【第110回薬剤師国家試験】問142 薬局開設者による患者個人情報の第三者提供 解説

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第110回 問142
第110回 問142
理論問題|法規・制度・倫理
薬局開設者による患者個人情報の第三者提供
問142(理論)
薬局の開設者が、患者の同意なしでも患者の個人情報を第三者に提供できるのはどれか。2つ選べ。
1
患者が通学する学校の養護教諭から、今後の健康管理のため患者の処方薬について照会があった場合
2
民間保険会社から、保険加入の勧誘のため患者の連絡先について照会があった場合
3
患者が意識不明で緊急搬送された医療機関から、患者の薬剤服用歴について照会があった場合
4
服薬指導時に得た患者情報から処方内容に疑義が生じ、処方医に照会する場合
5
患者が勤める勤務先から、健康状態の確認のため既往歴について照会があった場合
正解です!
解説で個人情報保護法上の第三者提供の例外規定を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 3、4 です。
解説で個人情報保護法上の第三者提供の例外規定を確認しましょう。
解説を見る

個人情報保護法上、患者の要配慮個人情報(診療・調剤情報を含む)を本人の同意なく第三者に提供することは原則として禁止されていますが、一定の例外事由に該当する場合は同意なしでの提供が認められています。

本人の同意なく第三者提供が認められる主な例外事由
・法令に基づく場合
人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(例:意識不明の救急患者の治療のための情報提供)
・また、処方医への疑義照会のように、同一の医療提供という目的の範囲内で行われる医療従事者間の情報のやり取りは、そもそも「無関係な第三者への提供」には当たらず、通常の調剤業務(薬剤師法上の義務でもある)として扱われる
各選択肢の解説
× 1 学校の養護教諭は、患者の直接の治療に関わる医療従事者ではなく、緊急性もない一般的な健康管理目的の照会であるため、患者(保護者)の同意なく処方薬情報を提供することはできない
× 2 民間保険会社からの照会は、営業・勧誘目的の第三者からのものであり、法令上の根拠や緊急性もないため、同意なく個人情報を提供することはできない
◯ 3 患者が意識不明で緊急搬送された状況は、「人の生命・身体の保護のために必要があり、かつ本人の同意を得ることが困難なとき」に該当するため、同意なく薬剤服用歴を提供することができる
◯ 4 処方医への疑義照会は、同一の医療提供(調剤)という目的の範囲内で行われる医療従事者間の情報共有であり、無関係な第三者への提供とは扱われない。また薬剤師法上、疑義照会は薬剤師の義務でもあるため、同意なく行うことができる
× 5 勤務先からの照会は、患者本人の同意なしに開示すべき法令上の根拠や緊急性がなく、同意を得ずに既往歴を提供することはできない
引っかけポイント:
・選択肢1・5:「健康管理」「健康状態の確認」など、一見もっともらしい目的であっても、照会元が直接の治療に関与しない第三者(学校・勤務先)であれば、同意なしの提供はできない点に注意する
・選択肢4:疑義照会を「第三者提供」として捉えてしまうと誤りやすいが、同一の医療提供目的内での医療従事者間の情報共有は、通常「第三者提供」には該当しない(かつ薬剤師の法的義務でもある)という理解が必要
・選択肢3:「緊急性」と「本人の同意取得の困難性」の両方の要件を満たすことが、この例外規定の適用条件であることを押さえておく
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

実務では、家族や学校、職場からの問い合わせに丁寧に対応しつつも、患者本人の同意なしに服薬情報を伝えてよいかどうかを瞬時に判断する場面がしばしばあります。特に「善意からの照会」に見える場合ほど、つい情報を提供してしまいそうになりますが、原則は「本人の同意」に立ち返ることが大切です。

一方、救急搬送のような緊急事態では、迅速な情報提供が患者さんの命を守ることに直結します。「本人の同意を得ることが困難」という要件を満たす緊急性の高い状況では、ためらわず必要な情報を医療機関に提供することも、薬剤師の重要な役割です。

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