第111回
問244-245
実践問題|衛生(244)・実務(245)
学校給食施設のWBGT計算と熱中症・脱水の説明
【症例】問244-245 共通
9月上旬に小学校の学校給食施設において、調理場の温湿度計が誤作動を起こし表示されなくなった。夏場は熱気や蒸気の発生で、高温・高湿になることが多かったため、現状を把握するために、学校薬剤師が室内の作業環境測定を行うことになった。
問244(衛生)
学校薬剤師が屋内の調理場の乾球温度、湿球温度、黒球温度を測定したところ、以下の値であった。暑さ指数(湿球黒球温度:WBGT)として最も近い値はどれか。1つ選べ。
乾球温度:28.0℃
湿球温度:25.0℃
黒球温度:32.0℃
湿球温度:25.0℃
黒球温度:32.0℃
125—
226—
327—
428—
529—
正解です!
正答:3(27)
不正解です
正答:3(27)
問245(実務)
学校薬剤師が学校給食従事者に対して行う、脱水や熱中症に関する説明内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
1室温が28.5℃以下であれば、熱中症になることはありません。—
2のどの渇きを感じるまで、水分補給は必要ありません。—
3めまいや大量の発汗、筋肉の硬直(こむら返り)などの初期症状に注意してください。—
4病者用食品の経口補水液は、脱水症の予防を目的としたものです。—
5病者用食品の経口補水液を飲み過ぎると、ナトリウムの過剰摂取になるおそれがあります。—
正解です!
正答:3・5
不正解です
正答:3・5
解説を見る(問244・245)
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■ 問244:WBGT(屋内)の計算
💡 屋内のWBGT= 0.7×湿球温度 + 0.3×黒球温度(乾球温度は使わない)
屋外のWBGT= 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度
屋外のWBGT= 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度
屋内WBGT = 0.7 × 25.0 + 0.3 × 32.0
= 17.5 + 9.6
= 27.1 → 選択肢3(27)
= 17.5 + 9.6
= 27.1 → 選択肢3(27)
⚠️ 引っかけポイント(問244):
・屋内は乾球温度を使わない。0.7×湿球+0.3×黒球の2変数。屋外の式(3変数)と混同しない。
・係数の合計は屋内・屋外ともに1.0になる(0.7+0.3=1.0、0.7+0.2+0.1=1.0)。
・屋内は乾球温度を使わない。0.7×湿球+0.3×黒球の2変数。屋外の式(3変数)と混同しない。
・係数の合計は屋内・屋外ともに1.0になる(0.7+0.3=1.0、0.7+0.2+0.1=1.0)。
■ 問245:熱中症・脱水の説明
💡 熱中症は室温に関係なくWBGTや作業強度で発症しうる。のどの渇き感知前にすでに脱水が進んでいる。経口補水液(病者用食品)は治療目的であり予防目的ではない。過剰摂取でNa過多になるリスクあり。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
| 1 | × | 熱中症はWBGT・湿度・作業強度・個人差など複合要因で発症する。室温28.5℃以下でも高湿度・高強度作業で発症しうる。「ならない」という断言は誤り。 |
| 2 | × | のどの渇きを感じる時点でもすでに体重の1〜2%の脱水が生じている。渇きを感じる前からこまめな水分補給が必要。 |
| 3 | ◯ | 熱中症の初期症状:めまい・立ちくらみ(熱失神)、大量発汗、筋肉のけいれん・硬直(こむら返り=熱けいれん)。これらに早期に気づいて対処することが重要。適切な説明。 |
| 4 | × | 病者用食品の経口補水液(ORS)は脱水症の治療(補正)を目的とした食品。「予防」目的ではない。Na・K等の電解質を多く含むため、健常者が予防目的で日常的に飲むことは推奨されない。 |
| 5 | ◯ | 経口補水液はNa濃度が高く(約50 mEq/L)、過剰摂取するとナトリウムの過剰摂取になるおそれがある。脱水状態でない健常者や腎機能低下者では特に注意が必要。 |
⚠️ 引っかけポイント(問245):
・選択肢1(室温28.5℃以下なら安全):WBGTは湿球・黒球・乾球の複合指標。室温だけで安全を判断できない。
・選択肢2(渇きを感じてから補給):渇きは遅れて現れる。「渇く前からこまめに」が正しい指導。
・選択肢4(経口補水液は予防目的):経口補水液は治療(脱水補正)目的。スポーツ飲料とは異なる。
・選択肢1(室温28.5℃以下なら安全):WBGTは湿球・黒球・乾球の複合指標。室温だけで安全を判断できない。
・選択肢2(渇きを感じてから補給):渇きは遅れて現れる。「渇く前からこまめに」が正しい指導。
・選択肢4(経口補水液は予防目的):経口補水液は治療(脱水補正)目的。スポーツ飲料とは異なる。
臨床メモ
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薬剤師 あおい
WBGTの計算式と熱中症警戒基準を整理しておきましょう。
WBGT計算式
屋内:0.7×湿球 + 0.3×黒球
屋外:0.7×湿球 + 0.2×黒球 + 0.1×乾球
WBGT熱中症警戒レベル
・28未満:注意(激しい運動は積極的休憩)
・28〜31:警戒(積極的水分補給)
・31〜35:厳重警戒(激しい運動は中止)
・35以上:危険(すべての活動中止)
今回の調理場はWBGT 27.1で「注意」レベル。調理作業は強度が高くなりがちなので、こまめな休憩と水分補給の指導が重要です。
経口補水液(OS-1など)は薬局でも相談を受けることが多い製品ですが、あくまで脱水時に飲むものです。健常者が日常的に飲み続けると塩分(Na)の過剰摂取になるおそれがあります。Na約50 mEq/Lと濃度が高く、スポーツドリンク(Na約10〜20 mEq/L)とは別物。腎機能低下・心不全・高血圧の方には特に慎重に対応しましょう。










