【第111回薬剤師国家試験】問101 インドールのモノ臭素化反応におけるカチオン中間体 解説

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第111回 問101
第111回 問101
理論問題|化学
インドールのモノ臭素化反応におけるカチオン中間体
問101 インドールのモノ臭素化反応において、主生成物 A が得られる過程で生じるカチオン中間体として、適切なのはどれか。1つ選べ。
反応式
1
選択肢1
2
選択肢2
3
選択肢3
4
選択肢4
5
選択肢5
正解です!
Br⁺が3位に付加し、2位に正電荷が生じたカチオン中間体が正解です。
×
不正解です。正解は 2 です。
解説で反応機構を確認しましょう。
解説を見る
π過剰芳香族複素環化合物の求電子置換反応
ピロール・フラン・チオフェン・インドールは、環内ヘテロ原子の孤立電子対が6π電子系に関与し、ベンゼンより反応性が高い「π過剰芳香族複素環化合物」に分類される。

ピロールでは求電子置換反応は2位(α位)で起こりやすい。一方、インドールはベンゼンとピロール環が縮合した構造のため、3位(β位)が最も反応性が高い。これは、2位に求電子試薬が結合した中間体より、3位に結合した中間体の方が共鳴構造が多く安定であるためである。

【反応機構】

Step 1:Br⁺が3位に付加
Br₂が分極し、Br⁺(求電子剤)がインドールの3位炭素に付加する。
このとき3位がsp³化してBrが結合し、2位(C2)に正電荷が局在したカチオン中間体が生成する。
正電荷はN–C2間で安定化され、窒素が電子を供与できる(共鳴安定化)。

Step 2:脱プロトン(HBrの脱離)
Br⁻が2位のH⁺を引き抜き、3-ブロモインドール(主生成物 A)が生成する。この段階でピロール環の芳香族性が回復する。

∴ カチオン中間体は3位にBr(sp³)・2位にC⁺を持つ構造 → 選択肢2

【各選択肢の構造の誤り】

選択肢Brの位置⁺の位置判定・理由
1 2位 1位(C1) × BrとC⁺の位置が逆。求電子試薬は3位に付加し、正電荷は2位に残る
2 ★ 3位(sp³) 2位(C2) ◯ Br⁺が3位に付加した結果生じる正しいカチオン中間体
3 3a位(sp³) 7a位(N隣) × Brの付加位置もC⁺の位置も誤り。ベンゼン環とピロール環の縮合部への付加は起こらない
4 6位(ベンゼン環) 5位(ベンゼン環) × ベンゼン環側への求電子付加は起こらない。インドールでは3位が優先
5 7位(ベンゼン環) 6位(ベンゼン環) × 同上
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:BrとC⁺の位置が逆(2位にBr・1位に正電荷)。ピロール環への求電子付加では3位に付加し、正電荷は2位に残る
選択肢3:縮合位(3a・7a)への付加は起こらない
選択肢4・5:ベンゼン環側への反応は起こらない。インドールは3位(ピロール環のβ位)が最も反応性が高い

【π過剰 vs π欠如 芳香族複素環の反応性まとめ】

分類代表例特徴求電子置換の反応位置
π過剰型 ピロール、フラン、チオフェン、インドール ヘテロ原子の孤立電子対がπ系に参加 → 電子密度が高い → ベンゼンより反応しやすい ピロール:2位(α位)優先
インドール:3位(β位)優先
π欠如型 ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン 窒素の電子求引効果 → 電子密度が低い → ベンゼンより反応しにくい 3位優先(2・4位は不安定な中間体を経るため避けられる)
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

インドール骨格は医薬品に非常によく登場する構造です。セロトニン(5-HT)・メラトニン・トリプトファンはいずれもインドール誘導体ですし、NSAIDのインドメタシン、抗偏頭痛薬のスマトリプタン(トリプタン系)もインドール骨格を持っています。

「なぜ3位が反応しやすいのか」を理解しておくと、医薬品の代謝や薬物設計の理解にも役立ちます。3位に置換基がある場合は2位が次の反応点になるなど、反応性の順序を覚えておくと応用が利きます。

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