第111回
問340
実践問題|実務
牛乳アレルギーを持つ患者へのOTC(一般用医薬品)選択
【症例】
28歳男性。牛乳アレルギーあり。既往歴及び使用中の医薬品はなし。喫煙1日10本程度、飲酒1日ビール500 mL程度。以前から胃腸が弱く、朝食後や通勤時に便意を催すことが多い。1週間後に昇進試験を受験する予定だが、緊張により下痢気味であるため、男性は止瀉薬を求めて薬局を訪れた。
問340(実務)
以下のうち、この男性に勧める一般用医薬品として、適切なのはどれか。2つ選べ。
| 選択肢 | 成分 | 1回量(成人) |
|---|---|---|
| 1 | 1錠中 イブプロフェン150 mg、 ブチルスコポラミン臭化物10 mg |
1錠 |
| 2 | 12錠中 ベルベリン塩化物水和物300 mg、 ロートエキス60 mg、 タンニン酸アルブミン2,000 mg、 ウルソデオキシコール酸30 mg |
4錠 |
| 3 | 2カプセル中 木クレオソート90 mg |
2カプセル |
| 4 | 1錠中 ロートエキス3倍散60 mg、 タンニン酸ベルベリン100 mg |
1錠 |
| 5 | 3錠中 トリメブチンマレイン酸塩300 mg |
1錠 |
正解です!
タンニン酸アルブミンと牛乳アレルギーの関係、各成分の適応を正確に理解しています。
不正解です。正解は 3 と 4 です。
解説でタンニン酸アルブミン(牛乳由来カゼイン)と各成分の適応について確認しましょう。
解説を見る▼
【問340】牛乳アレルギー患者へのOTC止瀉薬の選択
本症例は緊張による一過性の下痢(過敏性腸症候群様の症状)に対するOTC止瀉薬の選択。最大のポイントは牛乳アレルギーという既往であり、タンニン酸アルブミンは牛乳由来のカゼイン(乳タンパク質)を原料としており、牛乳アレルギー患者には禁忌となる代表的な成分。
| 選択肢 | 成分・製剤 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 | イブプロフェン+ブチルスコポラミン臭化物 | × 胃腸鎮痛鎮痙薬(腹痛・胃痙攣に対する解熱鎮痛成分+抗コリン成分の配合)。下痢そのものに対する止瀉作用はなく、抗コリン成分(ブチルスコポラミン)は腸管運動を抑制する方向に働くため、「下痢を止めたい」という主訴に対する第一選択としては不適切。牛乳アレルギーとの関連はないが、訴え(止瀉薬希望)に合致しない。 |
| 2 | ベルベリン・ロートエキス・タンニン酸アルブミン・ウルソデオキシコール酸 | × 下痢・軟便に対する代表的な配合だが、タンニン酸アルブミンを含有している。タンニン酸アルブミンは牛乳タンパク質由来のカゼインを含むため、牛乳アレルギーのある患者には禁忌。成分自体は下痢に有効でも、本症例の既往(牛乳アレルギー)により使用してはならない製剤。 |
| 3 ★ | 木クレオソート | ◯ 木クレオソートは整腸・止瀉作用を持つ生薬由来成分で、牛乳由来成分を含まないため牛乳アレルギーの患者にも使用可能。緊張による下痢(過敏性腸症候群様の症状)に対するOTC止瀉薬として適切な選択肢の一つ。 |
| 4 ★ | ロートエキス+タンニン酸ベルベリン | ◯ タンニン酸ベルベリンは、選択肢2のタンニン酸アルブミンとは異なり牛乳由来のアルブミン(カゼイン)を含まない。ロートエキス(鎮痙・腸管運動抑制)との配合により、緊張性の下痢に対する止瀉効果が期待でき、牛乳アレルギーがあっても使用可能な製剤。 |
| 5 | トリメブチンマレイン酸塩 | × トリメブチンマレイン酸塩は消化管運動調律薬であり、過敏性腸症候群の下痢型にも用いられる成分だが、1回量300 mgという用量は、一般的なOTC(セレキノンS等:1回100 mg)の用量と比べて過量であり、医療用に相当する用量設定となっている。OTC医薬品として適切な用量設定とは言えない。 |
⚠️ 引っかけポイント(問340):
・選択肢2 vs 4:「タンニン酸アルブミン」と「タンニン酸ベルベリン」は名称が似ているが、「アルブミン」=牛乳由来カゼインを含み牛乳アレルギーに禁忌、「ベルベリン」=植物アルカロイドで牛乳とは無関係という決定的な違いがある。名前の類似性で混同しないことが本問の最大のポイント。
・選択肢1:「胃腸薬=下痢にも効きそう」という安易な発想に注意。抗コリン成分(ブチルスコポラミン)は腸管運動を抑制する方向であり、止瀉薬としての主訴とは作用の方向性が異なる場合がある。
・選択肢5:成分自体は適応に合致して見えても、OTCとして許容される用量を超えている場合は不適切と判断する視点が必要。
・選択肢2 vs 4:「タンニン酸アルブミン」と「タンニン酸ベルベリン」は名称が似ているが、「アルブミン」=牛乳由来カゼインを含み牛乳アレルギーに禁忌、「ベルベリン」=植物アルカロイドで牛乳とは無関係という決定的な違いがある。名前の類似性で混同しないことが本問の最大のポイント。
・選択肢1:「胃腸薬=下痢にも効きそう」という安易な発想に注意。抗コリン成分(ブチルスコポラミン)は腸管運動を抑制する方向であり、止瀉薬としての主訴とは作用の方向性が異なる場合がある。
・選択肢5:成分自体は適応に合致して見えても、OTCとして許容される用量を超えている場合は不適切と判断する視点が必要。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
「タンニン酸アルブミン」は牛乳アレルギー患者への禁忌成分の代表格:止瀉薬・整腸薬に配合されるタンニン酸アルブミン(タンナルビン)は、牛乳由来のカゼインを原料としており、添付文書上も牛乳アレルギーのある患者は禁忌(ショック・アナフィラキシーのおそれ)と明記されています。ビオフェルミン止瀉薬・正露丸糖衣A等、一部の市販下痢止めにも含まれているため、「牛乳アレルギー」と聞いたら、まずタンニン酸アルブミンを思い浮かべる習慣をつけましょう。
「タンニン酸○○」の見分け方:タンニン酸は収斂作用を持つ成分で、様々な物質と結合して製剤化されます。タンニン酸アルブミン=乳タンパク(カゼイン)由来、タンニン酸ベルベリン=植物アルカロイド(ベルベリン)由来。「タンニン酸」という共通の接頭部分に注目するのではなく、後半の物質名(アルブミン or ベルベリン)で原料・アレルギーリスクを判断することが重要です。
緊張型の下痢に対するOTCの考え方:試験前など、一時的な緊張による下痢(いわゆる「お腹が弱い」タイプ)には、木クレオソートやロートエキス+タンニン酸ベルベリン配合の整腸・止瀉薬が選択肢になります。一方で、症状が長期間続く場合や、血便・発熱を伴う場合は、安易にOTCで対応せず医療機関の受診を勧めることも重要な視点です。










