第111回
問180
理論問題|薬剤
界面活性剤の濃度と表面張力・可溶化量
問180 下図は、ある界面活性剤水溶液の濃度と表面張力及び難溶性薬物の可溶化量との関係を模式的に示したものである。この図に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
この界面活性剤は、負吸着を示す。
—
2
Aは可溶化量を、Bは表面張力を示している。
—
3
濃度Xでは、界面活性剤は全てミセルとして存在している。
—
4
濃度Xよりも高い濃度では、溶液表面への界面活性剤の吸着量が一定となる。
—
5
濃度Yでは、疎水基を外側に、親水基を内側としたミセルが形成される。
—
正解です!
界面活性剤の臨界ミセル濃度と各特性を正確に把握できています。
不正解です。正解は 2 と 4 です。
解説でCMCと界面活性剤の挙動を確認しましょう。
解説を見る
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臨界ミセル濃度(CMC)のポイント
・濃度XがCMC(臨界ミセル濃度)。X未満では単分子として界面に吸着して表面張力を低下させる
・X以上ではミセル形成が始まり、表面張力・可溶化量の挙動が変わる
・グラフ上の曲線A(CMC以上で急上昇)=可溶化量(ミセル内部に薬物が取り込まれるため)
・グラフ上の曲線B(CMCで低下が止まり一定)=表面張力(CMC以上で表面が飽和されて一定)
・通常の界面活性剤は溶液界面に正吸着(濃度上昇で表面張力が低下)
・濃度XがCMC(臨界ミセル濃度)。X未満では単分子として界面に吸着して表面張力を低下させる
・X以上ではミセル形成が始まり、表面張力・可溶化量の挙動が変わる
・グラフ上の曲線A(CMC以上で急上昇)=可溶化量(ミセル内部に薬物が取り込まれるため)
・グラフ上の曲線B(CMCで低下が止まり一定)=表面張力(CMC以上で表面が飽和されて一定)
・通常の界面活性剤は溶液界面に正吸着(濃度上昇で表面張力が低下)
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | この界面活性剤は負吸着を示す | × グラフでは濃度の増加とともに表面張力が低下している。これは界面活性剤が溶液界面に優先的に集まる正吸着の挙動。負吸着は濃度増加で表面張力が上昇する場合(電解質など)に起こる |
| 2 ★ | Aは可溶化量、Bは表面張力を示している | ◯ CMC(濃度X)以上でミセルが形成されると、ミセル内疎水性コアに難溶性薬物が取り込まれて可溶化量(A)が直線的に増加する。一方表面張力(B)はCMC以上で界面が飽和されるため一定値に保たれる |
| 3 | 濃度Xでは界面活性剤は全てミセルとして存在している | × 濃度XはCMCであり、ミセル形成が始まる濃度。X付近では単分子とミセルが共存しており、全てミセルとして存在するわけではない。CMC以上では追加分がミセルを形成するが、単量体の濃度はほぼCMCに保たれる |
| 4 ★ | 濃度X以上では溶液表面への吸着量が一定となる | ◯ CMC(濃度X)以上では界面(溶液表面)が界面活性剤分子で飽和されており、それ以上の界面活性剤はミセルを形成する。したがって表面への吸着量(表面過剰量)は一定となり、表面張力も一定に保たれる |
| 5 | 濃度Yでは疎水基を外側に、親水基を内側としたミセルが形成される | × 水中では界面活性剤は疎水基を内側(水を避けるため)、親水基を外側(水と接するため)に向けた球状ミセルを形成する。疎水基が外側になるのは有機溶媒中(逆ミセル)の場合 |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:表面張力が濃度上昇で低下→正吸着(負吸着は表面張力が上昇する場合)
・選択肢3:濃度XはCMC=ミセル形成が「始まる」濃度。全量ミセルではない
・選択肢5:水中ミセルは疎水基が内側・親水基が外側。逆(疎水基外側)は有機溶媒中の逆ミセル
・補足(温度の影響):界面活性剤にはクラフト点という指標がある。クラフト点以上の温度になると溶解度が急激に増大してCMCを超え、ミセルが形成されやすくなる。このグラフに「温度」という軸を重ねた問題も国試で出題されやすい
・選択肢1:表面張力が濃度上昇で低下→正吸着(負吸着は表面張力が上昇する場合)
・選択肢3:濃度XはCMC=ミセル形成が「始まる」濃度。全量ミセルではない
・選択肢5:水中ミセルは疎水基が内側・親水基が外側。逆(疎水基外側)は有機溶媒中の逆ミセル
・補足(温度の影響):界面活性剤にはクラフト点という指標がある。クラフト点以上の温度になると溶解度が急激に増大してCMCを超え、ミセルが形成されやすくなる。このグラフに「温度」という軸を重ねた問題も国試で出題されやすい
臨床メモ
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薬剤師 あおい
界面活性剤の可溶化は注射剤・点眼液・経口液剤で難溶性薬物を製剤化する上で重要な技術です。ポリソルベート80(Tween 80)やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO-60)などが代表的な可溶化剤として使われています。ただし過剰な界面活性剤は細胞膜障害を起こすため、適切な濃度設計が製剤の安全性に直結します。










