【第110回薬剤師国家試験】問24 湖沼の藍藻類・放線菌が産生するカビ臭の原因物質 解説

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第110回 問24
第110回 問24
必須問題|衛生
湖沼の藍藻類・放線菌が産生するカビ臭の原因物質
【設問】

湖沼で藍藻類や放線菌が産生するカビ臭の原因物質はどれか。1つ選べ。

問24(衛生)
1
クロラミン
2
ジェオスミン
3
トリハロメタン
4
クロロフェノール
5
ミクロシスチン
正解です!
藍藻類・放線菌産生のカビ臭=ジェオスミンを正しく理解しています。
×
不正解です。正解は 2 です。
解説で水道水の異臭味物質の種類と発生源を確認しましょう。
解説を見る

【問24】水道水の異臭味物質:ジェオスミン

ジェオスミン(geosmin)は、湖沼・貯水池などの水環境で藍藻類(シアノバクテリア)放線菌(Streptomyces 属など)が産生するテルペン系の揮発性有機化合物であり、水道水にカビ臭(土臭)をもたらす主要な原因物質である。水道水質基準の「臭気」の基準項目に関連し、わずか数 ng/L(ppt レベル)で人が臭いを感知できる。
番号物質名発生源・生成機序主な問題・特徴
1クロラミン塩素消毒時に水中アンモニアと反応して生成消毒副生成物。カビ臭の原因ではなく、アンモニア臭・プール臭の原因。水道水への残留塩素の一形態。
2 ★ ジェオスミン 藍藻類・放線菌が産生 カビ臭(土臭)の主要原因物質。テルペン系揮発性有機物。ppt レベルで感知可能。
3トリハロメタン塩素消毒時にフミン酸などの有機物と反応して生成消毒副生成物(発がん性)。カビ臭ではなく、水道水の安全性(発がんリスク)の問題。クロロホルムが代表例。
4クロロフェノールフェノール汚染水に塩素消毒を行うと生成薬品臭・消毒臭の原因。藍藻・放線菌由来のカビ臭とは全く異なる。
5ミクロシスチン藍藻類(Microcystis 属)が産生する肝毒素肝毒性を示す毒素(肝臓発がんプロモーター)。カビ臭の原因ではなく、飲料水の安全性に関わる毒性物質。

したがって正解は 2(ジェオスミン) である。

選択肢1(クロラミン):塩素消毒時に水中アンモニアと反応して生成する消毒副生成物。アンモニア臭・プール臭の原因であり、カビ臭とは異なる。
選択肢3(トリハロメタン):塩素消毒の副生成物として発がんリスクの観点から重要だが、カビ臭とは無関係。「塩素+有機物 → 発がん物質」という流れで覚える。
選択肢4(クロロフェノール):工場排水などでフェノール類が水源に混入した場合、浄水場での塩素消毒によって化学的に塩素化され、激しい薬品臭を放つクロロフェノールへ変化する。化学反応に起因する異臭味であり、生物由来のカビ臭とは異なる。
選択肢5(ミクロシスチン)が最大のひっかけ。ミクロシスチンも「藍藻類(Microcystis)が産生する」という点でジェオスミンと産生源が似ており混同しやすいが、ミクロシスチンは肝毒性を示す毒素であり、カビ臭の原因物質ではない。「臭いがする(カビ臭)」のはジェオスミン・2-MIB、「毒性がある」のはミクロシスチン、と切り分ける。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

水道水の「臭い・味」の問題は「発生源(生物由来か・化学反応か)」と「何の問題か(臭い・毒性・発がん)」の2軸で整理しましょう。

物質 発生源 主な問題
ジェオスミン藍藻類・放線菌(生物)カビ臭(臭気)
2-MIB(2-メチルイソボルネオール)藍藻類・放線菌(生物)カビ臭(臭気)※ジェオスミンと並ぶカビ臭の原因
トリハロメタン塩素消毒+有機物(化学)発がんリスク(安全性)
クロラミン塩素+アンモニア(化学)アンモニア臭・プール臭
ミクロシスチン藍藻類(生物毒素)肝毒性(毒性)

ジェオスミンと並ぶカビ臭の原因物質として2-MIB(2-メチルイソボルネオール)も超頻出です。どちらも藍藻類・放線菌由来で、浄水場での活性炭処理(吸着)やオゾン処理(酸化分解)によって除去されます。

絶対に覚えておきたい水質基準値は、ジェオスミン・2-MIBともに【0.00001 mg/L(10 ng/L)以下】です。「カビ臭の基準値は、ゼロが4つのイチゼロ(10)」と覚えておきましょう。非常に微量(pptレベル)で臭う物質だからこそ、基準値のゼロの数がものすごく多いのが特徴ですよ。水質基準の数値ゴロは関連記事で確認してみてください!

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