【第111回薬剤師国家試験】問345 治験コーディネーター(CRC)として薬剤師が行う業務解説

  • URLをコピーしました!
第111回 問345
第111回 問345
実践問題|実務
治験コーディネーター(CRC)として薬剤師が行う業務
【設問】

病院に勤務する薬剤師が治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)として治験に参画することになった。この薬剤師が行う業務として、適切なのはどれか。2つ選べ。

問345(実務)
1
治験実施計画書を作成する。
2
GLP(Good Laboratory Practice)に準拠して安全性に関する試験を実施する。
3
治験審査委員会において、治験実施の可否について判断する。
4
治験責任医師による同意説明の補助を行う。
5
被験者の来院スケジュール管理を行う。
正解です!
CRCの業務範囲とGCP上の各関係者の役割を正確に理解しています。
×
不正解です。正解は 4 と 5 です。
解説でCRC・治験責任医師・治験審査委員会・GLP/GCPの役割分担を確認しましょう。
解説を見る

【問345】CRC(治験コーディネーター)の業務範囲

CRCは、GCP省令上「治験協力者」として位置づけられ、治験責任医師・治験分担医師の指導の下で、治験に係る業務に協力する薬剤師・看護師等である。「医学的判断を伴う業務」「治験の許可・審査に関わる業務」「実施計画書の作成など治験依頼者・実施医療機関の責任者が行う業務」はCRCの業務範囲外であり、被験者対応・スケジュール管理・記録の補助等が中心となる。
選択肢記述判定・解説
1治験実施計画書(プロトコール)の作成× 治験実施計画書(プロトコール)は、治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師等と協議して作成するものであり、治験の科学的・倫理的な骨格を定める文書。CRCが作成する業務ではない。
2GLPに準拠した安全性試験の実施× GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験(試験管内(in vitro)や動物等を用いた前臨床の安全性試験)の信頼性を確保するための基準であり、ヒトを対象とする治験(臨床試験)はGCP(Good Clinical Practice)に準拠して実施される。CRCはGCPに基づく臨床現場での業務に関わる立場であり、GLPに基づく非臨床試験の実施はCRCの業務範囲外。
3治験審査委員会での治験実施可否の判断× 治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board)は、治験の倫理性・科学性等を審査し、治験の実施が適切かどうかを審議・判断する独立した委員会。GCP上、治験に関与する者(当事者)は委員会の審議・採決に参加できないと定められているため、治験現場のスタッフであるCRCがIRBの構成員(委員)になることはできない。したがって、CRCが審査・判断を行う立場ではなく、治験責任医師等を補助する立場である。
4 ★治験責任医師による同意説明の補助◯ CRCは、治験責任医師(または治験分担医師)が行う被験者への同意説明(インフォームド・コンセント)に同席し、補助的な説明や被験者の疑問への対応をサポートする。最終的な説明・同意取得の責任は治験責任医師等にあるが、その補助業務はCRCの代表的な役割の一つ。
5 ★被験者の来院スケジュール管理被験者の来院日の調整・管理、検査スケジュールの確認等は、CRCの中心的な業務である。治験実施計画書に定められた来院・検査スケジュールに沿って治験が滞りなく進むよう、被験者・医療スタッフ・治験依頼者側の調整役を担う。
⚠️ 引っかけポイント(問345):
選択肢2「GLP(非臨床)」と「GCP(臨床)」という、よく似たアルファベット略語の取り違えがポイント。CRCが関わるのはGCPに基づく治験(臨床試験)であり、GLPは動物実験等の前臨床段階の話。
選択肢1・3:いずれも「治験の枠組みを決める・許可する」という上位の意思決定に関わる業務であり、CRC(協力者)の立場を超えるもの。「治験依頼者・治験責任医師・IRBが決めたことを、現場で円滑に進める」のがCRCの役割というイメージで整理する。
選択肢4・5:いずれも「被験者対応」「スケジュール管理」という、CRCの中核業務を端的に示す選択肢。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

CRCの立ち位置を「治験の現場コーディネーター」としてイメージする:治験には治験依頼者(製薬企業)・治験責任医師・治験分担医師・治験審査委員会(IRB)・被験者など多くの関係者が登場します。CRCは、これらの関係者の間に立って、現場レベルでのスケジュール調整・情報伝達・記録の補助を行う存在です。「決定する・許可する・作成する」立場ではなく、「決まったことを、現場でスムーズに進める」立場であることを意識すると、業務範囲の判断がしやすくなります。

GLP・GCP・GMPを「開発のステージ」で区別するGLP(Good Laboratory Practice)非臨床(動物等を用いた前臨床試験)GCP(Good Clinical Practice)臨床(治験・ヒトを対象とする試験)GMP(Good Manufacturing Practice)製造・品質管理の基準です。「L=Laboratory(実験室・非臨床)」「C=Clinical(臨床)」という頭文字から、対象となるステージを区別すると覚えやすくなります。さらに、お薬が世に出たのステージでは、「V=Vigilance(警戒・監視=製造販売後安全管理)」を担うGVPや、製造販売後の有効性・安全性に関する調査・試験の実施基準であるGPSPもセットで押さえておくと、GXP系のひっかけ問題に幅広く対応できます。

治験審査委員会(IRB)の役割:IRBは、治験の実施計画が倫理的・科学的に適切かどうかを審査し、実施の可否を判断する独立した機関です。医師・薬剤師等の医療専門家だけでなく、非専門家・外部委員(治験に利害関係を持たない委員)も構成員に含まれることがGCP上求められています。CRCはこの審査を受ける側(医療機関)の現場スタッフであり、審査を行う側ではないという立場の違いを理解しておきましょう。

第111回 薬剤師国家試験 解説トップへ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次