トリグリセリド(中性脂肪)ってどんな検査値なんだろう?
・臨床検査値のことを学びたい
・トリグリセリド(中性脂肪)について知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。
こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、中性脂肪の検査値であるトリグリセリド(中性脂肪)についてまとめていきます!
【臨床検査値】トリグリセリド(中性脂肪)ってどんな検査値?
トリグリセリド(TG)について
トリグリセリド(TG)は、「中性脂肪」とも言われ、主に体のエネルギー源となる脂肪の一種です。
TGは、脂肪酸とグリセリンがエステル結合しており、体外から摂取する以外に炭水化物から体内で合成することも可能です。
揚げ物などの脂っこい食べ物でなくても、炭水化物や菓子類、ジュースなどの糖質が多いものでも中性脂肪の上昇要因となります。
【TGの基準値】
150 (mg/dL)未満
※150 mg/dL以上となると「脂質異常症(高中性脂肪血症,高TG血症)」とされ、注意が必要です
外因性トリグリセリドについて
トリグリセリド(TG)は、疎水性(水に溶けにくい性質)であるため、リポ蛋白質中に存在します。
食事(外因性)から摂取する場合は、脂質は小腸から吸収され、小腸上皮細胞でリポ蛋白である「カイロミクロン」を合成します。
外因性TGは、「食後」もしくは「カイロミクロンの代謝障害」などにより血中に出現します。
リポ蛋白について
リポ蛋白は、比重の違いで5種類に分けられています。
急性膵炎と高TG血症の関係
高TG血症は、急性膵炎の原因となることがあり、アルコールの多量摂取などでは、TG値が1000 mg/dL(基準値:150 mg/dL未満)を超えることもあります。
トリグリセリド(TG)が増えると、空腹時でもカイロミクロンが増えます。
カイロミクロンは巨大な粒子で、膵臓の血管や周りの細胞を傷つけてしまい、急性膵炎を起こす可能性があります。
・耐え難いような激しい腹痛
・嘔気、嘔吐
・ショック
正確な脂質の測定方法
正確な脂質測定をするには、検査前日にいくつか守るべきことがあります。
✅高脂肪食&カロリー食は避ける
✅禁酒
✅10~12時間以上絶食
大阪府内科医会の調査では、4人に一人が正しい採血ができていないという報告があります。
12時間の絶食はしているものの、前日に「焼き肉」や「揚げ物」などの高脂肪食を摂取してしまっている場合も多いです。
血液検査で空腹時に測定するのは、内因性TGの値を測定するためです。
食事由来の外因性TGが含まれていると、通常よりも数値が高くでてしまい、適切な結果が得られません。
高TG血症の薬物治療
高TG血症の治療は、主に「フィブラート系薬剤」が使われます。
しかし、以下のような理由から、実際に薬物療法を行っている患者の割合は少ないです。
①食事&運動療法で改善できる
②食事の影響で検査結果にバラツキがでる
③高コレステロール血症治療薬である「スタチン系薬剤」と高TG血症治療薬の「フィブラート系薬剤」の併用がしにくい
※横紋筋融解症のリスクが高まるということから、2018年までは「スタチン系薬剤」と「フィブラート系薬剤」の併用は「原則禁忌」でしたが、併用を必要とする症例が一定の割合で存在することから、現在では「慎重投与」となっています。
<スタチン系薬剤>
HMG-CoA還元酵素の働きを阻害し、肝臓におけるコレステロール合成を阻害する。
<フィブラート系薬剤>
リポ蛋白リパーゼ(LPL)を活性化して、トリグリセリドの分解を促進する。
最後に
今回は、中性脂肪の検査値であるトリグリセリド(中性脂肪)についてまとめていきました。
他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪
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