【第111回薬剤師国家試験】問238-239 ミネラルウォーターの総硬度計算とリセドロン酸の服薬指導 解説

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第111回 問238-239
第111回 問238-239
実践問題|衛生(238)・実務(239)
ミネラルウォーターの総硬度計算とリセドロン酸の服薬指導
【症例】問238-239 共通
65歳女性。3ケ月前から腰痛を自覚し、市販の痛み止めを服用しても改善しないため整形外科を受診した。腰椎骨密度がYAMの62%であり、X線像から骨粗しょう症と診断され、処方箋をもって来局した。調剤した後、硬度が特に高いミネラルウォーター(硬度300 mg/L以上)で服用してはいけないことを含めて服薬指導を行った。服薬指導後に、患者がカバンからミネラルウォーターを取り出し、「いつも飲んでいるこの水は大丈夫ですか。」と質問した。薬剤師は、ボトルのラベルを確認し、服薬時に使用可能かどうかを評価するために総硬度を計算した。
(処方)
リセドロン酸Na錠 17.5 mg 1回1錠(1日1錠)
  毎週 日曜日 1日1回 起床時 4日分(投与実日数)
ミネラルウォーター100mLの栄養成分表
問238(衛生)
このミネラルウォーターの総硬度(mg/L)に最も近い値はどれか。1つ選べ。
ただし、原子量はC 12.0、O 16.0、Na 23.0、Mg 24.3、K 39.0、Ca 40.1とする。
137
263
393
4370
5630
6930
正解です!
正答:6(930 mg/L)
×
不正解です
正答:6(930 mg/L)
問239(実務)
処方薬の服用に関して、薬剤師がこの患者に伝える内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1このミネラルウォーターではなく、水道水などの軟水で服用してください。
2服用後すぐに朝食を摂ってください。
3代謝物で尿が橙赤色になることがあります。
4噛んだり舐めたりせずに服用してください。
5服用を忘れて朝食を摂った場合は、昼食前の空腹時に服用してください。
正解です!
正答:1・4
×
不正解です
正答:1・4
解説を見る(問238・239)

■ 問238:総硬度の計算

💡 総硬度(mg/L as CaCO₃)=Ca²⁺濃度×(CaCO₃分子量/Ca原子量) + Mg²⁺濃度×(CaCO₃分子量/Mg原子量)
CaCO₃の分子量=40.1+12.0+16.0×3=100.1 ≒ 100
Ca²⁺:100 mLあたり21.6 mg → 1 Lあたり216 mg/L
硬度換算:216 × (100 ÷ 40.1) ≒ 538.7 mg/L as CaCO₃

Mg²⁺:100 mLあたり9.5 mg → 1 Lあたり95 mg/L
硬度換算:95 × (100 ÷ 24.3) ≒ 390.9 mg/L as CaCO₃

総硬度= 538.7 + 390.9 ≒ 929.6 mg/L → 選択肢6(930)

⚠️ このミネラルウォーターの総硬度は約930 mg/Lであり、硬度300 mg/L以上のため服薬時には使用不可。
選択肢正誤解説
1(37)×CaとMgをmg/100mLのまま足した値に近い。100mL→1L換算を忘れている。
2(63)×換算倍率の計算を誤った値。
3(93)×100mLあたりのCa+Mgをそのまま足した値(21.6+9.5=31.1を100倍の約93)。硬度換算を行っていない。
4(370)×Ca²⁺分のみの硬度換算(538.7)または計算方法の誤り。
5(630)×計算方法の誤り。
6(930)Ca²⁺(538.7)+Mg²⁺(390.9)≒929.6 mg/L。最も近い値は930。
⚠️ 引っかけポイント(問238):
・選択肢3(93):栄養成分表は100 mL単位。1 L=10倍換算を忘れると10分の1の値になる。
・硬度換算の公式:Ca²⁺(mg/L)×(100÷40.1)、Mg²⁺(mg/L)×(100÷24.3)。CaCO₃分子量≒100を使う。

■ 問239:リセドロン酸の服薬指導

💡 リセドロン酸(ビスホスホネート系)の服薬指導の重要ポイント:①起床直後に多めの水(180 mL以上)で服用②服用後30分は横にならず飲食しない③硬水(高Ca・Mg水)は避ける④噛み砕かず丸ごと飲む⑤飲み忘れた場合はその日は服用せず翌週同じ曜日に服用
選択肢正誤解説
1このミネラルウォーターの硬度は約930 mg/Lで基準(300 mg/L以上不可)を大幅に超える。Ca²⁺・Mg²⁺がリセドロン酸と結合して吸収を著しく低下させるため、硬水は避け水道水など軟水で服用するよう指導することは適切。
2×リセドロン酸は起床直後(空腹時)に服用し、その後30分以上は横にならず、飲食も避ける。服用後すぐに朝食を摂ると吸収が著しく低下するため不適切。
3×尿が橙赤色になる副作用はリファンピシン等の抗結核薬・ビタミンB₂製剤などの特徴。リセドロン酸にはこのような副作用はない。
4ビスホスホネート系薬剤は食道刺激・食道炎のリスクがあるため、噛んだり舐めたりせず丸ごと飲むよう指導する。水(180 mL以上)と一緒に起立または座位で服用することも重要。
5×添付文書の規定:飲み忘れに気づいた場合は翌朝の起床時に1錠服用し、その後は元の曜日(日曜日)に服用を継続する。「昼食前の空腹時に服用」が誤りな理由は「その週をスキップするから」ではなく、「気づいた当日(朝食後や昼前)には服用せず、翌朝の起床時に飲み直すから」。1週間丸ごとスキップすると骨吸収抑制効果が維持できなくなるため推奨されない。
⚠️ 引っかけポイント(問239):
・選択肢2(服用後すぐ朝食):ビスホスホネートは服用後30分以上絶食・起立が必須。食事直後の服用は吸収低下と食道炎リスク。
・選択肢3(尿が橙赤色):リファンピシン・ビタミンB₂などの特徴。リセドロン酸とは無関係。
・選択肢5(昼食前に飲み直す):添付文書の規定は「翌朝の起床時に1錠服用し、その後は元の曜日に服用を継続」。気づいた当日の昼に服用するのではなく翌朝に持ち越す。1週間スキップするのも誤り(骨吸収抑制効果が維持できなくなる)。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

ビスホスホネート系の服薬指導は薬局でも頻繁に行う場面です。週1回製剤(リセドロン酸17.5 mg・アレンドロン酸35 mg等)の指導ポイントをまとめておきましょう。

①起床直後に服用(空腹を保つため)
②コップ1杯(約180 mL以上)の水で飲む(食道への付着防止)
③服用後30分は横にならない・飲食しない(逆流防止・吸収確保)
④噛まずに丸ごと飲む(口腔・食道刺激防止)
⑤硬度300 mg/L以上のミネラルウォーターは避ける(Ca²⁺・Mg²⁺によるキレート形成→吸収低下)
⑥飲み忘れた場合:翌朝の起床時に1錠服用し、その後は元の曜日に服用を継続(1週間スキップは不可)

今回のミネラルウォーターは硬度約930 mg/Lで基準を大幅超過。ラベルの栄養成分表からCa・Mgを確認して計算できるようにしておきましょう。

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