【第111回薬剤師国家試験】問118 rRNA・tRNA・mRNAの特徴 解説

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第111回 問118
第111回 問118
理論問題|生物
rRNA・tRNA・mRNAの特徴
問118 リボソーム RNA(rRNA)、トランスファー RNA(tRNA)及びメッセンジャー RNA(mRNA)に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
rRNAは、原核細胞と真核細胞の間で長さと配列が全く同じである。
2
rRNAの中には、ペプチド転移反応を触媒するものがある。
3
tRNAは、rRNAやmRNAに比べると塩基長が短い。
4
mRNAの3’末端には、キャップ構造が付加されている。
5
mRNAは、構成塩基としてチミンを含む。
正解です!
rRNAはペプチド転移反応を触媒するリボザイム。tRNAは最も短い約75〜95塩基です。
×
不正解です。正解は 2 と 3 です。
解説で各RNAの特徴を確認しましょう。
解説を見る
3種類のRNAの基本的な特徴
rRNA(リボソームRNA):リボソームの構成成分。タンパク質合成の場を提供し、大サブユニットの23S/28S rRNAがペプチド転移反応を触媒する(リボザイム)。最も多量に存在(細胞内RNA全体の約80%)。
tRNA(トランスファーRNA):アミノ酸をリボソームへ運搬。アンチコドンを持つクローバー葉型構造。約75〜95塩基と最も短い。
mRNA(メッセンジャーRNA):タンパク質のアミノ酸配列情報を伝える。5’末端にキャップ構造(7-メチルグアノシン)、3’末端にポリA鎖を持つ。

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 rRNAは原核・真核細胞で長さと配列が全く同じ × rRNAは原核細胞と真核細胞で大きさ(長さ)が異なる
原核細胞:小サブユニット16S rRNA・大サブユニット23S rRNA
真核細胞:小サブユニット18S rRNA・大サブユニット28S rRNA
この違いを利用してアミノグリコシド系・マクロライド系抗菌薬は原核細胞のリボソームを選択的に阻害する
2 ★ rRNAの中にはペプチド転移反応を触媒するものがある ◯ リボソームの大サブユニットに含まれる23S rRNA(原核)/ 28S rRNA(真核)が、ペプチジルトランスフェラーゼ活性(ペプチド転移反応)を持つリボザイム(触媒活性を持つRNA)として機能する。タンパク質ではなくRNAが触媒活性を持つという重要なポイント
3 ★ tRNAはrRNAやmRNAに比べると塩基長が短い ◯ tRNAは約75〜95塩基と3種類の中で最も短い。rRNAは数百〜数千塩基、mRNAはコードする遺伝子によって異なるが数百〜数千塩基以上。∴ tRNA < rRNA ≒ mRNA の順で塩基長が短い
4 mRNAの3’末端にキャップ構造が付加されている × 末端が逆。キャップ構造(7-メチルグアノシン、m⁷G)が付加されるのは5’末端。3’末端にはポリA鎖(ポリアデニル酸)が付加される。
5’キャップ:翻訳開始・mRNA安定化・核外輸送に関与
3’ポリA鎖:mRNAの安定化・翻訳促進に関与
5 mRNAは構成塩基としてチミンを含む × RNAの構成塩基はアデニン(A)・グアニン(G)・シトシン(C)・ウラシル(U)チミン(T)はDNAの構成塩基であり、RNAには含まれない。RNAではチミンの代わりにウラシルが使われる(ウラシルはチミンからメチル基が除かれた構造)
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:rRNAの大きさは原核(16S/23S)と真核(18S/28S)で異なる。この差が抗菌薬の選択毒性の根拠
選択肢4:キャップは「5’末端」、ポリA鎖は「3’末端」。3’と5’を逆に覚えないよう注意
選択肢5:チミン=DNA専用。RNA(mRNA・tRNA・rRNA全て)にはウラシルが使われる
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臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

選択肢1で触れたrRNAの違いは抗菌薬の作用点として非常に重要です。アミノグリコシド系(ゲンタマイシンなど)は原核細胞の30Sサブユニット(16S rRNA)、マクロライド系(エリスロマイシンなど)・クロラムフェニコールは50Sサブユニット(23S rRNA)を標的とすることで、ヒトのリボソームに影響せず選択的に細菌を阻害します。

また、mRNAワクチン(新型コロナワクチン:ファイザー製・モデルナ製)は、mRNAの5’キャップ・3’ポリA鎖・修飾ウリジン(m1Ψ)などの技術を活用して体内での安定性を高めています。「mRNAが核に入ってDNAに組み込まれる」という誤解を患者さんに正しく説明できることも薬剤師の役割です。

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