この医薬品懸濁液を細長い容器に移し、均一分散した後に静置し、水面から一定の深さにおける懸濁粒子濃度(懸濁液10 mL中の粒子量 mg)を経時的に測定した(図2)。懸濁粒子濃度の経時的変化、すなわち懸濁粒子の沈降挙動を表したグラフとして、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
ただし、懸濁粒子は凝集せず、ストークス式(1)に従って沈降するものとする。
v = h/t = (ρ − ρ0)gd2 / 18η (1)
v:沈降速度, h:沈降距離, t:沈降時間, ρ:粒子の密度, ρ0:分散媒の密度, g:重力加速度, d:粒子径, η:分散媒の粘度
また、懸濁粒子濃度は、最大径の粒子が測定面を通過し終わる沈降時間(TS = 1時間)で、初期値12 mg/10 mLから減少し始め、時間の経過とともにグラフ中の黒点を通り、沈降時間TEでゼロになるものとする。
図2
・最小粒子径:15 μm(積算 0%)
・中央値(d50):30 μm(積算 50%)
・最大粒子径:60 μm(積算 100%)
【Step 1】TE(最小粒子が測定面を通過し終わる時間)の計算
ストークス式より v ∝ d²(他条件一定)。同じ距離 h を沈降する時間 T ∝ 1/d²。
TE = TS × (dmax / dmin)² = 1時間 × (60 / 15)² = 1 × 16 = 16時間
【Step 2】黒点(中間時刻 t の濃度)の確認
時刻 t において、測定面をすでに通過し終わった粒子の最大径 dt は:
→ d < 30 μm の粒子はまだ測定面に存在している
→ 図1より d < 30 μm の積算分布 = 50%
→ 濃度 = 12 mg/10 mL × 50% = 6 mg/10 mL
【結論】正解グラフの条件
| 条件 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| TS | 1時間 | 問題文に明記 |
| 黒点 | t = 4時間, 6 mg/10 mL | dt = 30 μm → 積算50% → 6 mg |
| TE | 16時間 | TE = 1 × (60/15)² = 16 |
選択肢5のグラフ(TS=1h、黒点=(4h, 6 mg)、TE=16h)がこの条件と完全に一致する。
・選択肢4:TE=16hは正しいが、黒点が(4h, 8 mg)→積算33%相当で誤り
・選択肢6:TE=16hは正しいが、黒点が(8h, 6 mg)→dt=60×√(1/8)≒21 μmで積算約10%相当、6 mgと矛盾
・選択肢1〜3:TEが4h・9h・12hで、計算値16hと一致しない


懸濁性医薬品(サルブタモール吸入液・カルボシステインドライシロップ調製液等)は、粒子径が均一で沈降が遅いほど安定です。「使用前によく振って」という指導はストークスの法則に基づいており、沈降した粒子を均一に再分散させるためです。粒子径・粘度・密度差が沈降速度に影響することを患者に分かりやすく伝えましょう。










