第110回
問2
理論問題|物理
熱力学における「閉じた系」
【設問】
熱力学における「閉じた系」において、熱、物質及び仕事のうち、外界とやりとりができるものだけをすべて挙げたのはどれか。1つ選べ。
問2(物理)
1
熱
—
2
物質
—
3
仕事
—
4
熱、仕事
—
5
物質、仕事
—
6
熱、物質
—
正解です!
「閉じた系」の定義(物質の移動なし・熱と仕事はやりとり可)を正しく理解しています。
不正解です。正解は 4 です。
解説で「孤立系・閉じた系・開いた系」の違いを確認しましょう。
解説を見る▼
【問2】熱力学における系の分類
熱力学では、注目する対象(系)と外界との間で物質・熱・仕事のやりとりがあるかどうかによって、系を孤立系・閉じた系(閉鎖系)・開いた系(開放系)の3つに分類する。
| 系の種類 | 物質の交換 | 熱・仕事の交換 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 孤立系 | 不可 | 不可 | 外部と完全に断たれた断熱容器 |
| 閉じた系 ★ | 不可 | 可 | ふたをしたピストン付きシリンダー |
| 開いた系 | 可 | 可 | ふたの開いた容器、生体 |
閉じた系は、外界との間で物質の出入りはないが、熱や仕事(エネルギー)のやりとりは可能な系である。たとえば、密閉されたピストン付きシリンダー内の気体は、物質(気体分子)が外部に出入りすることはないが、加熱・冷却による熱の移動や、ピストンの動きによる仕事のやりとりは生じる。
したがって、閉じた系において外界とやりとりができるのは熱と仕事であり、正解は 4 である。
なお、「生体(ヒト)」は外界から栄養(物質)を取り込み、老廃物を排出し、体温(熱)の維持や運動(仕事)を行うため、熱力学的には典型的な「開いた系(開放系)」に分類される。この視点は衛生化学などでも頻出の重要ポイントである。
・選択肢1・2・3:熱・物質・仕事のうち1つだけを挙げており、「閉じた系」で交換可能なものを網羅していない(不完全な選択)。
・選択肢5(物質、仕事)・6(熱、物質):いずれも「物質」を含んでいる点が誤り。閉じた系では物質の交換は不可であるため、物質を含む組み合わせは「開いた系」の特徴と混同したひっかけ選択肢である。
・選択肢5(物質、仕事)・6(熱、物質):いずれも「物質」を含んでいる点が誤り。閉じた系では物質の交換は不可であるため、物質を含む組み合わせは「開いた系」の特徴と混同したひっかけ選択肢である。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
系の分類は「フタの状態」でイメージ:孤立系は「完全密閉の保温ポット(熱も漏れない)」、閉じた系は「フタを閉めた鍋(中身は出入りしないが、火にかければ熱は伝わる)」、開いた系は「フタの開いた鍋(湯気=物質も出ていく)」と考えると整理しやすいです。
「閉じた」=「物質が閉じ込められている」という言葉のイメージから、まず「物質の交換は不可」を思い出すのがコツです。そこから「熱と仕事は別腹(物質とは独立してやりとり可能)」と覚えると、選択肢5・6のような「物質」を含むひっかけに引っかからなくなりますよ。




