【第111回薬剤師国家試験】問335 輸液調製における各液の必要量計算 解説

  • URLをコピーしました!
第111回 問335
第111回 問335
実践問題|実務
輸液調製における各液の必要量計算
【症例】

医師より、以下に示す組成の輸液(1,000 mL)の調製依頼があった。生理食塩液、塩化カルシウム注射液(0.5 mol/L)、50 w/v%ブドウ糖注射液及び注射用水を用いて調製する時、必要量(mL)として最も近い値の組合せはどれか。1つ選べ。塩化ナトリウムの式量及びブドウ糖の分子量は、それぞれ58.5及び180とする。

(電解質組成) Na⁺ 77 mEq/L、Ca²⁺ 3 mEq/L、Cl⁻ 80 mEq/L
浸透圧を300 mOsm/Lに調整する。
問335(実務)
必要量(mL)として最も近い値の組合せはどれか。1つ選べ。
選択肢 生理食塩液 塩化カルシウム注射液
(0.5 mol/L)
50 w/v%ブドウ糖注射液 注射用水
1 50.73.050.9895.4
2 50.76.050.9892.4
3 50.76.057.1886.2
4 500.73.050.9445.4
5 500.73.057.1439.2
6 500.76.057.1436.2
正解です!
電解質量・浸透圧の計算から各液の必要量を正確に導けています。
×
不正解です。正解は 4 です。
解説で電解質量・浸透圧から各液の必要量を求める手順を確認しましょう。
解説を見る

【問335】輸液調製における必要量の計算

各成分液の電解質濃度・浸透圧への寄与を整理し、①Ca²⁺ → 塩化カルシウム注射液の量、②Na⁺(またはCl⁻) → 生理食塩液の量、③浸透圧の残り → ブドウ糖注射液の量、④総量1,000 mLとの差 → 注射用水の量、の順に求めるのが効率的。
STEP1:塩化カルシウム注射液(0.5 mol/L)の量
CaCl₂ → Ca²⁺+2Cl⁻ なので、0.5 mol/Lの本液はCa²⁺ 1,000 mEq/L(0.5 mol/L×価数2)を含む。
目標Ca²⁺量=3 mEq/L×1 L=3 mEq
必要量=3 mEq ÷ 1,000 mEq/L = 0.003 L = 3.0 mL
STEP2:生理食塩液の量
0.9%生理食塩液:NaCl 9 g/L ÷ 58.5 g/mol = 0.1538 mol/L = Na⁺・Cl⁻ それぞれ約153.8 mEq/L
目標Na⁺量=77 mEq/L×1 L=77 mEq(Na⁺は生理食塩液からのみ供給)
必要量=77 mEq ÷ 153.8 mEq/L ≈ 0.5007 L = 500.7 mL
※Cl⁻でチェック:生理食塩液から153.8×0.5007≈77 mEq、CaCl₂から1,000×0.003=3 mEq、合計80 mEq=目標Cl⁻と一致 ✓
STEP3:50 w/v%ブドウ糖注射液の量
浸透圧の内訳(mOsm/L、本液の量×係数):
・生理食塩液(NaCl→2粒子):307.7 mOsm/L × 0.5007 L ≈ 154.1 mOsm
・塩化カルシウム液(CaCl₂→3粒子):1,500 mOsm/L × 0.003 L = 4.5 mOsm
小計:158.6 mOsm → 目標300 mOsmまでの残り=141.4 mOsm
50%ブドウ糖:500 g/L ÷ 180 g/mol = 2.778 mol/L = 2,778 mOsm/L(非電解質)
必要量=141.4 mOsm ÷ 2,778 mOsm/L ≈ 0.0509 L = 50.9 mL
STEP4:注射用水の量
1,000 −(500.7+3.0+50.9)=445.4 mL
選択肢各液の量(mL)判定・解説
150.7 / 3.0 / 50.9 / 895.4× 生理食塩液が50.7 mLと、計算結果(500.7 mL)の10分の1の桁になっている。小数点位置の誤りに対応する選択肢。
250.7 / 6.0 / 50.9 / 892.4× 生理食塩液の桁誤り(50.7)に加え、塩化カルシウム液も6.0(価数を考慮せず単純に2倍した値等)と誤っている。
350.7 / 6.0 / 57.1 / 886.2× 同様に生理食塩液・塩化カルシウム液が誤った値。ブドウ糖液も他の誤りに連動して57.1という別の値になっている。
4 ★500.7 / 3.0 / 50.9 / 445.4◯ STEP1〜4で算出した値と完全に一致。Na⁺・Ca²⁺・Cl⁻・浸透圧のすべての目標値を満たす組合せ。
5500.7 / 3.0 / 57.1 / 439.2× 生理食塩液・塩化カルシウム液は正しいが、ブドウ糖注射液が57.1 mLとなっている。これは、生理食塩液由来の浸透圧をNaCl→1粒子(電離を考慮しない)として計算した場合等に生じる誤差に対応する値。
6500.7 / 6.0 / 57.1 / 436.2× 塩化カルシウム液が6.0 mL(Ca²⁺の価数を2回掛けてしまう等の誤り)、ブドウ糖液も57.1 mLとなっており、複数の誤りが組み合わされている。
⚠️ 引っかけポイント(問335):
価数の扱い:Ca²⁺は2価であるため、0.5 mol/LのCaCl₂溶液はCa²⁺として1,000 mEq/L(0.5×2×1000)になる。「mol/L」と「mEq/L」の換算で価数を忘れると、必要量が2倍・1/2倍にずれる(選択肢2・6のような6.0 mLという誤答につながる)。
NaClの電離:生理食塩液はNa⁺とCl⁻の2粒子に電離するため、浸透圧計算ではモル濃度×2とする必要がある。電離を考慮しないと、ブドウ糖液の必要量が選択肢5のような値(57.1)にずれる。
桁(小数点位置)の確認:選択肢1〜3のように、生理食塩液が「50.7」という1桁小さい値になっている誤答が複数用意されている。最終的な答えが1,000 mLの大部分を占める(500.7 mL)ことを意識し、桁のオーダーで見当をつけることも有効。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

輸液調製計算の「4段階アプローチ」:①価数の大きいイオン(Ca²⁺)から計算すると、他成分への影響が少なく式が単純になる。②共通成分(Na⁺・Cl⁻)は、片方を計算したらもう片方で必ず検算する。③浸透圧は最後にまとめて、残りをブドウ糖で調整する。④合計1,000 mLから引いて水の量を求める。この順序を固定しておくと、似た構成の計算問題に再現性高く対応できます。

「mol/L」と「mEq/L」の関係を価数でつなぐmEq/L = mmol/L × 価数。Na⁺・Cl⁻(1価)はmmolとmEqが同じ値になりますが、Ca²⁺(2価)は2倍になります。「0.5 mol/LのCaCl₂」は、Ca²⁺としては1.0 Eq/L=1,000 mEq/L、Cl⁻としては1.0 mol/L=1,000 mEq/L(Cl⁻は1価なので同じ)という点を整理しておきましょう。

NaClの電離と浸透圧:NaClは水中でNa⁺とCl⁻に完全に電離するため、1molのNaClから2 Osmの粒子が生じます。生理食塩液(0.9%)の浸透圧が約308 mOsm/Lになるのは、NaClのモル濃度(約154 mmol/L)×2として計算するためです。「電離する物質は粒子数が増える」という浸透圧の基本ルールを、CaCl₂(3粒子に電離)にも同様に適用できるようにしておきましょう。

第111回 薬剤師国家試験 解説トップへ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次