第111回
問341
実践問題|実務
経口避妊剤(トリキュラー28)の服薬指導
【症例】
37歳女性。経口避妊剤トリキュラー28の処方箋を持って薬局を訪れた。今回初めて本剤を服用するので、質問票に記載してもらったところ、15年間の喫煙歴(1日10本)があり、お酒は週に数回飲んでいることが分かった。なお、指導の際に本剤の写真(下図)が印刷されたリーフレットを用いて説明した。
問341(実務)
服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
1
この薬は、性感染症のリスクを低下させます。
—
2
初めてこの薬を服用する場合は、月経が終了した日から1番目の赤褐色の錠剤を飲み始めてください。
—
3
通常、白色(大)錠剤を服用している間に月経がありますが、最後まで飲み切ってください。
—
4
この薬を飲み始めるとむくみが生じるので、できる限り水分摂取を制限してください。
—
5
この薬の使用中は禁煙してください。
—
正解です!
経口避妊薬の服用法・血栓症リスクについて正確に理解しています。
不正解です。正解は 3 と 5 です。
解説でトリキュラー28の服用開始日・消退出血・喫煙との関係を確認しましょう。
解説を見る▼
【問341】トリキュラー28の服薬指導
トリキュラー28はレボノルゲストレル+エチニルエストラジオールを含む三相性の低用量経口避妊薬(COC)。21日間は活性錠(ホルモン含有)、最後の7日間(白色(大))はプラセボ(無効錠)で構成される28日周期製剤。COC共通の重大な副作用として静脈血栓塞栓症があり、喫煙はそのリスクを著しく増大させる。
| 選択肢 | 記述 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 | 性感染症リスクの低下 | × 経口避妊薬(COC)は排卵抑制等による避妊効果のみを目的とした薬剤であり、性感染症(STI)の予防効果はない。STI予防にはコンドームの使用等が必要であり、「この薬で性感染症のリスクが下がる」という説明は誤った安心感を与える。 |
| 2 | 月経が終了した日から服用開始 | × COCの服用開始日は、一般的に月経開始日(1日目)からとされる(医師の指示により開始日が異なる場合もある)。「月経が終了した日」から開始するという説明は、服用開始のタイミングを誤って伝えるものであり不適切。 |
| 3 ★ | 白色(大)錠剤服用中の月経・最後まで飲み切る | ◯ 白色(大)の7錠はホルモンを含まないプラセボ錠であり、この期間にエストロゲン・プロゲスチンの消退に伴う消退出血(月経様出血)が起こる。これは正常な反応であり、避妊効果や次周期のスケジュールを保つため最後まで服用を継続することが重要。 |
| 4 | むくみ予防のための水分制限 | × COC服用初期にはむくみ・乏吐・不正出血等の症状が一時的に現れることがあるが、これに対して水分摂取を制限することは医学的に推奨されておらず、不適切な指導。むしろ、水分制限による脱水は、本剤の重大な副作用である静脈血栓塞栓症(VTE)の発現リスクを高めるため、避けるべきである。 |
| 5 ★ | 使用中の禁煙 | ◯ COCは静脈血栓塞栓症のリスクを増大させることが知られており、喫煙はこのリスクをさらに著しく高める。特に35歳以上で1日15本以上の喫煙はCOCの禁忌とされる基準もあり、本症例(37歳・15年間・1日10本の喫煙歴)は血栓症リスクの観点から特に禁煙が強く推奨される対象。 |
⚠️ 引っかけポイント(問341):
・選択肢1:「避妊=性感染症対策」と混同しやすいが、避妊(妊娠予防)とSTI予防は別の概念。COCには抗菌作用や物理的バリアはない。
・選択肢2:「月経終了後」と「月経開始日」を取り違える誤り。COCは月経周期に同調させて開始するため、開始タイミングの記述は正確に理解しておく必要がある。
・選択肢3:「月経のような出血が起きた=薬が効いていない・やめるべき」という誤解を防ぐことが、本選択肢の核心。プラセボ期間中の消退出血は想定された正常な反応であることを伝える。
・選択肢5:本症例の年齢(37歳)・喫煙歴(15年・1日10本)という具体的な背景情報が、この選択肢の重要性を裏付ける根拠になっている。
・選択肢1:「避妊=性感染症対策」と混同しやすいが、避妊(妊娠予防)とSTI予防は別の概念。COCには抗菌作用や物理的バリアはない。
・選択肢2:「月経終了後」と「月経開始日」を取り違える誤り。COCは月経周期に同調させて開始するため、開始タイミングの記述は正確に理解しておく必要がある。
・選択肢3:「月経のような出血が起きた=薬が効いていない・やめるべき」という誤解を防ぐことが、本選択肢の核心。プラセボ期間中の消退出血は想定された正常な反応であることを伝える。
・選択肢5:本症例の年齢(37歳)・喫煙歴(15年・1日10本)という具体的な背景情報が、この選択肢の重要性を裏付ける根拠になっている。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
トリキュラー28の「色」と「役割」の対応:赤褐色(6錠)→白色(5錠)→淡黄褐色(10錠)の21錠が三相性の活性錠(ホルモン量が段階的に変化)、最後の白色(大)7錠がプラセボ(無効錠)です。「色が変わるたびにホルモン量が変わる」「最後の大きい白色錠は薬効成分なし=消退出血の期間」とセットで覚えておくと、本問のような服薬指導に対応しやすくなります。
COCと血栓症リスクの「年齢×喫煙」マトリックス:COC(混合経口避妊薬、またはコンバインド経口避妊薬)は単独でも静脈血栓塞栓症のリスクを2〜4倍程度に高めるとされますが、喫煙・年齢(35歳以上)・肥満・高血圧などのリスク因子が重なると、リスクはさらに増大します。「35歳以上+1日15本以上の喫煙」はCOCの禁忌とされることが多く、本症例(37歳・1日10本)はこの基準には該当しないものの、禁煙を強く推奨すべき対象であることに変わりはありません。
「消退出血」を正しく説明する重要性:プラセボ期間中の出血を「月経が来た=避妊が失敗した/薬をやめるべき」と誤解する患者は少なくありません。「これは想定された反応であり、服用を中断する必要はない」と明確に伝えることが、アドヒアランス維持と望まない妊娠の予防につながります。










