【第111回薬剤師国家試験】問57 ACE阻害薬服用中の患者に投与禁忌な薬物 解説

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第111回 問57
第111回 問57
必須問題|病態・薬物治療
ACE阻害薬服用中の患者に投与禁忌な薬物
問題文
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を服用中の患者に投与禁忌なのはどれか。1つ選べ。
1
アゾセミド
2
イバブラジン
3
カルベジロール
4
サクビトリルバルサルタン
5
ダパグリフロジン
正解です!
素晴らしい!下の解説も確認してみましょう。
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不正解です。正解は 4(サクビトリルバルサルタン) です。
下の解説でしっかり確認しましょう!
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サクビトリルバルサルタン(エンレスト®)はアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)で、ネプリライシン阻害薬(サクビトリル)とARB(バルサルタン)の合剤です。ACE阻害薬との併用が禁忌となる理由は2つあります。

第一に、ARB+ACE阻害薬の禁忌です。ARBとACE阻害薬はどちらもレニン・アンジオテンシン系(RAS)を抑制するため、併用するとアルドステロン分泌が過剰に抑制され、高カリウム血症・急性腎障害・低血圧のリスクが高まります。そのためARBとACE阻害薬の併用は一般的に禁忌です。

第二に、ネプリライシン阻害(サクビトリル)+ACE阻害薬のブラジキニン過剰蓄積の問題です。ネプリライシンはブラジキニンを分解する酵素であり、サクビトリルによるネプリライシン阻害でブラジキニンが蓄積します。ACE阻害薬もブラジキニン分解を阻害するため、両者の併用でブラジキニンが相乗的に過剰蓄積し、重篤な血管浮腫(アンジオエデマ)のリスクが著しく高まります

🔑 サクビトリルバルサルタンとACE阻害薬が禁忌の2つの理由

【理由①】ARB(バルサルタン)+ACE阻害薬
RAS抑制の重複 → 高カリウム血症・急性腎障害・低血圧のリスク↑(禁忌)

【理由②】サクビトリル(ネプリライシン阻害)+ACE阻害薬
ACE阻害薬:ブラジキニン分解を阻害 → ブラジキニン↑
サクビトリル:ネプリライシン(ブラジキニン分解酵素)を阻害 → ブラジキニン↑
∴ 相乗的にブラジキニン蓄積 → 重篤な血管浮腫(禁忌)

添付文書上、ACE阻害薬との投与間隔は36時間以上あける必要がある
選択肢薬剤名分類ACE阻害薬との関係
1 アゾセミド ループ利尿薬 ACE阻害薬と併用可。低カリウム血症・腎機能に注意は必要だが禁忌ではない
2 イバブラジン HCNチャネル遮断薬(If電流阻害) 心拍数低下薬。ACE阻害薬との禁忌なし。慢性心不全・狭心症に使用
3 カルベジロール α₁・β遮断薬 慢性心不全・高血圧に使用。ACE阻害薬との禁忌なし(心不全治療で併用される)
4 ★ サクビトリルバルサルタン ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬) 禁忌:ブラジキニン過剰蓄積による重篤な血管浮腫リスク
5 ダパグリフロジン SGLT2阻害薬 ACE阻害薬との禁忌なし。心不全・糖尿病・慢性腎臓病に使用
⚠️ 引っかけポイント:
アゾセミド(選択肢1)はループ利尿薬。ACE阻害薬と利尿薬の組み合わせは心不全治療で頻用されるが禁忌ではない
カルベジロール(選択肢3)はβ遮断薬で、ACE阻害薬と合わせて心不全の標準治療の柱。むしろ積極的に併用される
ダパグリフロジン(選択肢5)もACE阻害薬との禁忌なし。心不全・CKD治療でACE阻害薬と併用されることもある
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

サクビトリルバルサルタン(エンレスト®)は慢性心不全(HFrEF)の治療薬として2020年に登場した薬です。ACE阻害薬から切り替える際は36時間以上の間隔が必要で、この点が処方監査で特に重要です。入院中の処方変更や退院後の薬局での確認が欠かせない場面になります。

血管浮腫(アンジオエデマ)は顔面・口唇・舌・咽頭の急激な腫れで、気道閉塞につながりうる緊急性の高い副作用です。過去にACE阻害薬で血管浮腫を経験した患者さんにもエンレスト®は禁忌です。お薬手帳と問診での確認が大切です。

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