【第110回薬剤師国家試験】問312-313 高血圧・慢性心不全患者の降圧薬増量後フォローアップと、調剤録・薬剤服用歴の法規 解説

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第110回 問312-313
第110回 問312-313
実践問題|実務(312)・法規・制度・倫理(313)
高血圧・慢性心不全患者の降圧薬増量後フォローアップと、調剤録・薬剤服用歴の法規
問312-313(連問)共通問題文
問312-313 68歳男性。身長172 cm、体重63 kg。高血圧症及び慢性心不全のため処方1の薬剤を服用していた。今回の受診で血圧が164/90 mmHgを示し、処方2へ変更となり、処方箋を持って薬局を訪れた。薬局にて患者に服薬指導を行い薬を渡し、調剤録と薬剤服用歴の記載を行った。薬剤服用歴のP(計画)欄に、「30日処方のため、服用15日後に電話にてフォローアップを行う。(本人の了承済)」と記載した。
(処方1)
バルサルタン錠 40 mg
1回1錠(1日1錠)
ビソプロロールフマル酸塩錠 2.5 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
(処方2)
バルサルタン錠 80 mg
1回1錠(1日1錠)
ビソプロロールフマル酸塩錠 2.5 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
問312(実務)
このフォローアップを行う際、血圧の値以外に優先して確認すべき症状や状態はどれか。2つ選べ。
1 動悸やふらつきの出現
2 歯ぐきからの出血の出現
3 まぶしさの出現
4 口内炎の出現
5 体重の急な増加
正解です!
正答:1, 5
×
不正解です
正答:1, 5
問313へ続く
問313(法規・制度・倫理)
保険薬局における薬剤服用歴と調剤録(注)に関する内容として、正しいのはどれか。2つ選べ。
(注)薬剤師法で規定されている調剤録
1 調剤後、患者の薬剤の使用状況を継続的に把握し、その際指導した内容は、処方箋が調剤済みの場合、調剤録への記入事項に該当しない。
2 調剤録は、調剤した薬剤師ではなく、薬局の管理者が記載しなければならない。
3 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
4 薬剤服用歴の記録・管理の実施は、薬局の義務であり、調剤報酬の対象とはならない。
5 保険薬剤師が調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
正解です!
正答:3, 5
×
不正解です
正答:3, 5
解説を見る(問312)

本症例は高血圧症・慢性心不全の患者で、血圧コントロール不良のためARB(バルサルタン)が40mgから80mgへ増量されました。β遮断薬(ビソプロロール)は変更なしです。増量後のフォローアップでは、降圧薬増量に伴う血圧低下関連の症状と、基礎疾患である慢性心不全の増悪サインの両方を確認することが重要です。

選択肢1:ARBの増量により血圧が下がりすぎると、起立性低血圧などによるふらつきが生じることがあります。またβ遮断薬併用下での血圧低下や高カリウム血症は不整脈のリスクにもつながるため、動悸の有無も併せて確認すべき重要な症状です。
選択肢5:本症例は慢性心不全の既往があり、体重の急激な増加は体液貯留(心不全の増悪)を示す代表的なサインです。降圧薬の増量とは別に、基礎疾患である心不全のコントロール状態を確認するうえで、体重変化のモニタリングは優先度の高い確認事項です。
引っかけポイント:
選択肢2(歯ぐきからの出血):バルサルタン・ビソプロロールのいずれも出血傾向とは関連しない副作用プロファイルであり、本症例の処方薬とは無関係な症状です。
選択肢3(まぶしさ):光線過敏や視覚症状はこれらの薬剤の代表的な副作用ではありません。
選択肢4(口内炎):口内炎は抗がん剤や葉酸代謝拮抗薬などでよくみられる副作用であり、ARB・β遮断薬とは関連が薄い症状です。
関連問題 【第111回】問252-253 急性心不全の薬学的提案と心不全治療薬の作用機序(体液貯留・体重モニタリングの重要性)
あおい先生
あおい先生の臨床メモ
降圧薬を増量した患者さんのフォローアップでは「薬が効きすぎていないか(ふらつき・動悸などの血圧低下症状)」と「もともとの心不全が悪化していないか(体重増加・むくみ・息切れ)」の両方の視点を持つことが大切です。血圧の数値だけを追うのではなく、基礎疾患の観察も忘れずに行いましょう。
解説を見る(問313)

薬剤師法第28条は、薬局における調剤録の備え付けと記載義務を定めています。また令和元年の薬剤師法・薬機法改正により、調剤後の継続的な服薬状況の把握・指導とその記録が法律上の義務として明確化されました。薬剤服用歴と調剤録の関係、記載主体、保険調剤における確認義務を正確に理解しているかが問われています。

選択肢3:薬剤師法第28条に基づき、薬局において調剤を行う場合、その薬局には調剤録を備えることが義務付けられています。薬局開設者は、法令を遵守した業務運営が行われるよう薬局の体制を整備する責務を負っており、調剤録の備え付けもその一環です。
選択肢5:保険薬剤師及び保険薬局療養担当規則により、保険薬剤師が調剤を行う際には、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認することが義務付けられています。重複投薬・相互作用のチェックや服薬状況の把握は、調剤の質と安全性を担保するための基本的な確認事項です。
引っかけポイント:
選択肢1:令和元年改正により、調剤後の患者の薬剤使用状況の継続的把握とその際の指導内容についても、記録を残すことが法律上求められるようになりました。行政通知では、この記録を薬剤服用歴等に記載することで、薬剤師法上の調剤録の記載義務を満たすものとされており、「処方箋が調剤済みだから記入事項に該当しない」とする本選択肢の記述は誤りです。
選択肢2:調剤録は、実際に調剤を行った薬剤師自身が記載する必要があります。薬局の管理者(管理薬剤師)が代わりに記載しなければならないという規定はありません。
選択肢4:薬剤服用歴の記録・管理及びそれに基づく服薬指導は、調剤報酬における「薬剤服用歴管理指導料」等として評価される保険請求上の対象であり、「調剤報酬の対象とはならない」という記述は誤りです。
あおい先生
あおい先生の臨床メモ
令和元年の薬機法・薬剤師法改正で、「調剤後のフォローアップとその記録」が薬剤師の法的義務として明文化されたことは、実務上とても重要なポイントです。行政の通知では、この記録は必ずしも紙の調剤録そのものに書く必要はなく、薬剤服用歴(薬歴)に必要事項を記載していれば法律上の要件を満たすとされています。「薬歴に書いているから調剤録には関係ない」ではなく、「薬歴への記載が調剤録の要件を満たす手段になっている」という理解を持っておくと、この手の問題で迷いません。
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