第111回
問328
実践問題|実務
小児のたばこ誤飲時の対応
【症例】
2歳女児。母親に連れられ喫茶店にいたところ、母親が目を離した隙に、未使用の紙巻たばこを口に含んだ。母親は、女児を連れて直ちに喫茶店の向かいにあった薬局を訪れた。薬剤師が確認したところ、紙巻たばこの先端から2 cm程度が噛みちぎられていた。女児には特に目立った症状はなく、顔色も良好であった。薬剤師が母親に提案する対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
問328(実務)
1
口の中に残っているものがあれば、取り除く。
—
2
口に含んだ後の経過時間及び状態を記録する。
—
3
牛乳を飲ませた後、胃内容物を吐き出させる。
—
4
経口補水液を飲ませる。
—
5
成分として薬用炭を含む一般用医薬品を服用させる。
—
正解です!
小児のたばこ誤飲時の初期対応の原則を正確に理解しています。
不正解です。正解は 1 と 2 です。
解説でたばこ誤飲時に「やってはいけない対応」を確認しましょう。
解説を見る▼
【問328】小児のたばこ誤飲時の対応
小児のたばこ誤飲は家庭内事故として頻度が高く、誤飲量が少なく症状がない場合は経過観察が基本となる。一方で「吐かせる」「水分(特に牛乳)を与える」といった一般に行われがちな対応は、ニコチンの吸収促進や誤嚥のリスクから推奨されない。
| 選択肢 | 対応 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 ★ | 口の中の残留物を取り除く | ◯ 誤飲対応の第一歩として、口腔内にまだ残っているたばこの断片を取り除くことは、これ以上の摂取・誤嚥を防ぐための基本的かつ適切な対応。 |
| 2 ★ | 経過時間・状態の記録 | ◯ 口に含んだ時刻・量(噛みちぎられた長さ)・その後の症状の変化を記録しておくことは、今後症状(嘔気・嘔吐・傾眠・けいれん等のニコチン中毒症状)が出現した場合に、医療機関へ正確な情報を伝えるために重要。中毒情報センターへの相談時にも必要な情報となる。 |
| 3 | 牛乳を飲ませた後、吐かせる | × たばこ誤飲では嘔吐させてはならない。ニコチンの中枢神経抑制作用により意識レベルが低下し、嘔吐物を誤嚥する危険性がある。また牛乳などの脂質を含む飲料はニコチンの脂溶性吸収を促進する可能性が指摘されており、推奨されない。「牛乳→吐かせる」は二重に不適切な対応。 |
| 4 | 経口補水液を飲ませる | × 症状がなく誤飲量が少量(噛みちぎられたのが2 cm程度)の場合、水分摂取自体は誤飲対応として特に必要ない。むしろ水分摂取によりニコチンの胃内容物からの溶出・吸収が促進される可能性が懸念されるため、積極的な飲水は推奨されない。 |
| 5 | 薬用炭含有OTCを服用 | × 薬用炭(活性炭)は毒物の吸着を目的に医療現場で用いられることがあるが、一般用医薬品を保護者の自己判断で乳幼児に服用させるのは不適切。薬用炭の使用が必要かどうかは医療機関・専門家の判断によるべきであり、薬局での自己対応として安易に勧めるべきではない。 |
⚠️ 引っかけポイント(問328):
・選択肢3:「誤飲=吐かせる」という一般的なイメージに反し、たばこ誤飲では誤嚥・意識低下のリスクから嘔吐させないのが原則。また「牛乳を飲ませる」という対応も、脂溶性物質の吸収を促進する観点から推奨されない。
・選択肢4:「水分を与える=安全な対応」という思い込みに注意。無症状・少量誤飲であれば、基本的に経過観察のみで水分摂取自体も不要。
・選択肢5:「薬用炭=毒物に効く」という知識自体は誤りではないが、保護者の自己判断によるOTC医薬品の服用という対応の主体・手段が不適切。
・選択肢3:「誤飲=吐かせる」という一般的なイメージに反し、たばこ誤飲では誤嚥・意識低下のリスクから嘔吐させないのが原則。また「牛乳を飲ませる」という対応も、脂溶性物質の吸収を促進する観点から推奨されない。
・選択肢4:「水分を与える=安全な対応」という思い込みに注意。無症状・少量誤飲であれば、基本的に経過観察のみで水分摂取自体も不要。
・選択肢5:「薬用炭=毒物に効く」という知識自体は誤りではないが、保護者の自己判断によるOTC医薬品の服用という対応の主体・手段が不適切。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
たばこ誤飲対応の「3つのNG」:①吐かせない(誤嚥・意識低下のリスク)、②牛乳など脂質を含む飲み物を与えない(ニコチンの吸収促進)、③自己判断で薬を飲ませない。この3つのNGをセットで覚えておくと、選択肢3・4・5のような誤り選択肢に対応しやすくなります。
「少量・無症状」の誤飲は経過観察が基本:本症例のように噛みちぎられた量が少なく(2 cm程度)、症状が全く見られない場合は、医療機関への受診を急ぐ必要はなく、家庭での経過観察が中心となります。ただし、誤飲した量・時刻・その後の様子(嘔気・顔色・元気さ等)を記録しておくことで、後から症状が出現した際に迅速に対応できます。
症状出現時はすぐに医療機関・中毒情報センターへ:嘔吐、顔色不良、傾眠、けいれん等の症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診するか、公益財団法人日本中毒情報センター等に相談するよう案内しましょう。「無症状なら様子を見る、症状が出たら相談する」という二段構えの説明が、保護者の安心にもつながります。











