【第111回薬剤師国家試験】問116 炎症性サイトカイン及び化学伝達物質 解説

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第111回 問116
第111回 問116
理論問題|生物
炎症性サイトカイン及び化学伝達物質
問116 炎症性サイトカイン及び化学伝達物質に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
ブラジキニンは、肝臓に作用してCRPの産生を減少させる。
2
IL-1は、細菌感染時に活性化マクロファージで産生される。
3
TNF-αは、血管内皮細胞に作用して接着分子の発現を誘導し、好中球を炎症部位へ動員する。
4
ヒスタミンは、補体活性化過程で産生されるアナフィラトキシンである。
5
ケモカインは、アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ経路を経由して産生される。
正解です!
IL-1は活性化マクロファージから産生され、TNF-αは血管内皮に作用して好中球を動員します。
×
不正解です。正解は 2 と 3 です。
解説で各化学伝達物質の特徴を確認しましょう。
解説を見る
炎症に関わる主な化学伝達物質の整理
サイトカイン(IL-1・TNF-α・IL-6など):主にマクロファージ・リンパ球から産生。炎症の促進・発熱・急性期反応を誘導。
ケモカイン(IL-8など):白血球を炎症部位へ遊走させる走化性因子。タンパク質由来。
アナフィラトキシン(C3a・C5a):補体活性化で産生される。肥満細胞からのヒスタミン遊離を促進。

【アラキドン酸カスケード(脂質メディエーター)】
アラキドン酸 → COX(シクロオキシゲナーゼ)経路 → プロスタグランジン・トロンボキサン
アラキドン酸 → LOX(リポキシゲナーゼ)経路 → ロイコトリエン

※ ケモカインはタンパク質(遺伝子発現で産生)であり、アラキドン酸カスケードとは無関係。この図式を頭に入れておくと、選択肢5のような引っかけ問題に素早く対応できる。

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 ブラジキニンは肝臓に作用してCRPの産生を減少させる × ブラジキニンはカリクレイン-キニン系で産生されるペプチドで、血管拡張・血管透過性亢進・疼痛誘発(炎症促進)に関わる。肝臓でのCRP(C反応性タンパク)産生には関与しない。
CRPの産生を増加させるのはIL-6(肝臓に作用して急性期タンパクを誘導)。
2 ★ IL-1は細菌感染時に活性化マクロファージで産生される ◯ IL-1(インターロイキン-1)は細菌のLPS(リポ多糖)などの刺激により活性化マクロファージから産生される代表的な炎症性サイトカイン。発熱(視床下部に作用)・IL-6産生誘導・Tリンパ球活性化・好中球動員などの炎症促進作用を持つ。
3 ★ TNF-αは血管内皮細胞に作用して接着分子の発現を誘導し、好中球を炎症部位へ動員する ◯ TNF-α(腫瘍壊死因子α)はマクロファージから産生され、血管内皮細胞に作用してICAM-1・E-セレクチンなどの接着分子の発現を誘導する。これにより血中の好中球が血管内皮に接着し、炎症部位へ遊走(動員)される。炎症の中心的なサイトカインの一つ。
4 ヒスタミンは補体活性化過程で産生されるアナフィラトキシンである × アナフィラトキシンは補体活性化で産生されるC3a・C5aのことを指す。ヒスタミンはアナフィラトキシンではない。
ヒスタミンは肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球に含まれるアミンで、IgE架橋やC3a・C5aの刺激により脱顆粒・遊離される。血管拡張・血管透過性亢進・気管支収縮を引き起こす。
5 ケモカインはアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ経路を経由して産生される × ケモカイン(IL-8/CXCL8など)は白血球の走化性を誘導するタンパク質(サイトカインの一種)であり、遺伝子発現を経て産生される。アラキドン酸カスケードとは無関係。
アラキドン酸→COX経路で産生されるのはプロスタグランジン・トロンボキサン、LOX経路で産生されるのはロイコトリエン
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:CRP産生を誘導するのはIL-6。ブラジキニンは疼痛・血管透過性亢進に関与
選択肢4:アナフィラトキシン=C3a・C5a(補体由来)。ヒスタミンは肥満細胞から遊離されるアミン
選択肢5:ケモカインはタンパク質。アラキドン酸カスケード(COX/LOX経路)から産生されるのはプロスタグランジン・ロイコトリエンなどの脂質メディエーター
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臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

TNF-α(選択肢3)とIL-1(選択肢2)はリウマチ・炎症性腸疾患などの治療標的として重要です。TNF-α阻害薬(インフリキシマブ・アダリムマブなど)やIL-1阻害薬(アナキンラ)は、これらのサイトカインを直接ブロックすることで炎症を抑制します。

選択肢4のアナフィラトキシン(C3a・C5a)は、アレルギー・アナフィラキシー反応にも深く関わります。C5a阻害薬(アバコパン)は抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療薬として近年承認されており、補体系を標的とした治療の広がりが注目されています。

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