【第111回薬剤師国家試験】問179 高分子溶液の性質 解説

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第111回 問179
第111回 問179
理論問題|薬剤
高分子溶液の性質
問179 高分子溶液の性質に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
高分子を貧溶媒に溶解した場合、良溶媒に溶解した場合より溶液の粘度が高い。
2
平均分子量が同等の場合、イオン性高分子の水溶液の粘度は、同濃度の非イオン性高分子の水溶液の粘度より高い。
3
イオン性高分子の水溶液に塩を添加すると、高分子の溶解性が向上する。
4
両イオン性高分子溶液の粘度は、等電点付近で最大となる。
5
良溶媒の高分子溶液に貧溶媒を添加していくと、コアセルベートを生じる。
正解です!
高分子溶液の性質を正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 2 と 5 です。
解説で高分子溶液の各性質を確認しましょう。
解説を見る
高分子溶液の粘度と溶媒・イオン性の関係
良溶媒:高分子鎖が伸展・膨潤 → 流体力学的体積が大 → 粘度が高い
貧溶媒:高分子鎖が収縮・凝集 → 流体力学的体積が小 → 粘度が低い
イオン性高分子:電荷間の反発で鎖が伸展 → 非イオン性より粘度が高い
塩添加(塩析):イオン性高分子の電荷を遮蔽 → 鎖が収縮 → 粘度低下・析出
等電点:両イオン性高分子で正負電荷が相殺 → 鎖が収縮 → 粘度最小
コアセルベーション:良溶媒に貧溶媒を加えると高分子リッチな相(コアセルベート)と希薄相に分離
選択肢記述判定・理由
1 貧溶媒に溶解した場合、良溶媒より粘度が高い × 。良溶媒では高分子鎖が伸展して流体力学的体積が増大するため粘度は高くなる。貧溶媒では高分子鎖が収縮(コイル化)するため粘度は低い
2 ★ イオン性高分子の粘度は非イオン性高分子より高い(同分子量・同濃度) ◯ イオン性高分子(カルボキシメチルセルロース等)は解離した電荷どうしの静電反発により高分子鎖が伸展する(ポリエレクトロライト効果)。流体力学的体積が大きくなり、同分子量・同濃度の非イオン性高分子より粘度が高くなる
3 塩の添加でイオン性高分子の溶解性が向上する × 塩を添加するとイオン性高分子の電荷が遮蔽(イオン強度上昇→Debye長短縮)されて鎖が収縮し、溶解性は低下(塩析)する。粘度も低下する
4 両イオン性高分子の粘度は等電点付近で最大となる × 。等電点付近では正電荷と負電荷が相殺されて分子内の電荷反発がなくなり、高分子鎖が収縮する。粘度は最小となる。等電点から離れると電荷反発で鎖が伸展し粘度は上昇する
5 ★ 良溶媒の高分子溶液に貧溶媒を添加するとコアセルベートを生じる コアセルベーション:良溶媒に貧溶媒を加えていくと溶媒の溶解力が低下し、高分子が濃縮された液滴相(コアセルベート)と高分子が希薄な相に分離する現象。マイクロカプセル製造や液液相分離の基本原理として製剤設計に応用される
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢1:粘度が高いのは「貧溶媒」ではなく良溶媒(鎖が伸展)
選択肢3:塩の添加で溶解性は「向上」ではなく低下(塩析・電荷遮蔽)
選択肢4:等電点付近で粘度は「最大」ではなく最小(電荷相殺→鎖収縮)
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

コアセルベーションはマイクロカプセルの製造法として製剤設計に活用されています。薬物を高分子で被覆することで徐放化・保護・味マスキングが可能です。CMC(カルボキシメチルセルロース)などイオン性高分子の粘度特性は点眼液・懸濁製剤の増粘剤として利用されており、製剤の品質管理で重要な知識です。

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