


こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です。



前は白色ワセリンだったのに、今回はプロペトになった。何が違うの?
薬局でとてもよく聞かれる質問です。
結論から言うと、どちらも成分は日本薬局方の白色ワセリンで、保湿・皮膚保護の働きは同じです。違いは「軟らかさ・刺激性要素の少なさ」といった物性と、添付文書に「眼科用軟膏基剤」の記載があるかどうかです。
この記事では、添付文書とメーカー資料をもとに、使える部位・処方されやすい病名を早見表で比較します。
- 白色ワセリンとプロペトの効能効果・物性の違い
- 顔・目のまわり・唇・赤ちゃんに使えるか
- 「プロペトは目に塗れる」「酸化防止剤が入っていない」などの誤解
結論:同じ成分で、物性が違う
- 成分はどちらも日本薬局方の白色ワセリン。保湿・皮膚保護の働きは同じ
- プロペトは不純物(刺激性要素)が少なく、軟らかく伸びがよい
- 「眼科用」でも単独で目に塗るのは承認外。まぶたの皮膚や唇はOK
- 成分:日局白色ワセリン 1g中1g
- 添加剤:BHT 0.01mg
- 効能:軟膏基剤・皮膚保護剤
- 保湿効果・副作用(接触皮膚炎)
- 不純物(夾雑有機酸類など)の少なさ
- 軟らかさ・伸びのよさ
- 「眼科用軟膏基剤」の記載
- 加熱滅菌での変色しにくさ
プロペト(丸石製薬)は、1g中に日局白色ワセリン1gを含む製剤です。一般名も「白色ワセリン」で、プロペトは白色ワセリンの一製品にあたります。
よく「プロペトは白色ワセリンをさらに精製したもの」と説明されます。メーカーによると、プロペトも日局白色ワセリンの規格内の製品で、そのうえで刺激性要素が少なく、眼科用基剤に適した軟らかさをもつのが特徴です。
一方で、どちらも添付文書上の効能は「軟膏基剤」「皮膚保護剤」で、保湿効果に大きな差はありません。
【早見表】比較
| 項目 | 白色ワセリン | プロペト |
| 成分(1g中) | 日局白色ワセリン 1g | 日局白色ワセリン 1g |
| 添加剤(1g中) | BHT(抗酸化剤)0.01mg※製品による | BHT(抗酸化剤)0.01mg |
| 製造販売元 | 健栄製薬・日興製薬・東海製薬など複数 | 丸石製薬 |
| 効能又は効果 | 軟膏基剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤として用いる | 眼科用軟膏基剤、一般軟膏基剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤として用いる |
| 眼科用基剤の記載 | 多くの製品はなし(健栄製薬品は「眼軟膏用基剤」の記載あり) | あり(使用時は調製後に滅菌が必要) |
| 物性 | 融点38〜60℃(日局規格) やや硬め | 日局規格内+眼科用に適した稠度・粘度 刺激性要素が少ない/加熱滅菌で変色しにくい |
| 副作用 | 接触皮膚炎(頻度不明) | 接触皮膚炎(頻度不明) |
| 薬価(10g) | 20円台〜30円台(製品により異なる) | 31.6円 |
※薬価は2026年9月時点の掲載値。色付きセルはプロペトにのみある特徴です。
| 部位 | 白色 ワセリン | プロペト | ポイント |
| 体・手足 | ◎ | ◎ | 全身の皮膚に使用できる |
| 手荒れ(広範囲・頻回塗布) | ◎ | ○ | たっぷり使うなら硬めで残りやすい白色ワセリンも便利 |
| 顔 | ○ | ◎ | 伸びがよく刺激性要素が少ないプロペトが選ばれやすい |
| 目のまわり(まぶたの皮膚) | ○ | ◎ | 眼に入らないよう薄く塗る |
| 唇 | ○ | ◎ | なめて口に入る程度なら毒性は低い |
| 陰部・おむつ部 | ○ | ◎ | 排泄物からの皮膚保護に |
| 乳幼児・妊娠中・授乳中 | ○ | ◎ | プロペトは年齢制限なし、妊娠・授乳中も使用可(メーカー回答) |
| 眼球・結膜(単独使用) | × | × | 「眼科用」は眼軟膏を作るときの基剤という意味 |
| 口の中(単独使用) | × | × | 粘膜面への単独使用は承認外 |
※◎○は添付文書の制限ではなく、臨床での使い分けの目安です。医師から別の指示がある場合は、その指示に従ってください。
| 病名の例 | 主な目的 |
| 皮脂欠乏症・乾皮症・皮脂欠乏性湿疹 | 乾燥部位の保湿・水分蒸散の防止 |
| アトピー性皮膚炎 | スキンケア(保湿)・ステロイド外用薬の希釈基剤 |
| 手湿疹・亀裂(ひび・あかぎれ) | 皮膚保護・バリア |
| おむつ皮膚炎 | 排泄物からの皮膚保護 |
| 口唇炎・口角炎(口唇周囲) | 乾燥・刺激からの保護 |
| 眼瞼周囲の湿疹・花粉皮膚炎 | 目のまわりの皮膚保護 |
| 褥瘡・創傷周囲 | 周囲皮膚の保護・浸軟予防 |
※添付文書の効能は「皮膚保護剤」で、疾患名の記載はありません。病名の付け方は医療機関によって異なります。
プロペトは何が違う?
プロペトの添付文書には、「日本薬局方白色ワセリンの規格に適合するとともに、眼科用基剤として適切な物性を有する」とあり、次の3つの特徴が挙げられています。
- 効能は「眼科用軟膏基剤」=眼軟膏を作るときの材料として使えるという意味
- プロペトは滅菌されていないため、眼科用基剤として使う場合は調製後に滅菌処理が必要
- プロペト単独での眼(粘膜面)への使用は承認外。まぶたの皮膚に塗るのは問題ありません
なお、純度は夾雑有機酸類の量で比較されますが、その含有量について公表された報告は確認されていないとメーカーは回答しています。「プロペトは刺激性要素が少ない」は正しい一方で、「何倍純度が高い」といった数値の比較はできません。
よくある誤解4つ
使い分け
サンホワイト・市販品との違い
市販品(第3類)あり
刺激性要素が少ない
処方はできない
一般に、ワセリンの精製度は「黄色ワセリン<白色ワセリン<プロペト<サンホワイト」の順と紹介されます。
| 製品 | 区分 | 特徴 |
| 日本薬局方 白色ワセリン(ドラッグストア) | 第3類医薬品 | 効能は手足のひび・あかぎれ、皮膚のあれ、皮膚の保護 |
| サンホワイトP-1(日興リカ) | 化粧品 | 高精製のワセリン。医薬品ではないため処方できず、保険も使えない。アレルギーパッチテストの基剤にも使われる |
※市販品の区分・効能は製品パッケージでご確認ください。
よくある質問
白色ワセリンからプロペトに変わったけど、効果は同じ?
プロペトは赤ちゃんや妊娠中でも使える?
どのくらいの量を塗ればいい?
いつ塗るのが効果的?
夏場に使うときの注意点は?
表面に液状の油が出てきた。使っていい?
まとめ
- 成分はどちらも日局白色ワセリン。保湿・皮膚保護の効果は同じ
- プロペトは不純物(刺激性要素)が少なく、軟らかく伸びがよい
- 顔・目のまわり・唇・乳幼児にはプロペト、広い範囲には白色ワセリンが使いやすい
- 「眼科用」でも単独で目に塗るのは承認外
- 酸化防止剤(BHT)はどちらにも入っている
処方された保湿剤の使い方で迷ったときは、気軽に薬剤師に相談してくださいね。
参考文献
- プロペト 電子添文(丸石製薬、2023年12月改訂)
- 薬剤師さんの?を解決!軟膏Q&A(丸石製薬)
- プロペト 処方薬事典(日経メディカル)
- 白色ワセリン 添付文書(JAPIC)
- 白色ワセリン「ケンエー」処方薬事典(日経メディカル)
- 白色ワセリン(東海製薬)処方薬事典(日経メディカル)
- 日本薬局方 白色ワセリン 第3類医薬品(富士薬品)







