【第111回薬剤師国家試験】問102 求核アシル置換反応の反応性 解説

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第111回 問102
第111回 問102
理論問題|化学
求核アシル置換反応の反応性
問102 求核アシル置換反応の反応性が最も低いのはどれか。1つ選べ。
1
選択肢1
2
選択肢2
3
選択肢3
4
選択肢4
5
選択肢5
正解です!
エチルエステルは脱離基(エタノール)の能力が最も低く、反応性が最小です。
×
不正解です。正解は 4 です。
解説で反応性の順序を確認しましょう。
解説を見る
求核アシル置換反応の反応性は「脱離基の脱離能」で決まる
求核アシル置換反応では、求核剤がカルボニル炭素を攻撃し、四面体中間体を経て脱離基が離れる。
反応性が高い = 脱離基がより安定した状態(共役塩基)で離れやすい = 脱離基の共役酸の pKa が小さい(酸が強い)。
脱離基の共役酸のpKaが小さいほど反応性が高く、大きいほど反応性が低い

【各選択肢の化合物と反応性】

選択肢化合物脱離基脱離基の共役酸のpKa反応性
1 アシルイソウレア(DCC活性エステル) ジシクロヘキシルイソウレア 約10〜11(弱酸) 非常に高い(活性化エステル)
2 プロピオン酸無水物(酸無水物) プロピオン酸イオン(CH₃CH₂COO⁻) 約4.9 高い
3 フェニルプロピオナート(フェニルエステル) フェノキシド(PhO⁻) 約10.0 中程度(通常エステルより高い)
4 ★ エチルプロピオナート(エチルエステル) エトキシド(EtO⁻)/ エタノール 約15.9(弱酸) 最も低い
5 塩化プロピオニル(酸塩化物) 塩化物イオン(Cl⁻) 約−7(強酸) 最も高い

【反応性の順序まとめ】

【一般的な求核アシル置換反応の反応性順序】
酸塩化物 > 酸無水物 >(活性エステル)> エステル > アミド

【本問の選択肢における順序】
反応性(高)→(低)の順:

酸塩化物(5)> 酸無水物(2)> アシルイソウレア(1)> フェニルエステル(3)> エチルエステル(4)

※ 脱離基の共役酸のpKa(低い順):
HCl(−7)< プロピオン酸(4.9)< フェノール(10.0)< イソウレア(〜10〜11)< エタノール(15.9)

∴ エタノールは最も弱い酸(pKa最大)→ エトキシドは最も脱離しにくい → エチルエステルが最も反応性が低い
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:グアニジン系の活性エステルに見えるが、これはDCC縮合剤との活性化中間体(アシルイソウレア)であり、反応性は非常に高い
選択肢3:フェニルエステルは「普通のエステル」に見えるが、フェノールはエタノールより酸性(pKa 10 vs 16)なので、エチルエステルより反応性が高い
・pKa の大小と反応性の高低を結びつける思考が重要
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

求核アシル置換反応の反応性の差は、プロドラッグ設計に直接関わります。たとえば、エステル型プロドラッグはエステラーゼによる加水分解で活性体に変換されますが、エチルエステルは反応性が低いため、生体内での加水分解を緩やかにするのに利用されます。

一方、酸塩化物や酸無水物はそのままでは反応性が高すぎて薬として使えませんが、合成の中間体として活用されます。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)を用いたペプチド合成は製剤・バイオ医薬品の製造にも重要な技術です。

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