ナトリウム(Na)とカリウム(K)ってどんな検査値なんだろう?
・臨床検査値のことを学びたい
・ナトリウム(Na)について知りたい
・カリウム(K)について知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。
こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、電解質の検査値であるナトリウム(Na)とカリウム(K)についてまとめていきます!
【臨床検査値】電解質のナトリウム(Na)とカリウム(K)ってどんな検査値?
ナトリウム(Na)とは?
ナトリウム(Na)は、細胞外液の主要な陽イオンで、血清の浸透圧調整に関わります。
体内のNa量は、摂取量と腎臓からの排出量によりコントロールされています。
また、尿中Na量は、食塩(NaCl)の摂取量に依存し、大体1日に4~8gといわれています。
ナトリウム(Na) | 血清Na値(mEq/L) |
---|---|
低Na血症 | 135(mEq/L)未満 |
Naの基準値 | 138~145(mEq/L) |
高Na血症 | 145(mEq/L)以上 |
高Na血症とは?
高Na血症とは、血中Na濃度が上昇する電解質代謝異常症で、血中Na濃度が145(mEq/L)以上とされています。原因としては、水が不足している場合とNaが過剰な場合などがあります。
原因 | 特徴 |
---|---|
水喪失型(水分が不足している場合) | 水分摂取不足や尿崩症などによる水の排泄増加が原因で起こる。 |
Na過剰型 | 摂取するNaの増加やNa排泄の低下が原因で起こる。 |
※日本人は、Na摂取量は諸外国に比べて多く、高血圧や癌を主とする生活習慣病が問題となっています。
低Na血症とは?
低Na血症とは、何らかの原因によって水とNaの調節機能が正常に働かず、血中Na濃度が低下する電解質代謝異常症です。
原因としては、水が過剰な場合とNaが不足している場合などがあります。
原因 | 特徴 |
---|---|
水過剰型 (希釈性低Na血症) | 心因性多飲や低張輸液の投与過多などにより、水分が過剰に入ってくる場合や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)による水の排泄低下などで起こる。 |
Na喪失型 (細胞外液不足型) | 摂取するNaの低下やNa排泄の過剰などが原因で起こる。 |
水過剰>Na過剰 (細胞外液過剰型) | 水・Naの両方が過剰となる場合もあります。 細胞外液の増加は、心不全や腎不全、ネフローゼ症候群、肝硬変などが原因で起こる。 |
※水過剰型の低Na血症は高頻度でみられ、利尿薬などの薬剤性の可能性などを考えます。
カリウム(K)とは?
カリウム(K)は、細胞内液の主要な陽イオンで、血清K濃度は、心臓や筋肉、神経の機能の働きに関与しています。
血清K濃度は、細胞内外でのKの移動や尿中排泄により、調整されています。
カリウム(K) | 血清K値(mEq/L) |
---|---|
低K血症 | 3.5(mEq/L)未満 |
Kの基準値 | 3.6~4.8(mEq/L) |
高K血症 | 5.5(mEq/L)以上 |
低K血症とは?
低K血症とは、何らかの原因によって血清K濃度が3.5(mEq/L)未満となった状態のことで、カリウム欠乏の主な症状は、脱力感、筋力低下、食欲不振、骨格筋の麻痺などがあります。
低K血症 | 重症度 |
---|---|
3.0~3.5 (mEq/L) | 軽度(必ずしも治療が必要とは限らない) |
2.5~2.9 (mEq/L) | 重症(入院が必要な場合もある) |
※通常の食生活であれば、基礎疾患などのない人がK不足になる可能性はほとんどないと考えられています。
低K血症の原因
原因 | 内容 |
---|---|
①腎からのK排泄増加 | 原発性アルドステロン症、クッシング症候群、利尿薬などの薬剤性 など |
②腸管からのK喪失の増加 | 下痢や嘔吐 など |
③Kが細胞内へ移動 | 代謝性アルカローシス(*1)、インスリンなどの薬剤性 など |
④Kの摂取低下 | カリウムは、藻類、果実類、いも及びでん粉類、豆類、肉類、魚介類、野菜類などの生鮮食品に多く含まれ、これらの摂取不足によるもの。(*2) |
(*1):呼吸以外の原因で体がアルカリ性に傾きすぎてしまった状態
【(*2):目標量】
男性(18歳以上):2,500(mg/day)
女性(18歳以上):2,000(mg/day)
目標量とは、生活習慣病の予防を目的とした1日当たりの摂取量のこと。
高K血症とは?
高K血症とは、何らかの原因によって血清カリウム濃度が5.5(mEq/L)以上となった状態で、高カリウム血症になると、筋収縮が調節できなくなり、四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れ、重篤な場合は心停止を起こすこともあります。
高K血症の原因 | 内容 |
---|---|
①Kの細胞内からの移動 | 代謝性アシドーシス(*3)、ジギタリス製剤やβ遮断薬などの薬剤性、溶血性疾患、悪性腫瘍の壊死 など |
②腎臓からの排泄障害 | 急性・慢性腎不全、アジソン病、低アルドステロン症、ACE阻害薬やARBなどの薬剤性 など |
③Kの負荷増加 | Kの過剰投与、輸血 など |
④Kの摂取増加 | カリウムのサプリメントなどの過剰摂取 など (※通常食事による過剰摂取はほとんど起こりません) |
近年、カリウムが「血圧低下」や「脳卒中予防」「骨粗鬆症予防」につながることが報告されています。
Point
①日本人のNa摂取量は諸外国に比べて多い.(高血圧や癌などの原因)
ナトリウムは、塩、しょうゆ、みそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含む調味料に多く含まれています。
<対策例>
✅具だくさんのみそ汁にする
✅ラーメンやうどんなどを食べるときは、汁を半分残す など
②通常の食生活であれば、K不足になる可能性は、ほとんどないと考えられている
まとめ
今回は、電解質の検査値であるナトリウム(Na)とカリウム(K)についてまとめていきました。
他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪
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