第111回
問120
理論問題|生物
Gqタンパク質共役型受容体の細胞内情報伝達経路
問120 下の模式図に示すように、Gqタンパク質共役型受容体が外部シグナルを受けた結果、エフェクター酵素①が活性化され、ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸から2種類のセカンドメッセンジャー②、③が生成する。セカンドメッセンジャー②は脂溶性分子であり、プロテインキナーゼCの活性化に関わる。この細胞内情報伝達経路に関する説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
Gqタンパク質は、ATPを加水分解する。
—
2
エフェクター酵素①は、ホスホリパーゼCである。
—
3
セカンドメッセンジャー②は、アラキドン酸である。
—
4
セカンドメッセンジャー③は、小胞体からCa²⁺を放出させる。
—
5
プロテインキナーゼCは、基質タンパク質のチロシン残基をリン酸化する。
—
正解です!
エフェクター酵素①はホスホリパーゼC、セカンドメッセンジャー③(IP₃)は小胞体からCa²⁺を放出させます。
不正解です。正解は 2 と 4 です。
解説でGq経路の全体像を確認しましょう。
解説を見る
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Gq経路の全体像
受容体刺激 → Gqタンパク質活性化(GTPと結合)→ エフェクター酵素①(ホスホリパーゼC:PLC)活性化
→ PIP₂(ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸)を加水分解
→ ②DAG(ジアシルグリセロール):脂溶性・膜に留まる → プロテインキナーゼC(PKC)活性化
→ ③IP₃(イノシトール1,4,5-三リン酸):水溶性・細胞質に拡散 → 小胞体のIP₃受容体に結合 → Ca²⁺放出
【Ca²⁺の「第3の」セカンドメッセンジャー化】
IP₃によって放出されたCa²⁺自体も、カルモジュリンと結合してさらなるシグナル伝達を引き起こす(例:カルモジュリン依存性キナーゼ・カルシニューリンの活性化)。つまりCa²⁺は③IP₃の下流のさらなるセカンドメッセンジャーとして機能する。
【情報伝達の終息】
経路がONのままだと細胞が疲弊するため、「片付けの仕組み」も存在する。
・IP₃ → 脱リン酸化によりイノシトールに戻る(ホスファターゼによる分解)
・DAG → ジアシルグリセロールリパーゼによりアラキドン酸遊離後、脂質代謝へ
受容体刺激 → Gqタンパク質活性化(GTPと結合)→ エフェクター酵素①(ホスホリパーゼC:PLC)活性化
→ PIP₂(ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸)を加水分解
→ ②DAG(ジアシルグリセロール):脂溶性・膜に留まる → プロテインキナーゼC(PKC)活性化
→ ③IP₃(イノシトール1,4,5-三リン酸):水溶性・細胞質に拡散 → 小胞体のIP₃受容体に結合 → Ca²⁺放出
【Ca²⁺の「第3の」セカンドメッセンジャー化】
IP₃によって放出されたCa²⁺自体も、カルモジュリンと結合してさらなるシグナル伝達を引き起こす(例:カルモジュリン依存性キナーゼ・カルシニューリンの活性化)。つまりCa²⁺は③IP₃の下流のさらなるセカンドメッセンジャーとして機能する。
【情報伝達の終息】
経路がONのままだと細胞が疲弊するため、「片付けの仕組み」も存在する。
・IP₃ → 脱リン酸化によりイノシトールに戻る(ホスファターゼによる分解)
・DAG → ジアシルグリセロールリパーゼによりアラキドン酸遊離後、脂質代謝へ
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | GqタンパクはATPを加水分解する | × Gタンパク質が加水分解するのはGTP(グアノシン三リン酸)であり、ATPではない。Gα サブユニットは固有のGTPase活性を持ち、GTP→GDP+Piの加水分解によって不活性化する。このGTPase活性が情報伝達のタイマーとなる |
| 2 ★ | エフェクター酵素①はホスホリパーゼCである | ◯ Gq経路のエフェクター酵素はホスホリパーゼC(PLC-β)。PIP₂(ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸)を加水分解してDAG(②)とIP₃(③)の2種類のセカンドメッセンジャーを生成する |
| 3 | セカンドメッセンジャー②はアラキドン酸である | × 問題文に「セカンドメッセンジャー②は脂溶性分子であり、プロテインキナーゼCの活性化に関わる」とあり、これはDAG(ジアシルグリセロール)の説明。アラキドン酸はDAGからホスホリパーゼA₂により遊離されることがあるが、PIP₂の直接分解産物ではない |
| 4 ★ | セカンドメッセンジャー③は小胞体からCa²⁺を放出させる | ◯ ③はIP₃(イノシトール1,4,5-三リン酸)。水溶性で細胞質中を拡散し、小胞体膜上のIP₃受容体(IP₃R、Ca²⁺チャネル)に結合して小胞体内腔のCa²⁺を細胞質に放出させる。遊離したCa²⁺はDAGとともにPKCを活性化する |
| 5 | プロテインキナーゼCは基質タンパク質のチロシン残基をリン酸化する | × PKCはセリン/スレオニンキナーゼであり、基質タンパク質のセリン残基またはスレオニン残基をリン酸化する。チロシン残基をリン酸化するのは受容体型チロシンキナーゼ(RTK)や非受容体型チロシンキナーゼ(Src、JAKなど) |
⚠️ 引っかけポイント:
・選択肢1:Gタンパク質が加水分解するのはGTP(ATPではない)
・選択肢3:②はDAG(脂溶性・PKC活性化)。アラキドン酸はDAGからの二次的産物
・選択肢5:PKCはセリン/スレオニンキナーゼ。チロシンキナーゼとは別物
・選択肢1:Gタンパク質が加水分解するのはGTP(ATPではない)
・選択肢3:②はDAG(脂溶性・PKC活性化)。アラキドン酸はDAGからの二次的産物
・選択肢5:PKCはセリン/スレオニンキナーゼ。チロシンキナーゼとは別物
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→ Gタンパク質共役型受容体のゴロ教えます!(ゴロで覚える薬学)|薬剤師の気まぐれノート
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臨床メモ
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薬剤師 あおい
Gq経路は多くの薬物の作用点となっています。例えば、アンジオテンシンII受容体(AT₁受容体)・α₁アドレナリン受容体・ムスカリンM₁/M₃受容体などはいずれもGqタンパク質と共役しており、PLC→IP₃→Ca²⁺放出という経路で細胞応答を引き起こします。
また、PKCはがん細胞の増殖・生存に関与することが知られており、PKC阻害薬の抗がん薬としての開発研究も行われています。IP₃受容体は筋小胞体にも存在し、心筋・平滑筋の収縮調節にも重要な役割を果たしています。










