フク太郎
肝機能検査値のASTとALTの違いがわからない…
・臨床検査値のことを学びたい
・肝機能検査値のASTとALTの違いを知りたい
この記事はこういった悩みをもった方向けです。
こんにちは。薬剤師のあおい(@yaku_medical)です!
この記事では、肝機能検査値のASTとALTの違いをまとめていきます!
目次
【臨床検査値】肝機能検査値のASTとALTの違いは?
AST・ALTとは?
AST・ALTとは?
ASTもALTも細胞内に存在する酵素で、炎症などで細胞が破壊されることに伴い血液中に出てくる逸脱酵素です。
✅AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
✅ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
【ASTの基準値】
13~30 (U/L)
【ALTの基準値】
男性:10~42 (U/L)
女性:7~23 (U/L)
※U(ユニット)とは,酵素活性量の単位で、至適条件で酵素が1分間に1μmolの基質を変換することができる酵素の量が「1U」と定義されています。
覚え方
AST・ALTは略語が似ているため混同しやすいです。
有名な覚え方が2つあります!
✅ALTのLはLiver(肝臓)のL
✅ASTのSはSinkin(心筋)のS
AST・ALTの半減期
【ASTの半減期】
11~15時間
【ALTの半減期】
約41時間
ALTの方が血中から消失しにくいという特徴があります!
肝疾患以外でASTが上昇する要因
肝疾患以外でASTが上昇する要因 | 内容 |
---|---|
①甲状腺機能異常 (甲状腺機能低下、甲状腺機能亢進) | クレアチンキナーゼ(CK)の異常を伴うことがある |
②心筋疾患 (心筋梗塞、心筋炎) | クレアチンキナーゼ(CK)の異常を伴うことがある |
③骨格筋疾患 (筋ジストロフィー、多発性筋炎など) | クレアチンキナーゼ(CK)の異常を伴うことがある |
④悪性腫瘍 | 乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇を伴うことがある |
⑤溶血 | 乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇を伴うことがある |
肝臓の状態を反映する検査
肝臓の状態を反映する検査 | 検査値 |
---|---|
①肝細胞の壊死を反映する検査 | AST,ALT |
②胆汁うっ滞を反映する検査 | ALP,γ-GTP |
③肝細胞の合成機能を反映する検査 | ・アルブミン ・コリンエステラーゼ(ChE) ・プロトロンビン時間 |
AST・ALTのポイント
①ALT・ASTが高い:肝障害が強い
②AST/ALT比<1(ALT優位に上昇):肝臓の異常による可能性が高い
例:慢性肝炎(軽い線維化)、脂肪肝など
肝疾患 | 肝疾患以外 | |
---|---|---|
AST優位 | 肝硬変、肝がん、アルコール性肝疾患、急性肝炎極期、劇症肝炎 | 溶血、心筋疾患、骨格筋疾患、悪性腫瘍 |
ALT優位 | 慢性肝炎、脂肪肝(過栄養性)、急性肝炎の回復期 | ー |
最後に
今回は、肝機能検査値のASTとALTの違いをまとめていきました。
他の臨床検査値について知りたい方はこちらで紹介しています♪
お気軽にどうぞ!