第111回
問69
必須問題|病態・薬物治療
症例対照研究で算出できる統計値
問題文
症例対照研究で算出することができる統計値はどれか。1つ選べ。
1
絶対リスク減少率
—
2
オッズ比
—
3
発症割合
—
4
寄与危険度
—
5
相対リスク
—
正解です!
素晴らしい!下の解説も確認してみましょう。
不正解です。正解は 2(オッズ比) です。
下の解説でしっかり確認しましょう!
解説を見る
▼
症例対照研究は、疾患のある群(症例群)と疾患のない群(対照群)を設定し、それぞれで過去の曝露歴を遡って比較する研究デザインです。この研究では対象者を「疾患あり・なし」で選んでいるため、集団全体での発症率や曝露率が不明であり、発症割合・相対リスク・寄与危険度・絶対リスク減少率は直接算出できません。一方、オッズ比(症例群の曝露オッズ ÷ 対照群の曝露オッズ)は算出できます。
🔑 2×2分割表と研究デザイン別に算出できる統計値
| 曝露あり | 曝露なし | |
|---|---|---|
| 症例群(疾患あり) | a | b |
| 対照群(疾患なし) | c | d |
オッズ比 = (a/b) ÷ (c/d) = ad / bc ※症例対照研究で算出可
相対リスク = [a/(a+c)] ÷ [b/(b+d)] ※コホート研究・RCTで算出可
寄与危険度 = a/(a+c) − b/(b+d) ※コホート研究・RCTで算出可
相対リスク = [a/(a+c)] ÷ [b/(b+d)] ※コホート研究・RCTで算出可
寄与危険度 = a/(a+c) − b/(b+d) ※コホート研究・RCTで算出可
| 選択肢 | 統計値 | 算出できる研究デザイン | 説明 |
|---|---|---|---|
| 1 | 絶対リスク減少率(ARR) | RCT・コホート研究 | 介入群と対照群の発症率の差。各群の発症率が必要なため症例対照研究では算出不可 |
| 2 ★ | オッズ比(OR) | 症例対照研究(算出可) | 症例群の曝露オッズ ÷ 対照群の曝露オッズ = ad/bc。発症率不要なため症例対照研究で算出できる |
| 3 | 発症割合(発生率) | コホート研究・RCT | 集団における疾患の発症率。症例対照研究では集団全体の分母が不明なため算出不可 |
| 4 | 寄与危険度(AR) | コホート研究・RCT | 曝露群と非曝露群の発症率の差。各群の発症率が必要なため症例対照研究では算出不可 |
| 5 | 相対リスク(RR) | コホート研究・RCT | 曝露群と非曝露群の発症率の比。各群の発症率が必要なため症例対照研究では算出不可 |
⚠️ 引っかけポイント:
・絶対リスク減少率(選択肢1)は各群の発症率の差であり、コホート研究・RCTでのみ算出可能。症例対照研究では発症率が不明なため算出不可
・発症割合(選択肢3)は集団全体の発症率。症例対照研究では集団全体の分母が不明なため算出不可
・寄与危険度(選択肢4)は曝露群と非曝露群の発症率の差。各群の発症率が必要なため症例対照研究では算出不可
・相対リスク(選択肢5)はオッズ比と混同しやすいが、発症率の比であり算出にはコホート研究・RCTが必要。なお発症率が低い疾患ではオッズ比≒相対リスクとして近似できる
・絶対リスク減少率(選択肢1)は各群の発症率の差であり、コホート研究・RCTでのみ算出可能。症例対照研究では発症率が不明なため算出不可
・発症割合(選択肢3)は集団全体の発症率。症例対照研究では集団全体の分母が不明なため算出不可
・寄与危険度(選択肢4)は曝露群と非曝露群の発症率の差。各群の発症率が必要なため症例対照研究では算出不可
・相対リスク(選択肢5)はオッズ比と混同しやすいが、発症率の比であり算出にはコホート研究・RCTが必要。なお発症率が低い疾患ではオッズ比≒相対リスクとして近似できる
臨床メモ
▼


薬剤師 あおい
疫学研究デザインと算出できる統計値の対応は国試の頻出テーマです。整理すると、コホート研究・RCTは「曝露あり・なし(または介入あり・なし)で集団を追跡→発症率が計算できる→相対リスク・寄与危険度・NNT(治療必要数)などが算出可能」。症例対照研究は「疾患あり・なしで対象を選び過去の曝露歴を調べる→発症率は不明→オッズ比のみ算出可能」という構造で理解しましょう。
症例対照研究はまれな疾患の研究に向いており(コホート研究では膨大なサンプルが必要)、短期間・低コストで実施できる利点があります。一方でバイアス(想起バイアスなど)が入りやすい点が弱点です。










