第111回
問226-227
実践問題|衛生(226)・実務(227)
インフルエンザ死亡リスクのオッズ比計算と院内感染対策講義
【症例】問226-227 共通
院内の感染症対策委員会において、インフルエンザ流行への対応策を検討した結果、高齢者の死亡リスクがあるため、面会制限を実施するとともに、薬剤師が院内スタッフへ向けて感染予防の講義を行うことになった。委員会を見学していた実務実習生から、「高齢者の死亡リスクはどのようにして求めるのですか。」と質問があったため、指導薬剤師が高齢者の死亡リスクを求める模擬データを用いた課題を出した。
問226(衛生)
模擬データにおいて、55〜64歳と比較した80〜94歳の年齢群の死亡リスクのオッズ比として最も近いのはどれか。1つ選べ。
1
0.30
—
2
1.5
—
3
3.0
—
4
15
—
5
30
—
正解です!
正答:4(オッズ比≒15)
不正解です
正答:4(オッズ比≒15)
問227(実務)
院内スタッフに向けて行う講義内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1
このウイルスの主な感染経路は空気感染である。
—
2
ウイルスの伝播・拡散を防止するために、手指衛生を徹底する。
—
3
インフルエンザHAワクチンの接種前に、鶏卵や鶏肉アレルギーの有無を確認する。
—
4
65歳以上の高齢者に対するインフルエンザHAワクチンの定期予防接種は、努力義務である。
—
5
感染予防の目的で、ペラミビルを投与することができる。
—
正解です!
正答:2・3
不正解です
正答:2・3
解説を見る(問226・227)
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■ 問226:オッズ比の計算
💡 オッズ比=(比較群のオッズ)÷(基準群のオッズ)。オッズ=死亡者数÷生存者数(=死亡者数÷(感染者数-死亡者数))。
【基準群】55〜64歳:感染者 600+400=1000人、死亡者 1+1=2人、生存者 998人
オッズ(基準)= 2 ÷ 998 ≒ 0.002004
【比較群】80〜94歳:感染者 400+300+300=1000人、死亡者 5+10+15=30人、生存者 970人
オッズ(比較)= 30 ÷ 970 ≒ 0.03093
オッズ比= 0.03093 ÷ 0.002004 ≒ 15.4 → 選択肢4(15)
オッズ(基準)= 2 ÷ 998 ≒ 0.002004
【比較群】80〜94歳:感染者 400+300+300=1000人、死亡者 5+10+15=30人、生存者 970人
オッズ(比較)= 30 ÷ 970 ≒ 0.03093
オッズ比= 0.03093 ÷ 0.002004 ≒ 15.4 → 選択肢4(15)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
| 1(0.30) | × | オッズ比が1未満になる場合は比較群の方がリスクが低いことを意味する。高齢者の方が死亡リスクが高いため不適。 |
| 2(1.5) | × | 計算値とかけ離れている。 |
| 3(3.0) | × | 計算値とかけ離れている。 |
| 4(15) | ◯ | 計算値15.4に最も近い。80〜94歳は55〜64歳に比べて死亡オッズが約15倍高い。 |
| 5(30) | × | 比較群と基準群を逆にして計算した場合に近い値。設問の比較方向(80〜94歳÷55〜64歳)を確認する。 |
⚠️ 引っかけポイント(問226):
・オッズ比の計算式:(比較群の死亡数÷生存数)÷(基準群の死亡数÷生存数)。感染者数をそのまま分母にする「リスク比」と混同しないこと。
・選択肢5(30):分母と分子を逆にした場合の値。「比較群÷基準群」の向きを必ず確認する。
・オッズ比の計算式:(比較群の死亡数÷生存数)÷(基準群の死亡数÷生存数)。感染者数をそのまま分母にする「リスク比」と混同しないこと。
・選択肢5(30):分母と分子を逆にした場合の値。「比較群÷基準群」の向きを必ず確認する。
■ 問227:インフルエンザの感染対策と予防接種
💡 インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染・接触感染(空気感染ではない)。HAワクチンは鶏卵を使って製造するため接種前に鶏卵・鶏肉アレルギーの確認が必要。65歳以上の定期接種は努力義務ではなく勧奨接種(B類疾病)。ペラミビル(ラピアクタ)は治療薬であり予防投与は適応外。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
| 1 | × | インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染・接触感染。空気感染(飛沫核感染)ではない。空気感染するのは麻疹・水痘・結核。 |
| 2 | ◯ | 飛沫感染・接触感染の予防に手指衛生(手洗い・アルコール消毒)の徹底は有効かつ基本的な対策。 |
| 3 | ◯ | インフルエンザHAワクチンは鶏卵を使用して製造されるため、鶏卵・鶏肉アレルギーのある人では接種前に確認・注意が必要。 |
| 4 | × | 65歳以上のインフルエンザワクチン定期接種はB類疾病に分類され、努力義務はない(A類疾病は努力義務あり)。接種は本人の意向に基づく。 |
| 5 | × | ペラミビル(ラピアクタ)は抗インフルエンザ治療薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)。感染予防(予防投与)の適応はなく、発症後の治療に使用する。予防投与が可能なのはオセルタミビル(タミフル)。 |
⚠️ 引っかけポイント(問227):
・選択肢1(空気感染):インフルエンザは飛沫感染・接触感染。空気感染する感染症(麻疹・水痘・結核)と区別する。
・選択肢4(努力義務):B類疾病(インフルエンザ・肺炎球菌等)の定期接種に努力義務はない。努力義務があるのはA類疾病(麻疹・風疹・DPT等)。
・選択肢5(ペラミビルの予防投与):ペラミビルは治療薬のみ。予防投与が添付文書上認められているのはオセルタミビル(タミフル)のみ。
・選択肢1(空気感染):インフルエンザは飛沫感染・接触感染。空気感染する感染症(麻疹・水痘・結核)と区別する。
・選択肢4(努力義務):B類疾病(インフルエンザ・肺炎球菌等)の定期接種に努力義務はない。努力義務があるのはA類疾病(麻疹・風疹・DPT等)。
・選択肢5(ペラミビルの予防投与):ペラミビルは治療薬のみ。予防投与が添付文書上認められているのはオセルタミビル(タミフル)のみ。
臨床メモ
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薬剤師 あおい
抗インフルエンザ薬の予防投与は薬剤師が正確に把握しておくべきポイントです。
| 薬剤名 | 治療 | 予防 | 備考 |
| オセルタミビル (タミフル) |
◯ | ◯ | 発症後48時間以内に開始 |
| ザナミビル (リレンザ) |
◯ | ◯ | 吸入薬 |
| ラニナミビル (イナビル) |
◯ | ◯ | 吸入薬 |
| バロキサビル (ゾフルーザ) |
◯ | ◯ | 単回投与 |
| ペラミビル (ラピアクタ) |
◯ | × | 点滴静注、治療のみ |










