白血球数(WBC)と白血球分画ってどんな検査値なんだろう?
✅臨床検査値のことを学びたい
✅白血球数(WBC)について知りたい
✅白血球分画について知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。
こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、炎症の指標である「白血球数(WBC)」と「白血球分画」についてまとめていきます!
【臨床検査値】「白血球数(WBC)」と「白血球分画」ってどんな検査値?
血球について
血球には、3種類あります。
- 赤血球
- 白血球
- 血小板
すべての血球は、ヒトでは、胎児期を除いて骨髄で作られ、成熟して末梢血へと移動します。
※胎児期では、特有の臓器「卵黄嚢(らんおうのう)」でつくられ、胎児の発達が進むと造血の場が肝臓に移行します。
白血球について
白血球は、下記の5種類の血球をまとめて「白血球」と呼んでいます。
- 好中球
- 好酸球
- 好塩基球
- 単球
- リンパ球
白血球分画について
白血球分画とは、白血球の各細胞5種類について、その割合を「白血球数」に対する100分率(%)で表したものです。
項目 | 基準値 |
---|---|
白血球数(WBC) | 3,300~8,600 /μL |
好中球(Neut) | 40~60 % ※最も多い |
リンパ球 | 26~40 % |
単球 | 3~6 % |
好酸球(EOS) | 2~4 % |
好塩基球(BASO) | 0~2 % ※最も少ない |
白血球の働き
白血球には5種類ありますが、の主な働きは、体内に侵入した病原体や異物から身体を守ることです。
項目 | 働き |
---|---|
好中球(Neut) | 好中球は、白血球で最も多く、接着・遊走・貪食・殺菌といった機能を用いて感染防御や異物の除去を行う。 |
リンパ球 | リンパ球は、免疫応答に関与し、Bリンパ球とTリンパ球がある。 |
単球 | 単球は、末梢組織に遊走すると、樹状細胞またはマクロファージに分化し異物の除去に関与する。 |
好酸球(EOS) | 好酸球は、異物の除去やアレルギー反応の調節に関与する。 |
好塩基球(BASO) | 好塩基球は、異物の除去や活性化時のヒスタミンの分泌など に関与する。 |
白血球数に異常を来す疾患
白血球数に異常を来す疾患には、様々なものが含まれます。
- 血液疾患
- 感染症
- 膠原病
- 薬剤性
白血球の増減に、どの血球がが関与しているかを考える必要があります。
特に、好中球は白血球の半分以上を占め体内に侵入した細菌などをいち早く発見して処理する中心的な役割を担っています。
次に、好中球が異常値を示す要因を見ていきましょう。
好中球が増加する要因
好中球が増加する要因 | 内容 |
---|---|
①急性細菌感染症 | 細菌性の風邪 など ※ウイルス性では、一般的にリンパ球が増加し、好中球は減少します。 |
②慢性炎症 | 自己免疫性疾患、慢性肝炎、気管支拡張症、心筋梗塞、外傷、熱傷 など |
③ストレス | 過度の運動、急性出血、術後、てんかん発作 など |
④薬物 | 副腎皮質ホルモン、アドレナリン、リチウム、G-CSF製剤の使用 など |
⑤内分泌疾患 | クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症 など |
⑥喫煙 | 軽度白血球増加の原因としては、最も多い |
⑦固形腫瘍 | ・上皮細胞がん (扁平上皮癌,腺がん,未分化がん,移行上皮がん など) ・非上皮細胞がん(肉腫) |
⑧その他 | Sweet病、脾摘後、熱痙攣 など |
好中球が減少する要因
好中球が減少する要因 | 内容 |
---|---|
①ウイルス感染症 | ウイルス性の風邪 など ※ウイルス性では、一般的にリンパ球が増加し、好中球は減少します。 |
②薬剤性 | 抗がん剤 など |
③血液疾患 | 再生不良性貧血、骨髄異型形成症候群、急性白血病、多発性骨髄腫 など |
④自己免疫疾患 | 全身性エリテマトーデス(SLE) など |
⑤先天性あるいは慢性好中球減少症 | 周期性好中球減少症、慢性本態性好中球減少症、自己免疫性好中球減少症 など |
発熱性好中球減少症(FN)について
がん薬物療法でみられる重篤な副作用に「骨髄抑制」があり、血液成分の好中球などが減少することで身体の免疫が低下し、時に発熱してしまうことがあります。
「発熱性好中球減少症(FN)」とは、強力ながん薬物療法中にみられる副作用で、好中球が500/μl未満に減少し、体温が37.5度以上に発熱した状態で、緊急事態として対応することが要求される病態です。
まとめ
今回は、炎症の指標である「白血球数(WBC)」と「白血球分画」についてまとめていきました。
他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪
お気軽にどうぞ!