第110回
問23
必須問題|衛生
大腸菌を特異的に検出するための基質
【設問】
水道水質基準の基準項目に定められている大腸菌を特異的に検出するための基質はどれか。1つ選べ。
問23(衛生)
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1
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2
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3
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4
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5
正解です!
MUGがβ-グルクロニダーゼにより分解されて蛍光を発し、大腸菌を特異的に検出できることを正しく理解しています。
不正解です。正解は 4 です。
解説で大腸菌特異的酵素(β-グルクロニダーゼ)と基質MUGの関係を確認しましょう。
解説を見る▼
【問23】大腸菌の特異的検出基質:MUG
大腸菌(Escherichia coli)はβ-グルクロニダーゼ(β-glucuronidase)という酵素を高率に産生する(大腸菌の約97%が陽性)。この酵素に特異的な蛍光基質がMUG(4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド)であり、β-グルクロニダーゼによって加水分解されると4-メチルウンベリフェロン(蛍光物質)が遊離し、UV照射下で青白色の蛍光を発する。この反応が水道水質基準における大腸菌の特異的検出法として採用されている。
| 番号 | 化合物 | 関連する酵素・反応 | 用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG) | β-ガラクトシダーゼ | ガラクトース1位に o-ニトロフェニル基(ベンゼン環に −NO₂ が隣接して結合)が結合。加水分解で生じる o-ニトロフェノールが黄色を呈する。大腸菌群全体の指標であり、大腸菌に特異的ではない。 |
| 2 | 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(X-Gal) | β-ガラクトシダーゼ | 遺伝子クローニングのコロニー青白選択(分子生物学)に使用。水道水検査では用いない。 |
| 3 | マンデロニトリル-β-D-グルコピラノシド(プルナシン) | β-グルコシダーゼ | 植物由来の青酸配糖体。大腸菌検出とは無関係。 |
| 4 ★ | MUG(4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド) | β-グルクロニダーゼ | 大腸菌を特異的に検出。UV照射で青白色蛍光。水道水質基準の検査法として採用。 |
| 5 | グルコース誘導体(N-メチル-N-ニトロソ系) | — | 本問に掲示された構造(グルコシド+ニトロソアミン様構造)は大腸菌検出基質ではない。 |
構造式からMUG(選択肢4)を一発で見分けるポイントは、以下の2つのパーツの縮合体であることを見抜く点である。
- ① ウンベリフェロン(右側の大きな骨格):ベンゼン環とラクトン環(酸素を含む6員環)が縮合したクマリン骨格。UV照射時に蛍光を放つパーツ。
- ② グルクロン酸(左側の糖骨格):グルコースの6位(先端部分)の −CH₂OH が酸化されて −COOH(カルボキシル基)に変化した糖。選択肢4の糖部分に −CO₂H が見えることで一瞬で同定できる。
「クマリン骨格(蛍光パーツ)」+「カルボキシル基を持つ糖(グルクロン酸)」のドッキング構造を探すだけで、有機化学の知識から選択肢4を瞬時に選べる。
したがって正解は 4(MUG) である。
・選択肢1(ONPG)が最大のひっかけ。ONPGも大腸菌が持つβ-ガラクトシダーゼで分解されるが、この酵素は大腸菌群全般(大腸菌以外の腸内細菌も)が持つため大腸菌に特異的ではない。「大腸菌群の検出」には使えるが「大腸菌の特異的検出」には使えない点が問題の核心。
・選択肢2(X-Gal):同じくβ-ガラクトシダーゼ基質だが、遺伝子工学の青白選択(ブルーホワイトスクリーニング)に使われる試薬であり、水道水質検査には用いない。
・選択肢2(X-Gal):同じくβ-ガラクトシダーゼ基質だが、遺伝子工学の青白選択(ブルーホワイトスクリーニング)に使われる試薬であり、水道水質検査には用いない。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
水道水の細菌検査は「大腸菌群」と「大腸菌」で検査法が異なります。
| 検査対象 | 利用する酵素 | 基質・判定 |
|---|---|---|
| 大腸菌群 | β-ガラクトシダーゼ | ONPG(黄色発色)など |
| 大腸菌(特異的) | β-グルクロニダーゼ | MUG(UV照射で青白色蛍光) |
水道水の水質基準では大腸菌は「検出されないこと(100 mL 中)」が基準値です。この「100 mL」という検査検体量自体が正誤の引っかけとしてよく狙われますので(「10 mL」などとの誤りなど)、MUGの青白色蛍光法とセットで頭のフォルダに叩き込んでおきましょう!水質基準の数値ゴロは関連記事でまとめてあります!










