
3
グルタチオンペルオキシダーゼは、活性中心にマンガンをもつ。
—
4
β-カロテンは、体内で代謝されてビタミンAとなる。
—
5
ビタミンEは、主に細胞質で抗酸化作用を示す。
—
正解です!
解説で各抗酸化酵素・ビタミンの作用機序と部位を確認しましょう。
不正解です。正解は 1、4 です。
解説で各抗酸化酵素・ビタミンの作用機序と部位を確認しましょう。
解説を見る▼
生体には活性酸素種(ROS)による酸化ストレスから細胞を守るため、酵素系・非酵素系(ビタミン等)の抗酸化防御システムが備わっています。それぞれの活性中心や作用部位を正確に対応づけることがポイントです。
抗酸化酵素の活性中心
・カタラーゼ:活性中心にヘム鉄をもち、過酸化水素(H2O2)を水と酸素に分解する(2H2O2 → 2H2O + O2)
・スーパーオキシドジスムターゼ(SOD):スーパーオキシドアニオン(O2–)を過酸化水素へ変換する酵素。ヒトではCu/Zn-SOD(細胞質)とMn-SOD(ミトコンドリア)が存在し、活性中心は銅・亜鉛またはマンガンであり、ヘム鉄ではない
・グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx):活性中心にセレン(セレノシステイン)をもち、過酸化水素や脂質過酸化物をグルタチオン(GSH)を用いて還元・無毒化する
・カタラーゼ:活性中心にヘム鉄をもち、過酸化水素(H2O2)を水と酸素に分解する(2H2O2 → 2H2O + O2)
・スーパーオキシドジスムターゼ(SOD):スーパーオキシドアニオン(O2–)を過酸化水素へ変換する酵素。ヒトではCu/Zn-SOD(細胞質)とMn-SOD(ミトコンドリア)が存在し、活性中心は銅・亜鉛またはマンガンであり、ヘム鉄ではない
・グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx):活性中心にセレン(セレノシステイン)をもち、過酸化水素や脂質過酸化物をグルタチオン(GSH)を用いて還元・無毒化する
抗酸化ビタミンの作用
・β-カロテン:プロビタミンAであり、腸管や肝臓でβ-カロテン開裂酵素により代謝されてビタミンA(レチノール)に変換される。抗酸化作用(一重項酸素の消去等)も併せ持つ
・ビタミンE(α-トコフェロール):脂溶性ビタミンであり、主に細胞膜の脂質二重層(生体膜)内で脂質の過酸化連鎖反応を止める抗酸化作用を示す。水溶性の細胞質ではなく、脂質環境で機能する点が特徴
・β-カロテン:プロビタミンAであり、腸管や肝臓でβ-カロテン開裂酵素により代謝されてビタミンA(レチノール)に変換される。抗酸化作用(一重項酸素の消去等)も併せ持つ
・ビタミンE(α-トコフェロール):脂溶性ビタミンであり、主に細胞膜の脂質二重層(生体膜)内で脂質の過酸化連鎖反応を止める抗酸化作用を示す。水溶性の細胞質ではなく、脂質環境で機能する点が特徴
各選択肢の解説
◯ 1 カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する酵素であり、正しい記述である
× 2 スーパーオキシドジスムターゼの活性中心は銅・亜鉛(Cu/Zn-SOD)またはマンガン(Mn-SOD)であり、ヘム鉄ではない。ヘム鉄を活性中心にもつのはカタラーゼである
× 3 グルタチオンペルオキシダーゼの活性中心はセレンであり、マンガンではない。マンガンを活性中心にもつのはMn-SOD(ミトコンドリア型SOD)である
◯ 4 β-カロテンは体内で代謝されてビタミンAとなるプロビタミンAであり、正しい記述である
× 5 ビタミンEは主に細胞膜の脂質層で抗酸化作用を示す脂溶性ビタミンであり、水溶性環境である細胞質が主な作用の場ではない
◯ 1 カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する酵素であり、正しい記述である
× 2 スーパーオキシドジスムターゼの活性中心は銅・亜鉛(Cu/Zn-SOD)またはマンガン(Mn-SOD)であり、ヘム鉄ではない。ヘム鉄を活性中心にもつのはカタラーゼである
× 3 グルタチオンペルオキシダーゼの活性中心はセレンであり、マンガンではない。マンガンを活性中心にもつのはMn-SOD(ミトコンドリア型SOD)である
◯ 4 β-カロテンは体内で代謝されてビタミンAとなるプロビタミンAであり、正しい記述である
× 5 ビタミンEは主に細胞膜の脂質層で抗酸化作用を示す脂溶性ビタミンであり、水溶性環境である細胞質が主な作用の場ではない
引っかけポイント:
・選択肢2・3:カタラーゼ(ヘム鉄)、SOD(Cu/Zn・Mn)、グルタチオンペルオキシダーゼ(セレン)の活性中心を入れ替えた典型的な誤り選択肢。3つの酵素の活性中心をセットで正確に覚えておく必要がある
・選択肢5:脂溶性ビタミンであるビタミンEの作用の場を、水溶性の「細胞質」にすり替えている点に注意する。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は生体膜など脂質環境で機能することが多い
・選択肢2・3:カタラーゼ(ヘム鉄)、SOD(Cu/Zn・Mn)、グルタチオンペルオキシダーゼ(セレン)の活性中心を入れ替えた典型的な誤り選択肢。3つの酵素の活性中心をセットで正確に覚えておく必要がある
・選択肢5:脂溶性ビタミンであるビタミンEの作用の場を、水溶性の「細胞質」にすり替えている点に注意する。脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は生体膜など脂質環境で機能することが多い
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
抗酸化酵素の活性中心には、金属や微量元素(鉄・銅・亜鉛・マンガン・セレン)が関わっており、これらの微量元素の欠乏は抗酸化防御能の低下につながります。特にセレンは日本人の通常の食生活では不足しにくい元素ですが、完全静脈栄養(TPN)の長期管理などでは微量元素欠乏に注意が必要です。
また、Cu/Zn-SODをコードする遺伝子(SOD1)の変異は、一部の家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因としても知られており、活性酸素の処理機構は神経変性疾患の病態研究でも重要なキーワードです。










