63歳男性。数日前から感冒症状を自覚していたが、前日から咳、痰及び鼻汁がひどくなった。男性は近隣のクリニックを受診し、以下の処方1及び2が記載された処方箋を持って薬局を訪れた。
| (処方1) |
PL配合顆粒(注)1回1包(1日4包)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15 mg1回1錠(1日4錠)
1日4回 朝昼夕食後、就寝前 5日分
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| (処方2) |
アンブロキソール塩酸塩錠15 mg1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 5日分
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(注:1包(1 g)中に、サリチルアミド270 mg、アセトアミノフェン150 mg、無水カフェイン60 mg、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩13.5 mgを含む)
薬剤師が男性の薬歴を確認したところ、6ヶ月前から総合病院で以下の薬剤が処方されていることが確認できた。
| (総合病院からの処方) |
ナフトピジル口腔内崩壊錠50 mg1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 14日分
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【問336】併用薬歴から推測する基礎疾患と禁忌成分
| 選択肢 | 成分 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 | サリチルアミド | × サリチル酸系の解熱鎮痛成分。抗コリン作用はなく、前立腺肥大症に伴う排尿障害との関連は知られていない。 |
| 2 | アセトアミノフェン | × 解熱鎮痛成分。抗コリン作用を持たず、前立腺肥大症患者への禁忌とはされていない。 |
| 3 ★ | プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 | ◯ プロメタジンはフェノチアジン系の抗ヒスタミン薬であり、強い抗コリン作用を有する。抗コリン作用により膀胱排尿筋が弛緩し尿閉を引き起こすおそれがあるため、前立腺肥大症による排尿障害のある患者には禁忌とされている。ナフトピジルの処方歴から前立腺肥大症が推測される本患者にとって、PL配合顆粒に含まれるプロメタジンは禁忌成分に該当する。 |
| 4 | デキストロメトルファン臭化水素酸塩 | × 中枢性鎮咳成分。抗コリン作用は基本的になく、前立腺肥大症に伴う排尿障害への明確な禁忌規定はない。 |
| 5 | アンブロキソール塩酸塩 | × 気道粘液調整薬(去痰薬)。抗コリン作用はなく、前立腺肥大症患者への禁忌とはされていない。 |
・「総合感冒薬=総合病院の処方とは無関係」と思い込まない:本問は、クリニックの処方単独では禁忌が見えないが、薬歴(総合病院からの処方=ナフトピジル)と組み合わせることで初めて「前立腺肥大症の患者にプロメタジンが処方されている」という禁忌が見えてくる構成になっている。薬歴確認の重要性を象徴する設問。
・「PL配合顆粒=総合感冒薬」というイメージだけで安全と判断しない:PL配合顆粒に含まれるプロメタジン(抗ヒスタミン成分)は、前立腺肥大症・閉塞隅角緑内障の患者には禁忌となる成分であることを覚えておく。
・デキストロメトルファン(選択肢4)に引っかからない:「鎮咳薬=中枢神経に作用するから何か禁忌があるはず」という発想は誤り。本剤に抗コリン作用に基づく前立腺肥大症の禁忌はない。


「α₁遮断薬の処方=前立腺肥大症のサイン」:ナフトピジル・タムスロシン・シロドシン・ウラピジルなどのα₁受容体遮断薬が処方されている男性患者は、前立腺肥大症(排尿障害)を有している可能性が高いと推測できます。他科から処方された総合感冒薬・抗うつ薬・抗精神病薬等に抗コリン成分が含まれていないか、特に注意してチェックしましょう。
抗コリン作用を持つ代表成分:抗ヒスタミン薬(プロメタジン、d-クロルフェニラミン等)、三環系抗うつ薬、一部の抗精神病薬・抗パーキンソン病薬などには抗コリン作用があり、前立腺肥大症による排尿障害・閉塞隅角緑内障の患者には禁忌となるものが多くあります。「総合感冒薬・PL顆粒=抗ヒスタミン成分を含む可能性がある」という視点を持っておくことが重要です。
疑義照会時の代替案:本症例のような場合、医師への疑義照会では、プロメタジンを含まない感冒薬への変更(解熱鎮痛成分+鎮咳成分+去痰成分のみの組合せ等)を提案することが考えられます。「禁忌成分を特定する」だけでなく、「代わりにどう処方すればよいか」まで考えられると、より実践的な疑義照会につながります。










