【第111回薬剤師国家試験】問84 添付文書上、手術前後の患者に禁忌の薬剤 解説

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第111回 問84
第111回 問84
必須問題|実務
添付文書上、手術前後の患者に禁忌の薬剤
問題文
注意事項等情報(添付文書)上、手術前後の患者に対して禁忌なのはどれか。1つ選べ。
1
アミオダロン
2
ダパグリフロジン
3
ニフェジピン
4
バルプロ酸
5
レボチロキシン
正解です!
SGLT2阻害薬は手術前後、正常血糖ケトアシドーシスのリスクから禁忌です。
×
不正解です。正解は 2 ダパグリフロジン です。
SGLT2阻害薬は手術前後の患者に禁忌。手術3日前をめどに休薬が必要です。
解説を見る

正解:2 ダパグリフロジン

SGLT2阻害薬(ダパグリフロジンなど)は、手術前後の患者に対して添付文書上禁忌。理由は、手術による絶食・侵襲・脱水により正常血糖ケトアシドーシス(euglycemic DKA)が発症するリスクが高まるため。血糖値が正常範囲でもケトアシドーシスに陥るため発見が遅れやすく、重篤になりやすい。
SGLT2阻害薬の手術前後の禁忌と休薬目安
・添付文書上の禁忌:「手術前後の患者」
・休薬目安:手術の少なくとも3日前から休薬(施設・薬剤により異なる場合あり)
・理由:グルコース排泄↑+絶食による糖質不足 → ケトン体産生亢進 → euglycemic DKA
・対象薬:ダパグリフロジン(フォシーガ®)、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)、カナグリフロジン(カナグル®)など全SGLT2阻害薬
選択肢薬剤名薬効分類手術前後の扱い
1 アミオダロン 抗不整脈薬(Kチャネル遮断) 手術前後の禁忌記載なし。ただし半減期が長く休薬困難なため周術期管理に注意は必要
2 ★ ダパグリフロジン SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬) 禁忌:手術前後の患者。euglycemic DKAリスクのため
3 ニフェジピン Ca拮抗薬(降圧薬) 手術前後の禁忌記載なし。降圧薬は原則術当日朝まで継続が基本
4 バルプロ酸 抗てんかん薬・気分安定薬 手術前後の禁忌記載なし。てんかん患者では原則継続。妊婦禁忌は別途あり
5 レボチロキシン 甲状腺ホルモン製剤 手術前後の禁忌記載なし。甲状腺機能低下症では術中も継続が基本
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1(アミオダロン)は半減期が数十日と非常に長く周術期管理が難しい薬だが、添付文書上「手術前後の患者」への禁忌記載はない
選択肢3(ニフェジピン)・5(レボチロキシン)はむしろ術当日朝まで継続が推奨される薬剤であり、禁忌とは逆の方向
選択肢4(バルプロ酸)はてんかんや双極性障害の患者で急な中断が危険なため、手術前後も原則継続
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

SGLT2阻害薬による正常血糖ケトアシドーシス(euglycemic DKA)は、「血糖が正常なのにケトアシドーシス」という点が落とし穴です。通常のDKAは高血糖を手がかりに発見されますが、euglycemic DKAでは血糖が正常〜軽度上昇にとどまるため、気づかれるのが遅れがちです。術後の倦怠感・悪心・腹痛がある患者では血糖値だけでなく血中ケトン体や血液ガス(pH・HCO₃⁻)の確認が重要です。

薬局でSGLT2阻害薬を服用中の患者が「来月手術があります」と言ったとき、「手術の3日前から休薬が必要ですよ」と伝えることが薬剤師の大切な役割です。患者自身が休薬の必要性を知らないケースも多いため、積極的に確認・説明するようにしましょう。

手術前に休薬が必要な薬剤はSGLT2阻害薬だけではありません。抗血栓薬(抗血小板薬・抗凝固薬)にも各薬剤ごとに休薬期間の目安があります。→ 抗血栓薬の手術前休薬期間(投与中止時期)のゴロ!

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