第110回
問94
理論問題|物理
ミカエリス・メンテンの式
問94(理論)
次の酵素反応の反応速度vはミカエリス・メンテンの式に従う。
E + S ⇌ ES → P
ただし、Eは酵素、Sは基質、ESはEとSの複合体、Pは生成物を表し、ミカエリス定数をKm、最大反応速度をVmaxとする。この反応に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
vは、Pの生成速度(d[P]/dt)で表される。
—
2
vは、[ES]が一定(d[ES]/dt = 0)となる定常状態を仮定した場合の速度である。
—
3
[S]がKmの2倍であるとき、vはVmaxの1/4となる。
—
4
Kmは反応温度に依存しない。
—
5
Kmが小さいほどEとSの親和性は低い。
—
正解です!
解説でミカエリス・メンテンの式の考え方を確認しましょう。
不正解です。正解は 1・2 です。
解説でミカエリス・メンテンの式の考え方を確認しましょう。
解説を見る▼
ミカエリス・メンテンの式は、酵素反応の速度vと基質濃度[S]の関係を v = Vmax[S] / (Km + [S]) と表す式です。この式は、酵素-基質複合体ES濃度が変化しない定常状態近似(d[ES]/dt=0)を仮定して導出されます。
ミカエリス・メンテンの式の基本
・v = Vmax[S] / (Km + [S])
・vは生成物Pの生成速度(d[P]/dt)として定義される
・導出には[ES]が一定とみなす定常状態近似を用いる
・Km(ミカエリス定数):v = Vmax/2 となるときの基質濃度。値が小さいほど酵素と基質の親和性は高い
・Kmは各速度定数(k₁、k₋₁、k₂等)の組み合わせで表され、これらの速度定数は反応温度に依存するため、Km自体も温度に依存する
・v = Vmax[S] / (Km + [S])
・vは生成物Pの生成速度(d[P]/dt)として定義される
・導出には[ES]が一定とみなす定常状態近似を用いる
・Km(ミカエリス定数):v = Vmax/2 となるときの基質濃度。値が小さいほど酵素と基質の親和性は高い
・Kmは各速度定数(k₁、k₋₁、k₂等)の組み合わせで表され、これらの速度定数は反応温度に依存するため、Km自体も温度に依存する
各選択肢の解説
◯ 1 「vはPの生成速度(d[P]/dt)」:反応速度vの定義そのもの。正しい
◯ 2 「[ES]が一定となる定常状態を仮定した速度」:ミカエリス・メンテンの式は定常状態近似(d[ES]/dt=0)により導出される。正しい
× 3 「[S]がKmの2倍のときvはVmaxの1/4」:v = Vmax×2Km/(Km+2Km) = Vmax×2/3 となり、1/4ではなく2/3が正しい
× 4 「Kmは反応温度に依存しない」:Kmは各素反応の速度定数から構成され、速度定数はアレニウスの式に従い温度に依存するため、Kmも温度により変化する。誤り
× 5 「Kmが小さいほどEとSの親和性は低い」:Kmが小さいほど、より低い基質濃度で半分の反応速度に達する=酵素と基質の親和性は高い。「低い」は逆で誤り
◯ 1 「vはPの生成速度(d[P]/dt)」:反応速度vの定義そのもの。正しい
◯ 2 「[ES]が一定となる定常状態を仮定した速度」:ミカエリス・メンテンの式は定常状態近似(d[ES]/dt=0)により導出される。正しい
× 3 「[S]がKmの2倍のときvはVmaxの1/4」:v = Vmax×2Km/(Km+2Km) = Vmax×2/3 となり、1/4ではなく2/3が正しい
× 4 「Kmは反応温度に依存しない」:Kmは各素反応の速度定数から構成され、速度定数はアレニウスの式に従い温度に依存するため、Kmも温度により変化する。誤り
× 5 「Kmが小さいほどEとSの親和性は低い」:Kmが小さいほど、より低い基質濃度で半分の反応速度に達する=酵素と基質の親和性は高い。「低い」は逆で誤り
| 項目 | 内容 |
| v(反応速度) | d[P]/dt(生成物の生成速度) |
| 導出の仮定 | 定常状態近似 d[ES]/dt = 0 |
| Kmの意味 | v=Vmax/2となる[S]。小さいほど親和性が高い、温度依存性あり |
引っかけポイント:
・選択肢3:[S]=Kmのときv=Vmax/2という有名な関係と混同し、[S]=2Kmのときも単純に比例計算してしまうと誤る。実際にミカエリス・メンテン式に代入して確認する癖をつけること(v=2/3×Vmaxが正しい)
・選択肢4:Kmは「基質への親和性を表す定数」というイメージから温度非依存と誤解しやすいが、速度定数の組み合わせである以上温度依存性がある点に注意
・選択肢5:Kmと親和性の関係(小さいほど親和性は高い)を逆に覚えていると誤る。Kmは「基質濃度」の次元を持ち、小さい濃度で反応が進みやすい=親和性が高い、とイメージで整理すること
・選択肢3:[S]=Kmのときv=Vmax/2という有名な関係と混同し、[S]=2Kmのときも単純に比例計算してしまうと誤る。実際にミカエリス・メンテン式に代入して確認する癖をつけること(v=2/3×Vmaxが正しい)
・選択肢4:Kmは「基質への親和性を表す定数」というイメージから温度非依存と誤解しやすいが、速度定数の組み合わせである以上温度依存性がある点に注意
・選択肢5:Kmと親和性の関係(小さいほど親和性は高い)を逆に覚えていると誤る。Kmは「基質濃度」の次元を持ち、小さい濃度で反応が進みやすい=親和性が高い、とイメージで整理すること
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
ミカエリス・メンテンの式は、薬物代謝酵素(CYP等)による飽和型代謝(非線形薬物動態)を理解する上でも重要な考え方です。フェニトインやアルコールのように、通常量の範囲で代謝が飽和し、少しの用量変化で血中濃度が大きく変わる薬物の挙動は、まさにこのKm・Vmaxの概念で説明されます。
臨床では「飽和動態を示す薬物は用量調節が難しい」という点を理解しておくと、TDM(治療薬物モニタリング)の重要性がより実感できます。Kmが小さい=低濃度でも代謝が進みやすい、Vmaxが代謝能力の上限、という物理化学の知識が実務の理解にもつながる好例です。










