ヒルドイドとプロペトの違い|塗る順番・使い分けを薬剤師が解説【早見表】

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あおい

こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です。

薬学生

ヒルドイドとプロペト、両方出たけど、どっちを先に塗るの?

乾燥する季節、薬局でとてもよく聞かれる質問です。

結論から言うと、ヒルドイドは肌にうるおいを与える薬、プロペトはそのうるおいを逃がさないようにフタをする保護剤です。

一緒に使うなら、ヒルドイド→プロペトの順が基本です。

この記事では、添付文書とメーカー資料をもとに、2つの違いと塗る順番、部位ごとの使い分けを早見表でまとめます。

この記事でわかること
  • ヒルドイドとプロペトの働きの違い(うるおいを与える/フタをする)
  • 2つを一緒に使うときの塗る順番と、ステロイドがあるときの順番
  • 顔・唇・手荒れなど、部位ごとの使い分けと注意点
目次

結論:ヒルドイドは「うるおいを与える」、プロペトは「フタをする」

ヒルドイドうるおいを与える角層に水分を抱え込ませる
(ヘパリン類似物質)
プロペトフタをする皮膚の表面をおおい、水分の蒸発を防ぐ
(白色ワセリン)
結論:ヒルドイドとプロペトの違い
  • ヒルドイドは水分を保つ薬、プロペトは水分を逃がさない保護剤。働き方が違う
  • 一緒に使うならヒルドイド→プロペトの順が一般的(うるおいを与えてからフタ)
  • ヒルドイドは出血しやすい病気の人には使えない。プロペトにはこの制限はない

ヒルドイド(マルホ)の有効成分はヘパリン類似物質で、角層の水分を保つ保湿作用のほか、血行促進や抗炎症の作用ももつ薬です。一方、プロペト(丸石製薬)は白色ワセリンで、皮膚の表面に油の膜をつくって水分の蒸発を防ぎ、外からの刺激から皮膚を守ります。

どちらも「保湿剤」と呼ばれますが、ヒルドイドは水分を与えて保つタイプ、プロペトは水分を閉じ込めるタイプです。乾燥が強いときに2つがセットで処方されるのは、この働きの違いを組み合わせるためです。

【早見表】ヒルドイドとプロペトの比較

基本情報の比較
項目ヒルドイドプロペト
有効成分ヘパリン類似物質 0.3%日局白色ワセリン
製造販売元マルホ丸石製薬
働き角層の水分を保つ(保湿)
血行促進・抗炎症
皮膚をおおって水分の蒸発を防ぐ
外部刺激からの保護
主な効能皮脂欠乏症、進行性指掌角皮症、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、血栓性静脈炎、打撲・捻挫後の腫脹 など皮膚保護剤、軟膏基剤(眼科用・一般)
剤形ソフト軟膏・クリーム・ローション・フォーム軟膏のみ
使えない人出血性血液疾患(血友病・血小板減少症・紫斑病など)の人、わずかな出血でも重大な結果が予想される人添付文書上の禁忌なし
避ける部位潰瘍・びらん面(ジュクジュクした傷)への直接塗布眼・口の中への単独使用(承認外)
主な副作用皮膚炎、かゆみ、発赤、発疹、刺激感、紫斑接触皮膚炎
ジェネリックあり(ヘパリン類似物質)先発希望は選定療養の対象—一般名が白色ワセリンの製品

※添付文書(2025〜2026年時点)をもとに作成。色付きセルは各製品に特有の特徴です。

ヒルドイドの剤形の違い
剤形使用感向いている場面
ソフト軟膏しっとり・伸びがよい油中水型(W/O)乾燥が強い部位、冬場のカサカサ
クリームさっぱり・なじみやすい水中油型(O/W)べたつきが苦手な人、日中の使用
ローション乳液状で広げやすい背中など広い範囲、毛のある部位
フォーム泡状で軽い広い範囲にすばやく塗りたいとき

※剤形は医師が症状や部位に合わせて選びます。変更したい場合は医師・薬剤師に相談してください。

塗る順番は?ヒルドイド→プロペトが基本

STEP 1ヒルドイド入浴後など肌がしっとりしているうちに、乾燥している範囲に広く塗る
→
STEP 2プロペトヒルドイドがなじんでから、上から薄く重ねてフタをする

ヒルドイドで角層に水分を抱え込ませ、その上をプロペトでおおうと、水分が逃げにくくなります。「うるおいを与えてからフタをする」という考え方なので、ヒルドイド→プロペトの順が一般的です。

ステロイドの塗り薬もあるときは?
STEP 1保湿剤(ヒルドイド)乾燥している範囲に広く
→
STEP 2ステロイド湿疹・赤みのある部分だけに
→
STEP 3プロペト必要に応じて最後にフタ

一般的には、塗る面積の広いものから先に塗ります。ステロイドを先に塗ってから保湿剤を広げると、ステロイドが必要のない部分にまで広がってしまうためです。

順番で効果は大きく変わらない、という報告もあります ヘパリン類似物質とステロイドの塗る順番を入れ替えても、効果や副作用に有意な差はなかったという報告があります。大切なのは順番よりも、必要な量を毎日続けることです。医師から順番の指示がある場合は、その指示に従ってください。

ヒルドイドとプロペトを混ぜた薬(混合処方)について

ヒルドイドとプロペトは、医師の指示であらかじめ1つの容器に混ぜて処方されることもあります。重ね塗りと混合、それぞれの特徴は次のとおりです。

項目重ね塗り(別々に処方)混合(1つの容器)
塗る回数2回(ヒルドイド→プロペト)1回で済む
塗る範囲の調整部位ごとに変えられる(唇や目のまわりはプロペトだけ、など)どこにも同じ割合で塗る
使用感剤形ごとの使用感プロペトよりやわらかく伸ばしやすい
保管・期限それぞれの製品の期限薬局で混ぜた時点から、説明された期限内に使い切る

※混合の比率や組み合わせは、医師が症状に合わせて決めます。

混合されるのは主にソフト軟膏

ヒルドイドには4つの剤形がありますが、プロペトと混ぜるときはソフト軟膏が使われるのが一般的です。ソフト軟膏は油の中に水が分散したタイプ(W/O型)で、油性のプロペトとなじみやすいためです。一方、クリーム(O/W型)などの乳剤性の製剤は、混ぜると乳化が壊れて分離しやすくなることが知られています。

混合された薬を使うときの注意
  • 自分で混ぜない:処方どおりの組み合わせ・比率で薬局が調製しています
  • 期限内に使い切る:混ぜた薬は元の製品より期限が短くなることがあります
  • 清潔に保管する:容器から取るときは清潔な指かヘラで。直射日光・高温を避ける
  • 分離・変色したら相談:水や油が分かれた、色やにおいが変わったときは薬局へ

部位・症状別の使い分け

◎ 特に適する ○ 適する △ 注意して使う × 使わない
部位・症状ヒルドイドプロペトポイント
体・手足の乾燥(皮脂欠乏症)◎○ヒルドイドで保湿し、乾燥が強ければプロペトを重ねる
手荒れ・指先のひび割れ(進行性指掌角皮症)◎◎水仕事の後はこまめに。夜はプロペトを重ねて手袋も有効
顔○○べたつきが気になるならヒルドイドのクリームやローション
唇△◎口に入りやすいので、唇にはプロペトが使いやすい
目のまわり(まぶたの皮膚)△◎ヒルドイドは目に入らないよう注意。まぶたはプロペトが使いやすい
しもやけ(凍瘡)◎○ヒルドイドは凍瘡に効能がある
ジュクジュクした傷・ただれ(潰瘍・びらん面)×○ヒルドイドは直接塗らない。傷は医師の指示に従う
出血しやすい病気がある(血友病・血小板減少症など)×○ヒルドイドは禁忌。必ず医師・薬剤師に伝える

※◎○△は臨床での使い分けの目安です。医師から別の指示がある場合は、その指示に従ってください。

よくある誤解4つ

誤解1
ヒルドイドは美容クリームとして使える
正しくは
ヒルドイドは病気の治療に使う医療用医薬品です。保険診療では、皮脂欠乏症などの治療目的で処方されます。
誤解2
プロペトだけでも、ヒルドイドと同じように保湿できる
正しくは
プロペトは水分を閉じ込める働きで、水分を与える働きはありません。乾燥が強いときは、ヒルドイドなどと組み合わせると効果的です。
誤解3
塗る順番を間違えると効かない
正しくは
順番を入れ替えても効果に大きな差はないという報告があります。順番より、必要な量を毎日続けることのほうが大切です。
誤解4
ヒルドイドは誰でも使える安全な薬
正しくは
出血しやすい病気のある人には使えません(禁忌)。また、ジュクジュクした傷に直接塗るのも避けます。

ジェネリック・市販品・選定療養について

ヒルドイドのジェネリックと選定療養

ヒルドイドには、一般名「ヘパリン類似物質」のジェネリック医薬品があります。2024年10月から、ジェネリックがあるのに先発品を希望すると、差額の一部を「特別の料金(選定療養)」として支払う仕組みが始まりました。2026年6月からは、その負担が価格差の4分の1から2分の1に引き上げられています。

特別の料金がかからないケース
  • 医師が医療上の必要があると判断し、処方箋で「変更不可」としている場合
  • 薬局にジェネリックの在庫がない場合
  • 入院中に使う場合
市販品との違い
製品区分特徴
ヘパリン類似物質配合の市販薬(ドラッグストア)第2類医薬品処方薬と同じ成分の製品もある。効能・使用上の注意はパッケージで確認
日本薬局方 白色ワセリン(ドラッグストア)第3類医薬品手足のひび・あかぎれ、皮膚のあれ、皮膚の保護
サンホワイトP-1(日興リカ)化粧品高精製のワセリン。処方はできない

※出血しやすい病気のある人や、湿疹・ジュクジュクがある場合は、市販品を使う前に医師・薬剤師に相談してください。

よくある質問

ヒルドイドとプロペトを自分で混ぜてもいい?
自己判断で混ぜるのは避けましょう。剤形によっては分離しやすく、清潔さや期限の管理も難しくなります。混ぜて使いたい場合は、医師・薬剤師に相談してください。
どのくらいの量を塗ればいい?
塗ったあとにティッシュペーパーが肌にくっつく程度が目安です。軟膏なら人差し指の先から第一関節までの量(1FTU・約0.5g)で、手のひら2枚分の面積に塗れます。
1日に何回塗ればいい?
1日2回(朝と入浴後など)塗ると、1日1回より保湿効果が高かったという報告があります。医師の指示に従い、こまめに塗りましょう。
お風呂上がりすぐに塗らないとダメ?
入浴後1時間以内であれば、保湿効果に大きな差はなかったという報告があります。時間にこだわりすぎず、毎日続けられるタイミングで塗りましょう。
赤ちゃんにも使える?
ヒルドイドもプロペトも、乳幼児の乾燥肌に処方されることがあります。塗る量や範囲は医師の指示に従ってください。
ヒルドイドがしみる・赤くなるときは?
皮膚炎やかゆみなどの副作用の可能性があります。使用を中止し、医師・薬剤師に相談してください。
あおい

白色ワセリンとプロペトの違いについて知りたい方はこちらで紹介しています♪

まとめ

ヒルドイドとプロペトの違い まとめ
  • ヒルドイドはうるおいを与えて保つ、プロペトはフタをして逃がさない
  • 一緒に使うならヒルドイド→プロペト。ステロイドがあれば「広い範囲のものから」
  • ヒルドイドは出血しやすい病気の人には使えず、ジュクジュクした傷にも直接塗らない
  • 唇・目のまわり・傷のまわりには、刺激の少ないプロペトが使いやすい
  • 順番よりも、必要な量を毎日続けることが大切

冬は乾燥が進みやすい季節です。塗り方で迷ったときは、気軽に薬剤師に相談してくださいね。

あおい

処方された保湿剤の使い方で迷ったときは、気軽に薬剤師に相談してくださいね。他の薬の情報について知りたい方はこちらで紹介しています♪

»薬の情報(Drug Information

参考文献

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