【第110回薬剤師国家試験】問93 ボルツマン分布とエネルギー差の関係 解説

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第110回 問93
第110回 問93
理論問題|物理
ボルツマン分布とエネルギー差の関係
問93(理論)
ボルツマン分布は、異なるエネルギー準位E₁、E₂(E₂>E₁)にある分子の数をそれぞれN₁、N₂としたとき、熱平衡状態における両者の比(R=N₂/N₁)とエネルギー差(ΔE=E₂−E₁)との間にある一定の関係を与える。この関係を表すグラフの概形として正しいのはどれか。1つ選べ。
1
選択肢1
2
選択肢2
3
選択肢3
4
選択肢4
5
選択肢5
正解です!
解説でボルツマン分布の式とグラフの対応を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 3 です。
解説でボルツマン分布の式とグラフの対応を確認しましょう。
解説を見る

ボルツマン分布によれば、熱平衡状態にある2つのエネルギー準位E₁、E₂(E₂>E₁)の分子数の比は、R = N₂/N₁ = exp(−ΔE/kT)(kはボルツマン定数、Tは絶対温度、ΔE=E₂−E₁)で表されます。これは典型的な指数関数的減少の形をとります。

ボルツマン分布の式とグラフの特徴
・R = exp(−ΔE/kT) は指数関数的に減少する曲線
・ΔE = 0 のとき R = 1(両準位の分子数が等しい)
・ΔEが大きくなるほど、高いエネルギー準位(E₂)にある分子数は急激に少なくなり、Rは0に漸近する
・グラフの形状:ΔE=0でR=1から出発し、下に凸(傾きの絶対値が徐々に小さくなる)形で単調減少し、0に近づいていく曲線
各選択肢の解説
× 1:直線的に減少するグラフ。R=exp(−ΔE/kT)は指数関数であり、直線(一次関数)にはならないため誤り
× 2:直線的に増加するグラフ。ΔEが大きくなるとRは減少するはずであり、増加している時点で誤り
◯ 3:ΔE=0でR=1から出発し、指数関数的に減少して0に近づく(下に凸の減少曲線)。ボルツマン分布 R=exp(−ΔE/kT) の概形と一致
× 4:S字型(シグモイド)に増加するグラフ。増加している時点でボルツマン分布の減少傾向と矛盾し誤り
× 5:上に凸の形で減少している(減少の勢いが後半で加速する)グラフ。指数関数的減少は本来下に凸(減少の勢いが徐々に緩やかになる)曲線であり、上に凸の減少曲線は誤り
引っかけポイント:
選択肢1:「減少する」という大枠は合っているが、直線的な減少であり指数関数的な減少曲線ではない点に注意
選択肢5:「ΔE=0でR=1から始まり減少する」という出発点は選択肢3と同じだが、曲線の凹凸が逆(上に凸)になっている点を見落とさないこと。指数関数的減少は「最初は急激に、後半は緩やかに」減少する下に凸の形になる
選択肢2・4:いずれもグラフが増加しているため、「ΔEが大きいほど高エネルギー準位の分子数比は小さくなる」という物理的な直感で早い段階で除外できる
・R=exp(−x) の指数関数のグラフの形(原点でR=1、x軸方向に減衰して0に漸近する下に凸の曲線)をイメージできるようにしておくこと
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

ボルツマン分布は、NMR(核磁気共鳴)における核スピンのエネルギー準位分布や、分子の振動・回転エネルギー準位の占有率など、機器分析や物理化学の様々な場面で登場する重要な考え方です。「エネルギー差が大きいほど、高いエネルギー状態に分子が存在する割合は急激に減る」というイメージを持っておくと、関連する現象の理解がしやすくなります。

国試の物理では、こうした指数関数的な変化を表すグラフの概形を選ぶ問題が繰り返し出題されます。式の形(exp(−x)型かexp(x)型か、直線かS字か)からグラフの概形を素早くイメージできるように、代表的な関数のグラフの形を普段から意識しておくと得点につながります。

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