第111回
問119
理論問題|生物
遺伝子改変マウス
問119 遺伝子改変マウスに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
体外受精によって作製したマウスを、クローンマウスとよぶ。
—
2
マウス以外の異種の遺伝子を特定の組織に限って発現する、外来遺伝子導入マウス(トランスジェニックマウス)を作製することができる。
—
3
トランスジェニックマウスでは、外来遺伝子は細胞質に保持されている。
—
4
遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)は、標的遺伝子に対する低分子干渉RNA(siRNA)を発現させることで作製できる。
—
5
ゲノム編集技術を利用してノックアウトマウスを作製することができる。
—
正解です!
組織特異的プロモーターで発現を制御できるトランスジェニックマウスと、CRISPR-Cas9などゲノム編集によるノックアウトマウスが正解です。
不正解です。正解は 2 と 5 です。
解説で各手法の違いを確認しましょう。
解説を見る
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遺伝子改変マウスの主な種類
トランスジェニック(Tg)マウス:外来遺伝子をゲノムに組み込んだマウス。目的の遺伝子を過剰発現させる「ゲイン・オブ・ファンクション」研究に使用。組織特異的プロモーターを用いることで特定の組織のみで発現させることができる。
ノックアウト(KO)マウス:標的遺伝子を破壊・欠損させたマウス。遺伝子の機能を喪失させる「ロス・オブ・ファンクション」研究に使用。相同組換えやゲノム編集(CRISPR-Cas9など)で作製。
クローンマウス:体細胞核移植(SCNT)により、既存の個体と全く同じゲノムを持つマウス。体外受精とは別の手法。
トランスジェニック(Tg)マウス:外来遺伝子をゲノムに組み込んだマウス。目的の遺伝子を過剰発現させる「ゲイン・オブ・ファンクション」研究に使用。組織特異的プロモーターを用いることで特定の組織のみで発現させることができる。
ノックアウト(KO)マウス:標的遺伝子を破壊・欠損させたマウス。遺伝子の機能を喪失させる「ロス・オブ・ファンクション」研究に使用。相同組換えやゲノム編集(CRISPR-Cas9など)で作製。
クローンマウス:体細胞核移植(SCNT)により、既存の個体と全く同じゲノムを持つマウス。体外受精とは別の手法。
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | 体外受精で作製したマウスをクローンマウスとよぶ | × 体外受精マウス ≠ クローンマウス。体外受精は精子と卵子を体外で受精させるだけで、遺伝的には通常の有性生殖と同じ(父母のゲノムが混合)。クローンマウスは体細胞核移植(SCNT)により核提供個体と同一のゲノムを持つ個体として作製される |
| 2 ★ | マウス以外の異種遺伝子を特定の組織に限って発現するTgマウスを作製できる | ◯ トランスジェニックマウスでは、外来遺伝子の上流に組織特異的プロモーターを連結することで、特定の臓器・組織でのみ発現させることができる。また、ヒト遺伝子など異種由来の遺伝子を導入することも可能 |
| 3 | トランスジェニックマウスでは外来遺伝子は細胞質に保持されている | × トランスジェニックマウスの外来遺伝子はゲノムDNA(核内)に組み込まれている。細胞質ではなく核内の染色体に統合されているため、次世代に遺伝的に伝達される(生殖系列伝達)。これがトランスジェニックマウスの特徴 |
| 4 | ノックアウトマウスはsiRNAを発現させることで作製できる | × siRNA(低分子干渉RNA)はノックアウトではなくノックダウンの手法。siRNAはmRNAを分解してタンパク質発現を一時的に抑制するが、ゲノムDNAは改変しないため効果は一過性。ノックアウトマウスは相同組換えやゲノム編集(CRISPR-Cas9)によってゲノムDNA自体を恒久的に破壊して作製する |
| 5 ★ | ゲノム編集技術を利用してノックアウトマウスを作製できる | ◯ CRISPR-Cas9などのゲノム編集技術により、標的遺伝子のDNA二本鎖を特異的に切断し、フレームシフト変異や欠失を導入することでノックアウトマウスを効率よく作製できる。従来の相同組換え法に比べて短期間・低コストで作製可能になった |
⚠️ 引っかけポイント:
・選択肢1:体外受精≠クローン。クローンは「体細胞核移植(SCNT)」による
・選択肢3:外来遺伝子は「細胞質」ではなく「核内のゲノムDNA」に組み込まれる
・選択肢4:siRNA=ノックダウン(一過性・mRNA抑制)、相同組換え/CRISPR=ノックアウト(恒久的・DNA破壊)。混同しないよう注意
・選択肢1:体外受精≠クローン。クローンは「体細胞核移植(SCNT)」による
・選択肢3:外来遺伝子は「細胞質」ではなく「核内のゲノムDNA」に組み込まれる
・選択肢4:siRNA=ノックダウン(一過性・mRNA抑制)、相同組換え/CRISPR=ノックアウト(恒久的・DNA破壊)。混同しないよう注意
臨床メモ
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薬剤師 あおい
CRISPR-Cas9(選択肢5)は2020年のノーベル化学賞受賞技術で、医薬品開発にも革命をもたらしています。鎌状赤血球症・βサラセミアの治療薬カシメルセン(Casgevy)はCRISPR-Cas9を用いたゲノム編集治療薬として2023年に承認された世界初の薬剤です。
また、siRNA(選択肢4)も医薬品として実用化されています。インクリシランはPCSK9遺伝子のmRNAをsiRNAで標的とした脂質異常症治療薬で、年2回の皮下投与でLDL-Cを強力に低下させます。「ノックアウト(DNA破壊)」と「ノックダウン(mRNA抑制)」の違いは薬剤の作用機序理解にも直結しています。










