【第111回薬剤師国家試験】問131 農薬A〜Eに関する記述 解説

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第111回 問131
第111回 問131
理論問題|衛生
農薬A〜Eに関する記述
問125 農薬A〜Eに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
農薬A〜Eの構造式
1
Aは、シトクロムP450により代謝され、アセチルコリンエステラーゼを活性化する。
2
Bは、エステルが加水分解され、毒性が強い活性代謝物となる。
3
Cは、アセチルコリンエステラーゼをカルバモイル化し、不可逆的に阻害する。
4
Dは、アミノ酸合成を阻害し、除草作用を示す。
5
Eは、スーパーオキシドアニオンを生成し、細胞に障害を与える。
正解です!
各農薬の特徴と毒性機序を正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 4 と 5 です。
解説で各農薬の構造と毒性機序を確認しましょう。
解説を見る
農薬A〜Eの同定
記号 化合物名 分類 主な用途・特徴
A パラチオン 有機リン系殺虫剤 非常に強力な毒性を持ち、現在は多くの国で高い規制がかかっているか、使用が禁止されている
B シペルメトリン ピレスロイド系殺虫剤 農作物の害虫から家庭内の不快害虫まで幅広く使われる。昆虫への即効性が高い
C カルバリル カーバメート系殺虫剤 商品名「セビン」などで知られ、果樹や野菜の害虫駆除に広く利用される
D グリホサート アミノ酸系除草剤 商品名「ラウンドアップ」が有名。葉から吸収されて根まで枯らす非選択性の除草剤
E パラコート ジピリジリウム系除草剤 非常に即効性が高く植物の緑色部を素早く枯らす。人間に対しても毒性が強く取り扱いに注意が必要

【各選択肢の解説】

選択肢農薬・記述判定・理由
1 A(パラチオン):CYP450で代謝→AChE活性化 × パラチオンはCYP450によりチオリン酸(P=S)がオキソン体(P=O)に変換され、AChEを阻害する(活性化ではなく阻害)。阻害は可逆的だが強力であり、有機リン中毒の原因となる
2 B(シペルメトリン):エステルが加水分解→毒性の強い活性代謝物 × シペルメトリンなどのピレスロイド系農薬はエステル結合を持つが、加水分解されると毒性は低下(不活性化・解毒)する。毒性機序は電位依存性Naチャネルの持続的開口による神経毒性であり、エステル加水分解は解毒に働く。「毒性の強い活性代謝物を生成する」という記述は誤り
3 C(カルバリル):AChEをカルバモイル化→不可逆的阻害 × カルバリル(カーバメイト系)はAChEをカルバモイル化して阻害するが、これは可逆的阻害である。有機リン系(パラチオンなど)による阻害(リン酸化)は難可逆的〜不可逆的だが、カーバメイト系は数時間以内に自然回復する
4 ★ D(グリホサート):アミノ酸合成を阻害→除草作用 ◯ グリホサートはEPSPS(5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素)を阻害し、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン)の生合成経路(シキミ酸経路)を阻害する。この経路は植物・菌類・一部の細菌にはあるが、動物にはないため選択的除草剤として機能する
5 ★ E(パラコート):スーパーオキシドアニオンを生成→細胞障害 ◯ パラコートはビピリジリウム系除草剤。体内でNADPHによりラジカル(1電子還元体)に変換され、酸素と反応してスーパーオキシドアニオン(O₂⁻•)を生成。酸化的ストレスにより特に肺(Type II肺胞上皮細胞)に重篤な障害を与え、肺線維症を引き起こす
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢1:「活性化」→誤り。パラチオンはCYP450でオキソン体に変換されAChEを阻害する
選択肢2:「毒性の強い活性代謝物」→誤り。シペルメトリン(B)のエステル加水分解は不活性化(解毒)であり、毒性は低下する
選択肢3:「不可逆的」→誤り。カーバメイト系(C)のAChE阻害は可逆的。不可逆的なのは有機リン系
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

パラコート中毒は薬局でも知識として重要です。誤飲後に肺線維症が進行し、酸素投与が禁忌(活性酸素産生を促進するため)という独特の治療方針があります。解毒薬はなく、吸着・排泄促進が中心です。

有機リン系中毒(パラチオンなど)にはアトロピン(抗コリン薬)PAM(プラリドキシム、AChEの脱リン酸化剤)が解毒に使われます。カーバメイト系はAChE阻害が可逆的なためPAMは通常使わない点も覚えておきましょう。

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