第111回
問175
理論問題|薬剤
1-コンパートメントモデル:パラメータの2倍変動
問175 体内動態が線形1-コンパートメントモデルに従う薬物において、A群に示すパラメータが2倍に変動したとき、B群のパラメータが2倍になる組合せはどれか。2つ選べ。
| A群 | B群 | ||
|---|---|---|---|
| 1 | 分布容積 | 単回急速静脈内投与後の 血中濃度時間曲線下面積(AUC) |
— |
| 2 | クリアランス | 定速静脈内投与時の 定常状態血中濃度 |
— |
| 3 | 消失半減期 | 定速静脈内投与時に定常状態血中濃度の 50%に到達するまでの時間 |
— |
| 4 | 吸収速度定数 | 単回経口投与後の 血中濃度時間曲線下面積(AUC) |
— |
| 5 | 消化管吸収率 | 等間隔・同投与量で繰り返し経口投与時の 定常状態平均血中濃度 |
— |
正解です!
各パラメータの関係式を正確に把握できています。
不正解です。正解は 3 と 5 です。
解説で各パラメータの関係式を確認しましょう。
解説を見る
▼
1-コンパートメントモデルの主要な関係式
・AUC(静注単回)= 投与量 / CLtot
・Css(定速静注)= R0 / CLtot
・定常状態の50%到達時間 = 1 × t1/2(定速投与開始から約1半減期)
・AUC(経口単回)= F × 投与量 / CLtot(F:バイオアベイラビリティ)
・Css,av(反復経口)= F × 投与量 / (CLtot × τ)(τ:投与間隔)
・t1/2 = ln 2 × Vd / CLtot
・AUC(静注単回)= 投与量 / CLtot
・Css(定速静注)= R0 / CLtot
・定常状態の50%到達時間 = 1 × t1/2(定速投与開始から約1半減期)
・AUC(経口単回)= F × 投与量 / CLtot(F:バイオアベイラビリティ)
・Css,av(反復経口)= F × 投与量 / (CLtot × τ)(τ:投与間隔)
・t1/2 = ln 2 × Vd / CLtot
| 選択肢 | A群 | B群 | 判定・理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 分布容積(Vd)×2 | 単回静注AUC | × AUC = 投与量 / CLtot。VdはAUCの式に含まれない。Vdが2倍になってもCLtot・投与量が変わらなければAUCは変化しない |
| 2 | CLtot ×2 | 定速静注Css | × Css = R0 / CLtot。CLtotが2倍になるとCssは1/2(半減)。2倍ではなく逆数方向に変化する |
| 3 ★ | 消失半減期(t1/2)×2 | 定速静注でCssの50%到達時間 | ◯ 定速静脈内投与開始後、Cssの50%に到達するのにかかる時間はちょうど1半減期(t1/2)。t1/2が2倍になれば、50%到達時間も2倍になる |
| 4 | 吸収速度定数(ka)×2 | 単回経口投与AUC | × AUC(経口)= F × 投与量 / CLtot。kaはAUCの式に含まれない(吸収の速さに影響するがAUC総量には影響しない)。kaが2倍になってもAUCは変化しない |
| 5 ★ | 消化管吸収率(F)×2 | 反復経口投与Css,av | ◯ Css,av = F × 投与量 / (CLtot × τ)。FはCss,avに正比例するため、Fが2倍になればCss,avも2倍になる |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:VdはAUCの計算式に含まれない(AUC = 投与量/CLtot)
・選択肢2:CLtotが2倍→Cssは半減(反比例の関係)
・選択肢4:kaは吸収速度に影響するがAUC総量には影響しない
・選択肢1:VdはAUCの計算式に含まれない(AUC = 投与量/CLtot)
・選択肢2:CLtotが2倍→Cssは半減(反比例の関係)
・選択肢4:kaは吸収速度に影響するがAUC総量には影響しない
臨床メモ
▼


薬剤師 あおい
定速静脈内投与でCssの50%到達=1半減期、75%到達≈2半減期、97%到達≈5半減期というのは薬物動態の基本です。半減期の長い薬物(ジゴキシン・アミオダロン等)では定常状態到達に非常に時間がかかるため、負荷投与が考慮されます。
バイオアベイラビリティ(F)が低い薬物は、食事・薬物相互作用・初回通過効果の変化でCss,avが大きく変動します。タクロリムスやシクロスポリンなど治療域の狭い薬物ではTDMによる血中濃度管理が薬剤師の重要な役割です。










