第111回
問142
理論問題|法規・制度・倫理
薬剤師の法的責任
問142 薬剤師の法的責任に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
1
薬剤師が疑義照会義務を怠った場合には、指示警告上の欠陥があったとして薬剤師は製造物責任を負う。
—
2
薬剤師が業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏洩した場合には、秘密漏示罪に問われる可能性がある。
—
3
薬剤師が罰金以上の刑となった場合には、業務の停止又は免許の取消しのいずれかの処分を受ける。
—
4
債務不履行責任、不法行為責任又は製造物責任における損害賠償について、医療に関する場合にはいずれも消滅時効はない。
—
5
薬剤師が調剤過誤を起こして患者に健康被害を与えた場合には、薬剤師は損害賠償の義務を負う。
—
正解です!
薬剤師の法的責任の種類と適用範囲を正確に把握できています。
不正解です。正解は 2 と 5 です。
解説で薬剤師に関わる各種法的責任を確認しましょう。
解説を見る
▼
薬剤師に関わる主な法的責任の整理
・刑事責任:業務上過失致死傷罪・秘密漏示罪など(刑法)
・民事責任:債務不履行責任・不法行為責任(民法)→損害賠償
・製造物責任:製造物の欠陥による損害賠償(PL法)→薬剤師の調剤行為には原則適用されない
・行政処分:免許取消し・業務停止(薬剤師法第8条・8条の2)→罰金以上の刑は必須要件ではない
・刑事責任:業務上過失致死傷罪・秘密漏示罪など(刑法)
・民事責任:債務不履行責任・不法行為責任(民法)→損害賠償
・製造物責任:製造物の欠陥による損害賠償(PL法)→薬剤師の調剤行為には原則適用されない
・行政処分:免許取消し・業務停止(薬剤師法第8条・8条の2)→罰金以上の刑は必須要件ではない
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | 疑義照会義務を怠った→指示警告上の欠陥→製造物責任 | × 製造物責任法(PL法)は「製造物(動産)の欠陥」による損害賠償を規定するものであり、薬剤師の調剤・服薬指導などの行為には原則適用されない。疑義照会義務違反は債務不履行責任・不法行為責任(民法)の問題となる |
| 2 ★ | 業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏洩→秘密漏示罪 | ◯ 薬剤師は刑法第134条(秘密漏示罪)の対象職種(医師・薬剤師・助産師など)であり、業務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らした場合は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処される可能性がある |
| 3 | 罰金以上の刑→業務停止または免許取消しのいずれかの処分 | × 薬剤師法第8条・8条の2による行政処分(免許取消し・業務停止)は、罰金以上の刑に処された場合に限らず、「薬剤師としての品位を損する行為」なども対象となる。また処分は必ずいずれかになるわけではなく、厚生労働大臣の裁量による。「いずれかの処分を受ける」と断定するのは誤り |
| 4 | 医療に関する損害賠償:いずれも消滅時効なし | × 消滅時効は存在する。民法改正(2020年)により、債務不履行・不法行為とも「知った時から5年、または権利行使できる時から20年」が原則。製造物責任も「損害・賠償義務者を知った時から3年」等の時効がある。医療関係だからといって時効が消滅するわけではない |
| 5 ★ | 調剤過誤→患者に健康被害→薬剤師は損害賠償義務を負う | ◯ 調剤過誤(誤調剤・過量調剤・説明義務違反など)により患者に損害を生じさせた場合、薬剤師は不法行為責任(民法第709条)または債務不履行責任(民法第415条)に基づき損害賠償義務を負う |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:薬剤師の調剤行為は「製造物責任」ではなく民法上の不法行為・債務不履行責任の問題
・選択肢3:行政処分は罰金刑だけが要件ではなく、処分も「必ずいずれか」とは断定できない
・選択肢4:医療関係でも損害賠償請求権には消滅時効がある
・選択肢1:薬剤師の調剤行為は「製造物責任」ではなく民法上の不法行為・債務不履行責任の問題
・選択肢3:行政処分は罰金刑だけが要件ではなく、処分も「必ずいずれか」とは断定できない
・選択肢4:医療関係でも損害賠償請求権には消滅時効がある
臨床メモ
▼


薬剤師 あおい
秘密漏示罪は薬剤師が刑事責任を問われる代表例です。患者情報をSNSに投稿したり、他の患者に話したりすることは違法となります。「正当な理由」がある場合(虐待の疑い・感染症の届出義務など)は漏示が許容されますが、その範囲は限定的です。
調剤過誤防止は薬剤師の最重要職務のひとつです。疑義照会・ダブルチェック・患者への確認など重層的な防止策を徹底することが、法的責任を回避するためにも、何より患者の安全のためにも不可欠です。











