第111回
問130
理論問題|衛生
化学物質A〜Eの代謝的活性化による発がん物質の生成
問130 化学物質A〜Eの代謝的活性化による発がん物質の生成に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
Aは、シトクロムP450により代謝され、N-ヒドロキシ体を生成する。
—
2
Bは、シトクロムP450により代謝され、クロロエチレンオキシドを生成する。
—
3
Cは、シトクロムP450により代謝され、メチルカチオンを生成する。
—
4
Dは、シトクロムP450及びエポキシドヒドロラーゼにより代謝され、7,8-ジオール-9,10-エポキシ体を生成する。
—
5
Eは、シトクロムP450により代謝され、エポキシ体を生成する。
—
正解です!
化学物質の代謝的活性化機序を正確に把握できています。
不正解です。正解は 2 と 4 です。
解説で各化学物質の代謝活性化経路を確認しましょう。
解説を見る
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化学物質A〜Eの同定
・A:アクリルアミド(ビニル基+アミド基)
・B:塩化ビニル(クロロエチレン、H₂C=CHCl)
・C:アフラトキシンB₁(ラクトン環+メトキシ基、カビ毒)
・D:ベンゾ[a]ピレン(4環系多環芳香族炭化水素)
・E:2-アセチルアミノフルオレン(AAF、フルオレン+アセトアミド基)
・A:アクリルアミド(ビニル基+アミド基)
・B:塩化ビニル(クロロエチレン、H₂C=CHCl)
・C:アフラトキシンB₁(ラクトン環+メトキシ基、カビ毒)
・D:ベンゾ[a]ピレン(4環系多環芳香族炭化水素)
・E:2-アセチルアミノフルオレン(AAF、フルオレン+アセトアミド基)
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | A(アクリルアミド):CYP450→N-ヒドロキシ体 | × アクリルアミドはCYP2E1によりグリシドアミド(エポキシド)に代謝活性化されDNAと反応する。N-ヒドロキシ体を生成するのはアリールアミン系(例:2-アセチルアミノフルオレン=E)の活性化経路 |
| 2 ★ | B(塩化ビニル):CYP450→クロロエチレンオキシド | ◯ 塩化ビニル(H₂C=CHCl)はCYP2E1によりクロロエチレンオキシド(塩化ビニルオキシド)に代謝活性化される。このエポキシドがDNAと共有結合してエテノDNA付加体を形成し、肝血管肉腫などの発がんに関与する |
| 3 | C(アフラトキシンB₁):CYP450→メチルカチオン | × アフラトキシンB₁はCYP3A4/1A2によりアフラトキシンB₁-8,9-エポキシドに代謝活性化され、DNA(グアニン N7位)に付加体を形成する。メチルカチオンを生成するのはニトロソアミン類(NDMA等)の活性化経路 |
| 4 ★ | D(ベンゾ[a]ピレン):CYP450+エポキシドヒドロラーゼ→7,8-ジオール-9,10-エポキシ体 | ◯ ベンゾ[a]ピレンはまずCYP1A1/1B1により7,8-エポキシドに変換され、次にエポキシドヒドロラーゼにより7,8-ジヒドロジオールとなり、再度CYP1A1により7,8-ジオール-9,10-エポキシド(BPDE)が生成される。BPDEがDNAグアニンと結合して発がんを引き起こす。2段階の活性化が特徴 |
| 5 | E(2-アセチルアミノフルオレン):CYP450→エポキシ体 | × 2-アセチルアミノフルオレン(AAF)はCYP1A2によりN-ヒドロキシ-AAF(N-OH-AAF)に代謝活性化される。さらにスルホトランスフェラーゼ等によりアリールニトレニウムイオンが生成しDNAと反応する。エポキシ体ではなくN-ヒドロキシ体が活性代謝物 |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:アクリルアミドの活性代謝物は「N-ヒドロキシ体」ではなくグリシドアミド(エポキシド)
・選択肢3:アフラトキシンB₁の活性代謝物は「メチルカチオン」ではなく8,9-エポキシド。メチルカチオンはニトロソアミンの代謝産物
・選択肢5:AAF(E)の活性代謝物は「エポキシ体」ではなくN-ヒドロキシ体。選択肢1と5で活性代謝物の記述が入れ替わっている
・選択肢1:アクリルアミドの活性代謝物は「N-ヒドロキシ体」ではなくグリシドアミド(エポキシド)
・選択肢3:アフラトキシンB₁の活性代謝物は「メチルカチオン」ではなく8,9-エポキシド。メチルカチオンはニトロソアミンの代謝産物
・選択肢5:AAF(E)の活性代謝物は「エポキシ体」ではなくN-ヒドロキシ体。選択肢1と5で活性代謝物の記述が入れ替わっている
臨床メモ
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薬剤師 あおい
ベンゾ[a]ピレン(D)はタバコの煙・焦げた食品・排気ガスに含まれる代表的な多環芳香族炭化水素(PAH)です。「CYP→エポキシドヒドロラーゼ→再度CYP」という2段階活性化がDNA付加体形成の特徴で、肺がんとの関連が強い化合物です。
アフラトキシンB₁(C)はカビ(アスペルギルス属)が産生するマイコトキシンで、ナッツ類・穀物などに汚染リスクがあります。最も強力な天然発がん物質のひとつとして知られており、肝細胞がんとの関連が高い点は薬剤師として知っておきたい知識です。










