【第110回薬剤師国家試験】問195 病態・生理的変化に伴う薬物動態の変化 解説

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第110回 問195
第110回 問195
理論問題|病態・薬物治療
病態・生理的変化に伴う薬物動態の変化
問195(理論)
薬物動態の変化に関連する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
心不全患者では、水溶性薬物の腎排泄速度が低下する。
2
肥満患者では、脂溶性薬物の分布容積が小さくなる。
3
小児では、水溶性薬物の体重当たりの分布容積が成人よりも大きい。
4
妊娠に伴って、糸球体ろ過速度が低下する。
5
血清アルブミン値低下患者では、薬物の分布容積が低下する。
正解です!
解説で各病態・生理的変化と薬物動態の関係を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 1、3 です。
解説で各病態・生理的変化と薬物動態の関係を確認しましょう。
解説を見る

病態や生理的な変化(心不全・肥満・小児・妊娠・低アルブミン血症等)は、薬物の分布・排泄に様々な影響を及ぼします。各因子が「分布容積」「排泄速度」にどのような方向(増加/減少)で影響するかを正確に押さえることがポイントです。

各病態・生理的変化と薬物動態の関係
心不全:心拍出量の低下に伴い腎血流量が減少し、糸球体ろ過量が低下するため、水溶性薬物の腎排泄速度は低下する
肥満:脂肪組織の増加により、脂溶性薬物の分布容積は増大する(小さくなるのではない)
小児:体重に対する体水分量の割合が成人より高いため、水溶性薬物の体重当たりの分布容積は成人より大きい
妊娠:循環血液量・腎血流量の増加に伴い、糸球体ろ過速度(GFR)は上昇する(低下するのではない)
低アルブミン血症:血漿タンパク結合率の低下により非結合形(遊離形)薬物が増加し、組織への分布が進むため、分布容積は増大する(低下するのではない)
各選択肢の解説
◯ 1 心不全患者では腎血流量低下により、水溶性薬物の腎排泄速度が低下するという記述は正しい
× 2 肥満患者では脂肪組織増加により脂溶性薬物の分布容積は増大し、「小さくなる」という記述は誤り
◯ 3 小児は体重当たりの体水分量が多く、水溶性薬物の体重当たりの分布容積が成人より大きいという記述は正しい
× 4 妊娠に伴いGFRは上昇し、「低下する」という記述は誤り
× 5 血清アルブミン値低下患者では遊離形薬物の増加により分布容積は増大し、「低下する」という記述は誤り
引っかけポイント:
・選択肢2・4・5はいずれも、実際の変化の方向(増大/上昇)を真逆(縮小/低下)に記述した典型的なひっかけパターンで構成されている
・特に選択肢4は「妊娠=身体機能が低下する」という漠然としたイメージに引きずられやすいが、実際には循環血漿量や腎血流量が増加し、GFRはむしろ上昇する点に注意する
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

心不全患者さんでは、腎機能低下に加えて肝うっ血による代謝機能低下も生じることがあるため、ジゴキシンなど治療域の狭い薬剤では特に慎重な用量調節と血中濃度モニタリング(TDM)が必要です。

妊娠中はGFR上昇に伴い腎排泄型薬物のクリアランスが増大するため、通常量では効果不十分となることがあります。一方で胎児への影響を考慮した薬剤選択も必要となるため、妊婦さんへの薬物治療は薬物動態の変化と催奇形性・胎児毒性の両面から慎重に検討することが実務上重要です。

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