【第111回薬剤師国家試験】問128 食品の変質による分解生成物 解説

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第111回 問128
第111回 問128
理論問題|衛生
食品の変質による分解生成物
問128 食品の変質による分解生成物に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
サバやイワシはヒスチジン含有量が多いため、腐敗によってアレルギー様食中毒を起こしやすい。
2
トリメチルアミンは、主に魚介類の腐敗物質で、トリメチルアミンオキシドから腐敗菌の酵素により酸化されて生成する。
3
チーズなどに含まれるチラミンは血圧上昇作用があり、リシンから生成する。
4
スカトールは、トリプトファンの脱アミノ反応及び脱炭酸反応により生成する。
5
硫化水素及びエチルメルカプタンは、悪臭の原因となり、アルギニンから生成する。
正解です!
食品変質による分解生成物と前駆体アミノ酸を正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 1 と 4 です。
解説で各分解生成物の前駆体と生成機序を確認しましょう。
解説を見る
食品変質の分解生成物と前駆体アミノ酸の対応
・ヒスタミン ← ヒスチジン(脱炭酸)→ アレルギー様食中毒
・チラミン ← チロシン(脱炭酸)→ 血圧上昇
・スカトール・インドール ← トリプトファン(脱アミノ+脱炭酸)→ 腐敗臭
・硫化水素・メルカプタン ← メチオニン・システイン(含硫アミノ酸)→ 悪臭
・トリメチルアミン ← トリメチルアミンオキシド(還元)→ 魚臭

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 ★ サバ・イワシ:ヒスチジン多い→腐敗→アレルギー様食中毒 ◯ サバ・イワシ・マグロなどの赤身魚はヒスチジン含有量が多く、腐敗菌のヒスチジン脱炭酸酵素によりヒスタミンが生成される。ヒスタミンは熱に安定で加熱調理しても分解されない。摂取するとアレルギー様症状(じんましん・顔面紅潮・頭痛など)を引き起こす
2 トリメチルアミン:トリメチルアミンオキシドから酸化されて生成 × トリメチルアミンオキシド(TMAO)は腐敗菌の酵素により還元されてトリメチルアミン(TMA)が生成する(酸化ではなく還元)。TMAが魚の生臭さの主成分。TMAO → TMA の反応は酸化還元反応の「還元」側
3 チラミン:血圧上昇作用→リシンから生成 × チラミンはチロシンが脱炭酸されて生成する(リシンではない)。チーズ・ワイン・発酵食品に多く含まれ、MAO阻害薬(MAOI)服用中の患者がチラミン含有食品を摂取するとチーズ反応(高血圧クリーゼ)を起こす
4 ★ スカトール:トリプトファンの脱アミノ反応+脱炭酸反応により生成 ◯ スカトール(3-メチルインドール)はトリプトファンが腸内細菌・腐敗菌により脱アミノ・脱炭酸を受けて生成する。糞便臭・腐敗臭の主成分のひとつ。同じくトリプトファンからはインドールも生成される
5 硫化水素・エチルメルカプタン:悪臭→アルギニンから生成 × 硫化水素(H₂S)やメルカプタン類は含硫アミノ酸メチオニン・システイン)の分解により生成する。アルギニンは含硫アミノ酸ではなく(グアニジノ基を持つ塩基性アミノ酸)、これらの悪臭物質の前駆体にはならない
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢2:TMAOからTMAへは「酸化」ではなく還元
選択肢3:チラミンの前駆体は「リシン」ではなくチロシン(チロ→チラ、頭文字が共通)
選択肢5:硫黄含有の悪臭物質の前駆体は「アルギニン」ではなくメチオニン・システイン(含硫アミノ酸)
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

チーズ反応(チラミン反応)は薬剤師として必ず知っておくべき相互作用です。MAO阻害薬(セレギリンなど)服用中の患者さんがチーズ・ワイン・味噌・納豆などチラミンを多く含む食品を摂取すると、チラミンの代謝が阻害されて高血圧クリーゼを起こすことがあります。

ヒスタミン食中毒は「加熱しても防げない」点が重要です。一度生成されたヒスタミンは100℃加熱でも分解されないため、鮮度管理(低温保存)が唯一の予防策です。患者さんから「火を通したのになぜ食中毒に?」と聞かれたときに説明できると信頼につながります。

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